| このシンガー・ポルシェ911「DLS」は75台のみが製造されるらしい |
レトロとフューチャーとがミックスされた珠玉の仕上がりに
ポルシェ911のレストモッドで知られるシンガー・ヴィークル・デザインがその最新作「Thing 1(シング・ワン)」を公開。
これは通常手掛けるレストモッドの他に展開している「DLS(ダイナミック&ライトウエイト・スタディ)」シリーズの新作となりますが、シンガー・ヴィークル・デザインとウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングとの共同開発による「空冷」4リッター・フラットシックスエンジンを積んでいること、そして極限まで軽量化された車体を持つことが大きな特徴です。
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シンガー・ポルシェ911「シング・ワン」はこんな仕様を持っている
そこでこのシンガー・ポルシェ911「シング・ワン」を見てみたいと思いますが、ボディカラーは(シンガー・ヴィークル・デザインにしては)珍しいホワイト(パララックス・ホワイトと紹介されている)。
ボディパネルはカーボンファイバー製、そしてワイドボディをさらにワイドにするオーバーフェンダーも装着され、ホイールはおなじみフックスデザインなるもセンターロックを採用することに。
リアサイドウインドに相当する部分はダクト化されていますが、これは自然吸気エンジンへと(ラムエア効果にて)吸気のための空気を送り込むための構造です。
リアスポイラーにはダックテール形状が採用されていますが、エンジンフード上ルーバーのデザインはDLS独特。
テールランプもDLS独自のデザインですが、これはシンガー・ヴィークル・デザイン創業者、ロブ・ディッキンソン氏が創業当初、自身のためにカスタムしたポルシェ911に取り付けていたテールランプを再現したものだと思われます。
バンパレットはバンパー一体成型のように見え(その形状を再現しているのみ)、その下にはカーボンファイバー製のディフューザー、さらにはポルシェのレーシングカー風のテールパイプ(カットされた部分の面取りが行われている)。
ちょっとわかりにくいのですが、ルーフの後ろ端には(フロート形状を持つ)ブリッジスポイラーが装着され、ルーフからエアが抜けるような構造を持っており、このエアがダックテールリヤスポイラーへと導かれ、ダウンフォースを高めることとなるようですね。
エアロダイナミクスを最適化することもこのクルマのひとつの目的となりますが、各エアロパーツはCFD解析によって設計されているといい、フロントバンパー下から入ったエアはオイルクーラーを冷却してバンパー両端へと抜ける構造(ウイングレットのすぐ前に出てくる)。
ここから出てくる「熱気」がフロア下に流れる気流を速め、フロントアクスルのリフトを抑えるとともにリアディフューザーの効果を最大化するといいますが、ブロウンディフューザーとよく似た理屈なのかもしれません。
搭載されるエンジンは上述の通り新開発の4リッター・フラットシックスですが、軽量化を考慮してカーボンファイバーが多用され、リアバルクヘッドにもレザーではなくカーボンファイバーが用いられています。
シンガー・ポルシェ911「シング・ワン」のインテリアはこうなっている
そしてこのシンガー・ポルシェ911「シング・ワン」のインテリアを見てみると、ダッシュボード、ステアリングホイール、トランスミッショントンネル、シートなどにカーボンファイバーが大量投入されており、その雰囲気はクラシカルというよりは未来的。
シートはカーボンファイバー製シェルを採用したフルバケット、そして中央にはシンガー・ヴィークル・デザイン得意の編み込みレザー、そしてグロメットが装着されています。
ダッシュボードはほぼカーボン製。
リアシートの相当する部分のパネルもカーボンファイバー製、そしてロールバーもカーボン製(ルーフパネルもカーボン製)。
シュロス製のハーネス、そして左右リアサイドウインドウからエアを取り込むためのU字型パーツも確認できますね。
シフトリンケージ(一部チタン製)はこれ自体芸術品のような仕上がりを持っており、サンドブラストや面取り、ポリッシュなど様々な加工が用いられています。
メーターは「独立」5連となっていて、タコメーターの文字盤には機械式腕時計のようなインデックスにアプライド文字、そしてロレックスのように「ルーレット」加工も。
照明は透過式ではなく「間接照明」のようですね。
ちなみに、シンガー・ヴィークル・デザインの創業者は腕時計好きとしても知られ、実際にシンガーからもいくつか腕時計がリリースされていますが、そういった知見がここで活かされているのかもしれませんね。
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