伝統の手法、そして革新的な手法とのコラボレーション
ポルシェ911のデザインや開発風景が1時間28分の動画に集約。
今回の動画では「形にするまで」から「テストが完了するまで」の様子が収められており、しかしながらこの前段階として「どんなデザインにするか」「どういった方向性にするか」といった議論がなされているはずで、とにかく自動車を作るというのは様々な人がかかわる、機の遠くなるような作業であることがわかります。
992世代のポルシェ911はこうやって作られた
動画では内外装のクレイモデルを作るところからスタート。
プロなので当然といえば当選ですが、実に細かいところまで正確に削り込んでいることがわかります。
エアコンの吹出口などはかなり緻密な作業が要求されることになりそうですね。
メーターもこんな感じで様々なパネルを組み合わせ、実際の印象を確認しながら開発を進行。
なお、新型911のインテリアにおいては「初代911」のように「ダッシュボードとセンターコンソール」とが明確に「横と縦」に別れていることが特徴。
それまでの水冷世代の911はダッシュボードとセンターコンソールとが繋がる「T字」形状となっていて、新型911ではあらゆる面において「より初代911に近い」デザインを意識したことがわかります。
シートもクレイモデルで制作。
モデリングに使用する粘土はメーカーによって差があるそうで、多くは「削り過ぎたらまた粘土を上から貼り付ける」という修正ができるものの、ピニンファリーナの使用する粘土は「上から貼り付ける」ことができず、やり直しがきかない一発勝負だと言われていますね。
なお、現代の自動車は「デジタル」で設計されることが多くなっていますが、やはりクレイモデルを重視するメーカーは多く、マツダも以前に「デジタルと職人技との融合」という観点からクレイモデルを重視している、と述べています。
そしてクレイモデルにガラスやランプ類、ホイールをセット(室内が”抜け”ているクレイモデルは珍しい)。
クレイモデルにはこういったシートを貼り付けて塗装面を再現。
その後はボディラインをチェック。
こういったシマシマのパネルをボディ表面に映り込ませ、そのラインをチェックしてゆきます。
【動画】新型ポルシェ911をデザインしたオレが説明するぞ。新型911におけるデザイン上の見どころ「トップ5」はここだ
バーチャル空間による操作系のテスト。
新型911は設計そのものも仮想空間で多くが行われた、と公開されていますね。
ボディカラーと組み合わせとのチェック。
ポルシェの属するフォルクスワーゲングループ全体として「グリーン推し」の傾向にありますが、992においては内装に「グリーン」が久しぶりに登場したことがトピック。
その後はハードのテストに移行。
各種コンポーネントのテストが終了したらポルシェの施設内で実走テスト。
極寒の地でもテスト。
酷暑の地や街中でもテスト。
ニュルブルクリンクでもテスト。
こういった開発プロセス、そして過酷なテストを経てようやく新型911は世に送り出されることになりますが、新しく採り入れられる設計手法がある反面、以前から変わらない方法があるのもまた興味深いところですね。
それでは動画を見てみよう
こちらが新型ポルシェ911(992)の開発風景を凝縮した動画、「2020 Porsche 911 992 Documentary」。
最初の1/3くらいがデザイン的な内容で、その後は技術的な内容となっています。
VIA:DPCcars