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新型カイエンに搭載される「4点」LED光源式HDマトリクスヘッドライトの実用化には918スパイダーの「5点式」から10年を要していた!ポルシェがその苦労を語る

2023/06/14

新型カイエンに搭載される「4点式」LED光源を持つHDマトリクスヘッドライトの実用化には918スパイダーの「5点式」から10年を要していた!ポルシェがその苦労を語る

| ポルシェは「やる」と決めたことはなんとしてでもやる会社である |

ポルシェがここまでヘッドライトに対して情熱を注いでいたとは驚きである

さて、ポルシェが新型カイエンに装着されるヘッドライトの技術を解説するコンテンツを公開。

このヘッドライトは新型カイエンのハイライトとも言えるもので、65,536個ものLEDにて構成され、ただ明るいだけではなく、必要なところを必要に応じて照らすという機能が備わっています。

そしてポルシェによると、前面に投影された光はまさに「光のカーペットのようだ」と表現され、このカーペットは先行車に近づくと「短く」なり、車線変更を行う際には「複数車線を」照らすそうですが、この光のカーペットは「車線に沿って」長方形に展開されるといい、つまりは「クルマが(車線変更で)斜めを向いていても、ヘッドライトの光は「車線に沿って」まっすぐ照らされるのかもしれません。

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いったいなぜそういった事が可能になるのか?

ポルシェによると、新型HDマトリクスヘッドライトに備わるこの機能は「レーンライトアップ」といい、車線を正確に照らすためにはフロントカメラとナビゲーションシステムを利用しているのだそう。

これによって「より明るく、よりインテリジェントに」先方を照らすことが可能になっており、たとえばインテリジェントな例だと「工事現場ライト機能」というものがあり、車線が狭くなっていることを検知すると、オンライン経由での交通情報を取得して該当区間だけ光束を制限すると説明されていて、さらに対向車線に対しても「眩しくないよう」ドライバーの目線部分だけを減光しつつ、しかしちゃんと先を照らすことができると紹介されています(必要な部分の減光は行うが、全体の光の強度は落とさない)。

ポルシェはこのヘッドライトについて「まさに革命」「昼間のような明るさを約束」としていますが、ここまで主張されると「いったいどれくらいスゴいのか」体感してみたくなってしまいますね(アウディTTを購入した際、そのLEDマトリクスヘッドライトの性能の凄まじさに驚いたことがあるが、新型カイエンの場合はその比ではないのだと思われる)。

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ポルシェの新型新型HDマトリクスヘッドライトはこうなっている

そしてこちらが新型HDマトリクスヘッドライトの図解。

今やポルシェのトレードマークとなった「クワッド」を維持しており、これらのユニットによってデイタイムランニングライト、ロービーム、ハイビームを使い分けることとなりますが、そのルーツは10年前に発表されたポルシェ918スパイダー。

Grafik 1 JA

これに採用されたヘッドライトは「4点式デイタイムランニングライト、ロービーム、メインビーム」という構成を持っていましたが、デイライト4つの真ん中にプロジェクター式テッドライトがあったため、夜間は「5点」の光軸があったわけですね。

ただ、ポルシェのエンジニアはこれを「なんとか4点にしよう」ということで技術的な取り組みを開始し、ここで頑張ったのがデザイナーのハインツ・レドリヒ氏とエンジニアのロバート・ヘーレ氏。

しかし当時は「4点」のみでヘッドライトすべての機能を賄うのは技術的に不可能であり、2016年に登場したパナメーラに備わっていた「84もの光点を備える(ポルシェ初の)マトリクスLEDヘッドライト」が実用化された時点でもまだ5点にて発光せねばならなかったといいます。

たしかにタイカンの時点でもまだ「5点」なので、「4点」を達成するのは相当に困難であったことも伺えますね。

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ただ、同じ2016年には新しい技術が登場し、これが新型カイエンのヘッドライトに搭載される「高解像度HDマトリクスライト」。

これは1つのヘッドライトの中にに何千もの光点を内包するシステムですが、それでもまだ当時は量産できるものではなかったといい、2018年になってハード、ソフト両方の技術が進歩することで”夢の4点式ヘッドライト”がついに実用化できると判明したのだそう。

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そこからは一気に開発が進み、そしてようやく今回カイエンに4点式ヘッドライトが搭載されることとなったわけですが、ポルシェの新型HDマトリクスLEDヘッドライトの4つの光点は上段と下段とに分かれ、4つの光点それぞれがデイタイムランニングライト用の細いLEDライトストリップを備えます。

ハイビームは(6個のLEDを備える)上段にあるダブル機能モジュールによって生成され、下段2つがHDモジュールとなり「インテリジェントな」配光を実現することになりますが、このモジュールの中には「親指の爪の半分くらい」のチップがあり、この中になんと16,384個ものマイクロLEDが組み込まれている、とのこと。

ただ、さらに驚かされるのは、それぞれ16,384個のマイクロLEDを個別にコントロールできるということで、これによって「光のカーペット」が実現したわけですね。

そしてこのLEDモジュールの光投影の精度と解像度は”実際にスクリーンに映画を投影することができるほど”だといい、このヘッドライトの完成をもって、ヘッドライトにすべてを賭けたポルシェの2人のエンジニアの夢がいったん結実したと言えそうです(そして、次の夢の実現に向けて歩みをはじめているのかもしれない)。

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参照:Christophorus

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