| ポルシェは新しいエンブレムとともに新しい時代へ |
ポリッシュとブラシ仕上げとを組み合わせ、より高級感のあるデザインに
さて、現在多くの自動車メーカーが「スマートフォンなどデジタル上での認識率向上」を目的としてロゴやエンブレムの変更を行っていますが、今回ポルシェも「75周年を機に」そのエンブレムを変更すると発表。
このエンブレム(クレスト)は2023年末から生産されるすべての車両に導入されるそうですが、この新しいエンブレムはスタイル・ポルシェのデザイナーとマーケティング部門との協業によって考案されたと紹介されています。
参考までに、ポルシェは市販車の販売を開始した当初、現在のようなエンブレムはなく、しかしアメリカのディーラーから「エンブレムが必要」と提言され、そこで現在のベースとなるエンブレムが考案された、と公式に語られていますね。
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ポルシェの歴代エンブレムは「ディーラーで購入できる」
スタイル・ポルシェの副社長、マイケル・マウアー氏はこの新しいエンブレムについて「ポルシェのスポーツカー誕生75周年 を機に、このトレードマークを作り直すことになりました。よりクリーンで最新の技術を駆使し、洗練されたクレストは、ポルシェの個性を表現しています。私たちは歴史的な特徴を再解釈し、ハニカム構造やブラッシュドメタルなどの革新的なデザイン要素と組み合わせています。その結果、ブランドの歴史と未来をつなぐ、審美的に野心的なアークが誕生しました」とコメント。
ポルシェ・クレストは1952年に考案され、1954年、1963年、1973年、1994年、2008年に更新されていますが、興味深いのは、これらのクレストはすべて現在も購入す可能ということ。
ポルシェがこれまでに路上に送り出したクルマのうち70%が現役で走っているといいますが、ポルシェはそういったクルマをベストコンディションに保つために多くのヘリテージパーツを販売しており、エンブレムもまたその一つなのだと思われます。
こうやって見るとそぞれぞれの時代の特徴が感じられ、ポルシェファンであれば全部買い揃えて額に入れておいてもいいかもしれませんね。
ポルシェの新しいエンブレムはこうなっている
そこでポルシェの新しいエンブレムを見てみると、ブラシ仕上げがなされた金属製をベースとし、中央の”馬”は、ポルシェの本拠地であるシュトゥットガルトの旗から拝借したもので、角(ホーン)、そしてブラックとレッドのストライプはヴュルテンベルク・ホーエンツォレルンの紋章から引用されたもの。※以前には、レッド=騎士の祖国愛や勝利の能力と知、ブラック=冷静な判断力や決断力を表すとし、さらにエンブレムの背景は麦の黄色(豊かさ)を用いているという説明がなされたこともある
ポルシェは2008年に「シュトゥットガルト」の文字を(墨入れをやめて)目立たなくしているものの、今回その墨入れによるブラック仕上げを復活させており、ゴールドはより繊細に、赤いストライプは立体的なハニカムデザインとなっています。
さらには「角」の下地部分のドット(これはポンチによって職人が手作業で仕上げていた)も廃止され、該当部分がツルっとした仕上げとなっているようですね。
スタイルポルシェのカラー&トリム担当スペシャリスト、ヨアヒム・ペッツェル氏は「このような熟成プロセスでは、時間の要素が非常に重要です。トレードマークは、数日以内に "いきなり "デザインされるものではありません。何度も何度も、時にはもっと長い間隔で見直す必要があるのです。2度目、3度目は、最終的に調和のとれた自然な効果を得るまで、最適化したいことが見えてきます。そうして初めて、"こうでなければならない "という満足感を得ることができるのです」とコメント。
ポルシェのチーフマーケティングオフィサーであるロバート・アーダー氏によると、2023年6月8日に開催される「第75回ポルシェスポーツカー記念ショー」にて新しいブランドアイデンティティをお披露目するといい、「ポルシェ クレストは紛れもないシンボルであり、同時に私たちのブランドアイデンティティの中心的な要素です。このため、モダンになったクレストは、私たちのブランドデザインを再構築するきっかけとなっています」とも。
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現在ポルシェは改革の途上にあり、急速に電動化を進めていて、直近ではマカンEV、その後には718ボクスターとスパイダーを電動化し、さらにはカイエンのピュアEV版、フラッグシップとなる3列シートを採用するSUVも発売予定。
よって今後そのブランドイメージは大きく変わってゆくものと思われますが、ひとまずは6月8日に開催されるイベントを楽しみに待ちたいところですね。
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