| 先代GLAとの比較だと「完全に別次元に」まで進化している |
さて、メルセデス・ベンツの最新SUV、「GLB」に試乗。
GLBはGLAと同時に発表されていることでもわかるとおり、多くをGLAと共有していますが、その性格にはちょっと差がつけられていて、日本だとGLAは4WD(4MATIC)のみの展開で502万円~530万円。
一方GLBにはFFも用意され、その価格帯は512万円~696万円。※GLAの4WDモデルとGLBのFFが同じくらい
さらにGLAは5人乗り、GLBは7人乗りという差異もあり、GLBのほうが(GLAに比較して)やや長く、背が高くなっています。
いうなればGLAはカップル向け、GLBはファミリー向けという位置づけなのかもしれませんね。
GLBはもともと「ベイビーGクラス」と言われていたが
なお、GLBは発表前に「ベイビーGクラス」と言われており、しかし発売されてみるとGクラスとの共通性はほぼ感じられず、強いて言えば似ているのは「ボクシーなスタイル」くらい。
それだけメルセデス・ベンツが”Gクラスを安売りしない”ということなのかもしれませんが、このボクシーなスタイルが日本市場では相当に受けたようでもあり、メルセデスミー大阪に展示車を見に行ったときには、それまでに(メルセデスミーでは)見たことがないほどの人だかり。
そしていつも新型車の発表というと(ぼくみたいな)オタクしかにないのに、GLBに関しては女性客の姿が非常に多く、かつ各部の使い勝手をチェックするなど、見ている人はいずれも「買う気満々」だったのが印象的です。
加えて、今回試乗予約を取ろうにも「予約でほとんど埋まっていて」スケジュールをなかなか押さえられず、これもまたメルセデス・ベンツの今までの新型車には見られなかった傾向です。
新型メルセデス・ベンツGLBはこんなクルマ
そしてメルセデス・ベンツGLBについてですが、今回の試乗車は一番ベーシックなGLB 200d(この上に、GLB200d AMGライン、GLB250 4MATICがある)。
搭載されるエンジンは2リッターディーゼルターボで出力は150PS、トルクは320Nm、トランスミッションは8速AT、駆動輪はフロントのみ。
ボディサイズは全長4,646ミリ、全幅1,850ミリ、全高1,706ミリ、そして何より特徴的なのは、ほかのメルセデス・ベンツと共通性をほぼ持たないボクシーなスタイルを持っています。
たとえばGLAはGLCやGLEとの共通した「メルセデス・ベンツのSUVらしさ」があるものの、GLBからはそれが感じられない、ということですね。
そしておそらく、そういった印象を受ける理由としては「スクエアなヘッドライト」にあるんじゃないかとも考えています。
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新型メルセデス・ベンツGLBに乗ってみよう
さすがにけっこう車高が高いだけあってGLBは乗降性に優れ、しかしシートポジションは高すぎない、という印象(どこかのメディアのレビューにて、シート高を意図的に低く設定したという内容を見た記憶がある)。
インテリア全体的にはGLAとほぼ共通しており、しかしドアインナーパネルやセンターコンソールの加飾については「凹み」が設けられるなど、ちょっとした差も演出されています。
メーターはフルデジタル、そしてその横にはインフォテイメントディスプレイ。
新型メルセデス・ベンツGLBにで走ってみよう
なお、(GLBと車体を共有する)新型GLAにはまだ乗っていないので、そちらとの比較はかなわないものの、先代GLAと比較すると相当に乗り心地に優れるという印象(ぼくは先代GLAを買おうとしたことがあるが、その乗り心地の硬さから購入を見送ったという経緯がある)。
まず気づくのはディーゼルエンジン搭載にもかかわらず相当に静かだということで、エンジン始動時、走行時、加速時、そしてアイドリングストップからの回復時もディーゼルエンジンだとは思えないほどです(車外から聞くエンジンサウンドもかなり静かで、ディーゼル特有のカタカタ音はほぼ聞こえない)。
エンジンやエキゾーストシステムからの騒音に加え、外部からの騒音もかなり抑え込まれているようで、先日試乗したGLSと比較しても遜色のないレベル。
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以前のメルセデス・ベンツはクラスの上下によって装備や機能、快適性や運動性能に差がつけられていたように思いますが、最近だとクラス間ではほぼさはなく、「新しいモデルに、もっとも優れた機能や装備が与えられる」ようですね。
よって、GLBも「最新」だけあって最良のメルセデス・ベンツとなっており、とにかくよくできたクルマという印象です。
ブレーキホールドからのスタート、ブレーキを踏んだ際のピッチングや停止する直前の挙動、レーンチェンジにおける車体の揺れ等のショックが相当に低く抑えられていて、それは「高級サルーンなみ」と表現してもいいくらい(停まる直前に、カクっという軽い衝撃を伝えるクルマも多いが、GLBにはそれがない)。
とくに前後左右の「揺れ」についてはかなり低いレベルにまで抑え込まれており、1700ミリを超える車高を持つクルマとは思えないほど安定していて、安心して踏んで行ける、という印象も。
ちなみにSUVは重心が高いことに起因して、セダンやスポーツカーとはまったく異なる動きをするため、安定性と快適性を両立するには相当なノウハウと技術が要求される、と言われます。
乗り心地をよくしようとスプリングを柔らかくすると、ブレーキを踏んだときに車体が前後に揺れたり、そしてコーナリング時に大きく車体が傾くことになり、さらにダンパーの減衰力が弱いと「揺り戻し」が来ることに。
しかし、それらを抑えようと足回りを締め付けると、今度は乗り心地が悪化することになるわけですが、SUVが人気化したばかりの頃、そして各メーカーともSUVに慣れていなかった頃には「こういった」乗り心地に難があるSUVが多かったように思います。
ただ、最近では各社ともSUVに関するノウハウが蓄積しており、アダプティブダンパーなど様々な手法で高い安定性と快適性を両立させるSUVが登場していて、新型GLBもその一台だとということですね(そして、そのレベルは他社に比較してもかなり高い)。
なお、試乗車はFFでしたが、正直FFでもなんら問題はなく、それはおそらく高いレベルにまで進化したトラクションコントロールとブレーキコントロールに起因するものと思われます。
つまり、「クルマが滑らずに前に進む」ようにするには、駆動輪(この場合は前輪)のトラクションを確実に路面に伝え、かつ駆動しないタイヤ(この場合は後輪)のグリップを最大化するということになりますが、後輪のブレーキを左右独立してコントロールすることによって後輪のグリップと路面追従性を高めることで「仮想4WD的」な挙動を見せており、岩場やぬかるみといった「4輪の駆動力を必要とする」ようなシーンでない限りはFFで十分じゃないか、というところまでFFは進化している模様。
実際のところ、プジョーはSUVにおいてはじめから4WDを捨てており、FFであっても「アドバンスド・グリップ・コントロール」によって4WDと同じように走ることが可能だと主張しているほどで、ぼくはこれまでその考え方には懐疑的であったものの、今回GLBに試乗して「ああそういうことか」と初めて気づいたわけですね。
近年のFFは、SUVは4WDでないと無意味だという考え方を無力化してしまうほどの走破性を誇るということを実感させられ、逆に4WDにこだわらねばならないメーカーは(クロカン4WDでない限り)技術的に遅れてるんじゃないかと感じたほど。
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新型メルセデス・ベンツGLBはかなり売れそうだ
展示イベントの様子からすると、そのスタイルや使い勝手が人気なメルセデス・ベンツGLBですが、実際に走ってみると見晴らしがよく、人も荷物もたくさん乗り、メルセデス・ベンツらしいガッチリとした節度、しかし快適さやしなやかさを併せ持ったうえ、ディーゼルなのでランニングコストも安いという非の打ち所がないクルマ。
おそらくは相当に注文が入るだろうなということが容易に想像でき、メルセデス・ベンツにとっては近年まれに見る大ヒットとなりそうな予感です(今後しばらく、学習塾の前は、子どもを迎えに乗りつけたメルセデス・ベンツGLBで溢れることになりそうだ)。
なお、ライバルとしては国産車だとレクサスNX(454万円〜632万円)、ハリアーの上位グレード(504万円)になるかと思いますが、そのクルマの基本性能や内装のつくり、インフォテイメントシステムの機能などを鑑みるに、メルセデス・ベンツBクラスに分があるだろうな、という印象です。※実際にディーラーで話を聞いたところ、ハリアーとの競合が多いらしい