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ポルシェ・タイカンの構造が公開に。これまでの「モノコック」とは全く違う、EVならではの新世代ポルシェを見てみよう

2019/09/14

| EV時代が到来すれば、メーカーごとの差異が出にくくなる |

ポルシェ初のEV、「タイカン」の構造やメカニズムの詳細が公開に。
当然ながらEVということでこれまでのポルシェとは全く異なる構造を持っており、しかし一部にはポルシェらしい考え方を持つものも。
あまりに情報量が多く、すべてを紹介することはかないませんが、ここでその一部を「ざっと」見てみようと思います。

EV時代におけるポルシェならではの特色とは

まず、ポルシェ・タイカンのプラットフォームは新設計の「PPM」。
真ん中の黒い部分にバッテリーを収納しており、その前後にモーター、コントロールユニット、トランスミッションなどを組み込んだモジュールを接続する、という構造です。
リアモーターはリアアクスルの後ろで、「リアエンジン」と同じレイアウトですね。

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ただ、これは他メーカーの採用するEVと構造が大きく変わら無いのもまた事実。
EVとなると、これまで既存自動車メーカーが培ってきた技術がいったん「振り出し」にまで戻ってしまい、新興自動車メーカーと同じスタートラインに並ばないといけなくなる、というのはなんともツラいところかもしれません(車両制御技術などはこれまでの経験が生きるので、ゼロスタートではない)。

ほか、「フロアにバッテリーを敷き詰め、前後両方もしくは片方にモーターを積む」というスタイルも各社同じになると思われ、FRやミドシップという「そのメーカーならではの特色」も失われしまうことになります。

ちなみにこちらはテスラ・モデルSのシャシー。
テスラはバッテリー容量にバリエーションをもたせているので、フロア側でその積載量をコントロールできるよう、フロアを最大化しているように見えますね。

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そしてタイカンの「ボディ」はこんな感じ。
これだけ見るとモノコックのように見えますが、これは上の画像のシャシーに「載っける」ということに。
つまり、これまでのポルシェのように、モノコック側にサスペンションなどを組み付けてゆく構造ではない、ということですね。
なお、かなりの面積においてスチールが使用されていることがわかります。

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バッテリーを収める「フロア」の上にボディを載せて(28本のボルトで)ボルト留め。
バッテリーの交換は理論上可能ですが、ボディを分離させてからバッテリーモジュールを抜くことになり、現実的には「不可能」といえるレベルかも。

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なおバッテリーはこの構造を見る限り、「下から抜く」のはムリのようですね。

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こちらはモーター、トランスミッション、インバーターをまとめたモジュール。
モーターの横にトランスミッション(ZF製)を接続しているためにかなり幅があり、そのためにサスペンションアームがかなり短くなっています。
これはポルシェとしては苦渋の決断だったと思いますが、サスアームが短くなるとストローク時のジオメトリ変化が大きくなり、よってタイカンには「4Dシャシーコントロール」が内蔵されているのでしょうね。

そしてこういった制御デバイスの採用を前提にしたからこそ、思い切った設計が可能となったのかもしれません。

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サスペンションだけ見るとこう。
板のようなものにロアアームが接続され、アッパー側はボディに接続されるようですね。
この部分だけ、またバッテリーユニットを収めるセンターパートの設計をそれぞれ単独で変更できる構造を持っていて、これによって(以前に比べ)かんたんに車体のサイズを変更できる、ということになります。

回生ブレーキを多用するためにディスクブレーキの使用頻度は少なく、その寿命は半永久的だと言われるものの、これを見るとブレーキシステムの冷却にはかなり気を使っている模様。

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エアフローはこう。
バンパーサイドからエアを取り入れ、フェンダー内部からブレーキの熱を排出するようですね。

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こちらは裏面。
リアサスペンションのロアアーム側にもプレートが取り付けられ、露出しているパーツが最小限に収められています。

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乗車位置はこう。
赤いラインがタイカン、薄いグレーがパナメーラ、濃いグレーが911。
こうやって見るとタイカンは911に比較してかなり大きく(フロントシート以降が長い)、しかしフロントの先端は911と同じ高さを持っている、ということに。

フロアにバッテリーを敷き詰めるという性質上、パナメーラに比較してもかなり着座位置は高く、しかしルーフはパナメーラよりも若干低いので、背の高い人は「頭上スペースに余裕がない」のかも。

なお、リアシートの着座位置もフロントと同じ高さなので、後ろに座ると「フロントシートの圧迫感」が強く感じられることにもなりそうです。

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最後は充電規格。
こうやって見ると販売される地域すべてにおいて差があり、となると「日本で販売された車両を、輸出できない」ということになります。
たとえばガソリンエンジンのクルマであれば、中古車を他の国に輸出することができ、よって世界中で平準化された中古相場が形成されるわけですね。
たとえば日本で人気がないクルマでも、海外で強い需要があれば、そのぶんだけ高く売れるチャンスが出てくることになって、日本の中古相場がそれにつられて上がることに。

ただ、タイカンの場合は「輸入も輸出も」充電ソケットを変更しないと他の国で乗れないということで、中古相場は世界統一ではなく「その国独自の」ものとなるのかもしれません(内外価格差が、ソケット入れ替えのコストに見合うようになってはじめて輸出入が可能になる)。

EVはおそらく、今後欧州にて高い需要が発生すると思われ、というのも法規制で「EVしか乗れない」時代がやってくるため。
しかし、これを見るに、そして右ハンドルが導入されるであろう日本市場向けのタイカンは「(英国を除くと)欧州に中古を出ず」、もし日本市場でタイカンの人気が出なければ、いかに他の国で需要があろうとも、日本での中古相場は「低空飛行」となりそうです。

VIA:Jalopnik

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