| 通常版メルセデス・ベンツ300SLガルウイングの相場自体も継続して上昇中 |
おそらくは今後もずっとその価格は上がり続けるだろう
さて、先日「世界に二台しか存在しない希少カラーのメルセデス・ベンツ300SLクーペ(ガルウイング)」がオークションに出品されるという話をお届けしましたが、件のメルセデス・ベンツは171万ドル(日本円で約2億円)で落札され、しかし同時に出品された別の(シルバーの)メルセデス・ベンツ300SLクーペが682万5000ドル(約7億8400万円)で落札されて関係者を驚かせることに。
なお、メルセデス・ベンツ300SSLガルウイングは1,400台が製造されていますが、たった2台しか製造されなかったダンケルグレーのほうは171万ドル、逆に530台も製造されたシルバーのほうが682万ドルで落札されていて、これはちょっと奇っ怪な現象です。
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なぜシルバーのメルセデス・ベンツ300SLはとんでもない価格に?
そこでなぜこのシルバーの個体が7億8400万円もの高額落札になったのかという理由ですが、それは「29台しか製造されなかったライトウエイト仕様だった」から。
このライトウエイト仕様は通常のところスチールのボディをアルミ製に、そしてフロントガラス以外のウインドウをすべてプレキシガラス(樹脂)へと置き換えることで95kgの削減に成功しています。
なお、通常はスチールで作られているボディをアルミニウムに、というのは現代の(プレス機でボディパネルを成形したり、モノコックボディを持つ)クルマでは考えにくいモディファイですが、当時のクルマのボディは手作りだったのでこういった芸当が可能になり、職人が木型に鉄板なりアルミ板なりを当て、その上からハンマーでガンガン叩いて成形していたわけですね。
よって「鉄板をアルミに置き換えるだけ」ですなわちライトウエイト仕様のできあがりということになり、フェラーリ・デイトナにもアルミボディ仕様、ランボルギーニ・ミウラには鋼板の厚みを薄くした軽量仕様が存在します。
そして話をこのメルセデス・ベンツ300SLガルウイングに戻すと、そういった軽量化によってアストンマーティンDB3S、マセラティ A6GCS、フェラーリ 750モンツァといったライバルに対する戦闘力を高めることとなったわけですが、さらにこのクルマに積まれる直6エンジンはチューニングされており、専用カムシャフトを採用したうえ圧縮率も高められている、とのこと。
そのほかセンターロックホイールにノックオフスピナーが標準装備されており、フロントブレーキにはベンチレーションが取り付けられ、スプリングとショックアブソーバーも強化品が装着されている、とのこと。
なお、このメルセデス・ベンツ300SLガルウイングは新車時にモロッコのカサブランカにあるメルセデス・ベンツの正規ディーラーにて販売され、その納車先はジョセフ・F・ウェッカーレ氏なる人物。
そしてこの個体はアフリカ大陸で販売された唯一の300SLガルウイングのライトウエイト仕様であったといい、ボディカラーはシルバー、インテリアはブルー、最終減速比は3.42、ベッカー製「カーラジオ」が装備されています。
ちなみにジョセフ・F・ウェッカーレ氏は1962年にこの車両を売却していますが、もし彼の子孫が今回の落札金額を知ったとなると、「なぜ自分たちの祖先はあのクルマを売ってしまったんだ・・・」とジョセフ・F・ウェッカーレ氏を恨むことになるのかもしれません。
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参照: RM Sotheby’s