| レーザーヘッドライトはコストが高く、そして今ではよりコストの低いLED光源がレーザーの性能に追いついている |
さらに国や地域次第では、規制によりレーザーの性能を十分に発揮できない
さて、BMWとアウディはそれぞれ「ヘッドライトとテールランプ」に対して強いこだわりを持っていることでも知られ、それはデイライトランニングランプの発光シグネチャ、そしてOLEDテールランプの採用等からも見て取ることができるかと思います。
そしてBMWは、2014年にアウディR8に先んじて(i8に)レーザーライト技術を導入した最初の企業ではあるものの、今回報じられた内容によれば、BMWは今後レーザーライトを使用せず、LEDを光源としたヘッドライトの開発へと注力するもよう。
現在、LEDテクノロジーはレーザーライトのそれに近づいている
まず、BMWの製品マネージャー、アンドレアス・スーラー氏によれば以下の通り。
「現時点では、G26 (4シリーズ グラン クーペ)と G07](X7 )にはまだレーザー ライトが搭載されていますが、今後レーザーライトを他の製品に搭載する計画はありません。新しいG60とG61(5シリーズと5シリーズ ツーリング)には搭載されておらず、新しい7シリーズにも搭載されていません。まだ完全に完成したとは思いませんが、次に製造するモデルではLEDマトリックスライトに重点を置く予定です。レーザーライトは絶対範囲がかなり優れているのですが、最新世代のマトリックスLEDライトの方が分散性が向上しています。」
なお、BMWのライバルであるアウディもレーザーライトを使用しているものの、これはLEDテクノロジーと組み合わせられており、この手法はBMWでも同様で、前出のアンドレアス・スーラー氏は「マトリックスLEDとレーザーは以前のクルマでは一緒に取り付けられていましたが、LEDの分散配光性能の改善によりパフォーマンスが向上し、レーザーの範囲に近づいています」と述べ、より主流のLEDテクノロジーがレーザーシステムと同等のレベルに改善されているいま、大量生産によってコストを下げることが可能なLEDに注力するのは当然のことである、とも。
ただ、同氏によると、BMWが(レーザーを捨てて)LEDへとシフトするのはコスト以外にも理由があるといい、それはヘッドライトに関する「規制」。
たとえば米国では2022年になるまでアダプティブヘッドライトシステムが許可されておらず、しかし許可された今でもその内容が厳しく制限されており、よってアウディQ8 e-tronは、ヨーロッパだとアダプティブヘッドライトテクノロジーを採用しているものの「米国では採用せず」。
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つまり欧州と米国ではヘッドライトの規制が異なるため、アダプティブLEDヘッドライトはもちろん、レーザーライトを米国向けに導入するにはいくつかのハードルがあり、さらには「導入できたとしてもレーザーの性能を最大限に生かすことができない」のだそう。
そうなると高額なレーザーヘッドライトの恩恵を受けることができず、かつそれに対価を支払おうとする人も多くはなく、よってBMWはレーザーライトをこれ以上追求することには「価値を見いだせない」と感じているようですね。
レーザーライトにはどんなメリットが存在するのか
なお、レーザーライトのメリットとしては「より遠く、より広く」前方を照射することができるというもので、(日本だと道路にはおおよそ街灯があるので想像しにくいのですが)街灯がない暗い夜道を(比較的高い速度で)走ることが多いとされる欧州では大きなメリットになり得ます。
より遠くまで照らせるということは「より早く障害物を捉えることができ、その分だけ反応する時間に余裕が生まれる」ことを意味し、よってこの照射距離は非常に重要だとされているわけですね。
ただ、近年では多数のLED光源を使用し「より遠く、より広く」照らすことができるアダプティブLEDヘッドライトが登場していて、そしてこの技術はレーザーほど高価ではなく、よって消費者としては圧倒的にこちらのほうを支持することは間違いないものと思われ、市場性、消費者のメリットという観点から見ても、レーザーはもう「一つの時代を終えた(LEDアダプティブヘッドライトが登場するまでの過渡的技術であった)」と考えていいのかもしれません。
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参照:CarSales