| フォルクスワーゲングループは今後デザイン主導の企業へと変革を図る |
おそらくは電動化時代になると機能による差別化を出しにくくなることを考慮しているのだろう
現在フォルクスワーゲングループにはVWのほか、アウディ、ポルシェ、ランボルギーニ、ブガッティ、そしてシュコダ、セアト、ベントレー、ドゥカティ、クプラなど10以上のブランドが集結していますが、このうちポルシェ、フォルクスワーゲン、ランボルギーニ、ベントレーは意外なことに比較的近いデザイン言語を持っています。
-
参考VWとランボルギーニが同じデザインに?VWグループ内でのデザイン共通性を考える
| フォルクスワーゲン・アウディグループのデザインはブランド間で似すぎている? | 最近ちょっと気になる、フォルクスワーゲン・グループ内でのデザイン共有。 フォルクスワーゲングループは現在自動車販売世 ...
続きを見る
これはフォルクスワーゲン「グループ」としてのデザイン統括責任者というポジションが存在し、グループ全体としての方向性を管理しているからだと思われ、しかしその流れも今後少し変わることとなるもよう。
-
ポルシェのチーフデザイナーがVWグループのデザイン責任者へと就任!VWグループCEO同様にポルシェ出身者が上層部を固め、ポルシェの支配力が一層強まる
| さすがにポルシェがVWへの支配力を強めるというこの事態は想定していなかった | むしろ「その逆」はありうると思っていたが さて、ここ数年上層部が大きく入れ替わっているフォルクスワーゲングループです ...
続きを見る
今後、フォルクスワーゲングループでは各ブランド間のデザイン的独自性が拡大することに
フォルクスワーゲングループはモーターショーに参加する際、いわゆる「前夜祭」としてフォルクスワーゲン・グループ・メディア・ナイトを開催することが常となっていて、今回のIAAモビリティ・ショーでもこの前夜祭が開催されています。
そして今回の前夜祭で(メディアに対し)語られたのが「デザインによる成功」というモットー。
VWグループCEOのオリバー・ブルーメ氏はこの場において「デザイン・アイデンティティを研ぎ澄まし、印象的な製品をデザインし、ブランドの差別化を高める ことを計画しています。VWグループは デザイン主導の企業 となり、各ブランドは独自の個性を持たなければなりません」とコメントしています。
たしかにクルマが発表されると、技術的な仕様や価格より先に、まずそのクルマの内外装を見てそのクルマを判断しますが、これは人と接するのと同じかもしれません(内外装が気に入らなければ、スペックや値段をチェックしようという気にならない)。
つまり、クルマにとって第一印象は非常に重要であるということを意味し、「移動手段」としてクルマを選ぶわけではない人々にとってはなおさらその傾向が強いいものと思われます。
そしてフォルクスワーゲングループでは、これまでグループ間で共通したデザインを繰り返し使用してきたためにある種の「失敗」があったことを認めており、今後はブランド間で個々の独創的なデザインを打ち出すことで過去の失敗を避けたいと考えているわけですね。
こちらもCHECK
-
ポルシェ「我々は75年、同じレシピでデザインしてきました。その意味では世界で最も怠惰なデザインを行ってきたと言えるでしょう。しかしここからは冒険の時なのです」
| 電動化時代を迎え、ポルシェのデザインはここから大きく変化することになりそうだ | とくにヴィジョン356、ミッションXはその新しい方向性を示している さて、ポルシェの基本的なデザインは最初の市販車 ...
続きを見る
なお、今後各ブランドがどういった方向に進むのかまでには言及していませんが、フォルクスワーゲングループ内では一部ブランドにおいてデザイナーの入れ替えが行われており、ここで新しい方向性を模索する可能性も。
そして「デザイン的相違」を打ち出す理由の一つとして「今後、(電動化への移行に際し)フォルクスワーゲンブランド間でプラットフォームやコンポーネントの共通化が進む」であろうことが関係しているのだと思われ、この状況下においてそれぞれのブランドにおける差別化(あるいは個性)がなければ互いに食い合うことで利益創出機会を失ってしまい、本来「他社のシェアを奪うことで」伸ばせる利益を得られなくなってしまうのだと考えられます。
-
ランボルギーニ・ランザドールに積まれるモーターは自社開発ではなくグループ内から調達。なぜランボルギーニはフェラーリのようにモーターを内製化しないのか?
| ランボルギーニは、エレクトリックモーターそのものよりも、それが発生するパワーをどう使うかを重視している | たしかにランボルギーニはウラカン、ウルスともにグループ内でパワーユニットを共有しているが ...
続きを見る
よって、今後一部のフォルクスワーゲングループ内のブランドは明確に「どのブランドの顧客をターゲットとする」など、他社の顧客を獲得するための戦略的デザインを行うのではと推測していますが、こういった「差別化」に加え、BMWやヒョンデなど、その高いデザイン性によって販売を伸ばす例が出ていることを考慮し、デザインの重要性をここで再認識したのかもしれません(ただしフォルクスワーゲングループはデザイナーの流出が多く、これまではデザインが二の次であり、デザイナーが抑圧されていたであろうこともうかがえる)。
合わせて読みたい、フォルクスワーゲングループ関連投稿
-
VWグループが臨時株主総会を開催し「品質向上、グループ間のデザイン差別化に務める」と発言。ランボルギーニ、ブガッティ、ポルシェなどデザインはそれぞれ独自の道へ
| フォルクスワーゲングループは新CEOを迎え、その方向性が大きく変わることが予想される | 今回発表されたプランは非常に有効かつ効果的だと思われる さて、フォルクスワーゲンが臨時株主総会を開催し、そ ...
続きを見る
-
VWのデザイン責任者「今のデザインは変更しなくてはならないでしょうね」。IDシリーズの販売不振はその内外装デザインにあるとついにVW内部でも認識される
| VWは先日も最新モデルに採用されるタッチ式インターフェースの問題を認識し、変更をアナウンスしたばかりである | 現在VWの販売不振は非常に深刻であり、社内でもその理由を探っているのだと思われる さ ...
続きを見る
-
ブガッティの新しいデザイン責任者はこんな人。「私の夢は、いつの日か孫たちとコンクール・デレガンスの芝生を歩き、私がこの時代に作ったクルマを見せること」
| ブガッティでのフランク・ヘイル氏の最初の作品はシロン後継のハイパーカー | ブガッティのクルマづくりに対する姿勢は今でも創業当時と変わらない さて、ブガッティは先日「19年もの間、ブガッティのデザ ...
続きを見る