| 自動車はその発明初期から100年で驚くべき進化を遂げている |
一方、その基本構造は意外と変わっていないのが面白い
さて、メルセデス・ベンツがときどき公開する「クローズアップ」なるコンテンツ。
これは自社の歴史に焦点を当てるもので、今回はメルセデス・ベンツ・ミュージアムに所蔵される「最初の商用車」が紹介されています。
メルセデス・ベンツは現在商用バンとして「スプリンター」を持ちますが、今回紹介される「ダイムラー・モーターライズド・カー」はその祖先ということになりますね。
参考までに、メルセデス・ベンツは1890年に「ダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト」社として誕生しており、1883年にはベンツ社との合併によって「ダイムラー・ベンツ」に。
その後1998年にクライスラーと合併して「ダイムラー・クライスラー」へ、しかし2007年にはこの合併を解消して「ダイムラー」へと社名を変更していますが、2022年に「メルセデス・ベンツ」へと再度社名を変更しています。
メルセデス・ベンツの最初の商用バンはこんなクルマだった
メルセデス・ベンツの創業者であるカール・ベンツは1886年に自動車を発明して特許を取得しており、自動車の運転免許を世界で最初に取得したのもカール・ベンツ。
ただし当時は自動車自体の存在が知られておらず、知っている人にとっても「うるさく、馬よりも遅い」、つまり実用性に欠けるガラクタだと思われていたようですね。
そしてその後の1899年に登場したのがこのダイムラー・モーターライズド・カー(ダイムラー原動機付き自動車)だということになります。
このダイムラー・モーターライズド・カーはいくつかの画期的な装備を持っており、そのひとつがヴィルヘルム・マイバッハが発明したチューブラーラジエター。これによってエンジンの冷却性能が向上し、貨物や人を運ぶ実用性を獲得したとされています。
メルセデス・ベンツ最初の商用バンの最高速度は16km/h
ダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト(DMG)時代に発表されたこのバンは、最大積載量500kgに対応するように設計され、搭載されていたのは1.5リッター2気筒エンジン、出力は5.6馬力(4.1キロワット)、最高速度は時速16km。
現代のクルマからすると信じられないような数字ですが、当時の制限速度は「3キロ」のところもあったというので、この「最高速16km/h」というのは意外に画期的なスピードであったのかもしれません。
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ただし翌年には、積載量が800〜3,200kg、出力については12馬力へと進化を遂げているので、当時の技術革新は日進月歩であったのかもしれません。
さらに初期のモデルがベルト駆動方式であったのに対し、2つのチェーンホイールと2つのローラーチェーンで後輪を推進させる方式へと変化を遂げ、構造面においても、最初のバージョンではエンジンが座席の下にありステアリングコラムが自立していたものの、その後のモデルではエンジンが前車軸の上に移動し、ボンネットで保護されるという現代的な型式へと変更され、タイヤも木製からラバー製となるなど近代化がなされています。
現在は「100年に一度」の自動車業界における転換期を迎えているといいますが、これからの電気自動車においてはまさに当時のような「毎日、なんらかの新しい技術や解決策が考案されてゆく」ことになるのだと思われます。
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