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メルセデス・ベンツが改めて中国市場の重要性を強調。「ロシアとは訳が違う。たとえ台湾に中国が侵攻しても中国からの撤退はない」

2023/05/11

メルセデス・ベンツ

| メルセデス・ベンツは以前から中国重視の姿勢を貫いてはいたが |

販売だけではなく、製造拠点、そしてサプライヤーとしても中国は「切り離せない」関係にある

メルセデス・ベンツは以前から「中国重視」の姿勢を隠そうとしていませんが、今回同社のオラ・ケレニウスCEOが「メルセデス・ベンツにとってだけでなく、より広い範囲の自動車業界にとって中国市場が重要」であることを再度強調。

53歳になるメルセデス・ベンツの最高経営責任者であるオラ・ケレニウス氏は、最近(おそらく上海モーターショーの開催にあわせ)3週間にわたって中国に滞在しており、この発言はその直後のものとして報じられています。

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もはや自動車業界は中国抜きでは語れない

今回のこの発言は、ドイツのカーメディから「現在の中国の政治情勢が今後のブランドにどのような影響を与えるか」という質問を受けた際になされたもので、オラ・ケレニウスCEOによれば「中国が台湾に侵攻した場合、中国から撤退することは非常に困難」。

これは「ロシアがウクライナに侵攻したのち、同社がロシアから撤退したのとは訳が違う」という意味を含んでおり、さらに同氏は「世界経済の主要プレーヤーである欧州、米国、中国は非常に密接に絡み合っており、中国からの撤退は意味をなさない」とも。

その理由としては、「成長と気候保護という点でWin-Winを目指すものであり、互いに競争するものではないのです。もちろん、(中国と台湾の)政治的な見解の相違や緊張については理解しています。私たちはここでもっと弾力的になり、例えばリチウムバッテリーの生産に関しては、中国に依存しすぎているのもまた事実です。その依存からの脱却も必要ではありますが、しかし、中国からの離反は幻想であり、望ましいものでもないのです」というもの。

さらにオラ・ケレニウスCEOは、メルセデス・ベンツが中国での事業を中止するようなことがあれば、「ドイツ産業全体にとっても大きな影響を与えることになり、それは考えられないことだ」との述べており、いかなる状況に陥ろうとも中国市場を切り捨てることは考えていないようでもありますね。

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メルセデス・ベンツは「中国のライバル」を強く意識

中国はメルセデス・ベンツにとって非常に重要な市場であり、昨年だとメルセデス・ベンツの総販売台数の37%、売上高の18%を占めていますが、そこで懸念されているのが「中国の自動車メーカーとの競合」。

つまり中国の自動車メーカーが作るクルマは性能に比較して安価であり(とくにEVでは顕著)、かつ中国市場の嗜好を捉えているため、メルセデス・ベンツ含む外国の自動車メーカーにとって不利ではないかという論争です。

ただしこれについてもオラ・ケレニウスCEOは自らの考えを述べており、「中国市場でうまくいっているのは、たとえばインフォテインメントシステムです。ドイツの顧客にとって、自動車におけるエンターテインメント・エレクトロニクスは、これまで最も重要な役割を担っていませんでした。一方、中国の顧客は、これを非常に重要視しています。例えば、車内でカラオケをすることです。そのため、新型Eクラスではカラオケを歌うことができるのです」。

実際のところ、先日発表された新型Eクラスではこのカラオケのほか、自撮りカメラを備え、撮影した動画をTikTokへと投稿できるといった配慮がなされていますが、このほかにも様々なエンターテイメント機能を備え、さらにはサードパーティによるアプリもインストールが可能です。

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さらにオラ・ケレニウスCEOは「中国ではこれまで、エレクトリックモビリティは安価な小型車やシティカーを経由して発展してきました。販売台数の90%以上は、4万ユーロ以下の電気自動車で達成されています。私たちはそのセグメントで競争しているわけでもない。量販店での価格競争にも巻き込まれたくはない。メルセデス・ベンツのお客様は、何か特別なものを期待しているのです。全体として、2022年には中国でのオール電化モデルの販売台数を150%以上増やすことができました」と述べ、中国車は脅威ではなく、そして中国市場とメルセデス・ベンツとの親和性についても強調しています。

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