| ランボルギーニは、エレクトリックモーターそのものよりも、それが発生するパワーをどう使うかを重視している |
たしかにランボルギーニはウラカン、ウルスともにグループ内でパワーユニットを共有しているが、独自の味付けを行っている
さて、ガソリン時代とエレクトリック時代とで大きく変わってくるのが「パワーユニットの重要性」。
たとえばガソリンエンジン時代であれば、スポーツカーにおける中心的価値はその「エンジン」にあると言ってよく、しかしピュアエレクトリックカーであれば「エレクトリックモーター」がエンジンほど重要かというと、そうでもないのかもしれません。
表現が難しいものの、エレクトリックモーター自体は特定サプライヤーが生産して自動車メーカーに供給する場合が多く、よっていくつかの自動車メーカーにおいては「同じ」エレクトリックモーターを使用したりといった例が出てきます。
つまり、エレクトリックモーターが重要ではないというよりは、それによる差別化を出しにくくなると言ったほうが適切なのかもしれません。
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一方、エレクトリックモーターを自社で生産するブランドも
こういった事情を考慮してか、フェラーリは今後エレクトリックモーター、そしてバッテリーセルについて、「完成品」の供給を受けて車体に組み込むのではなく、(これから完成する)自社の工場にて生産を行うとしており、これは「V12エンジンをブランドの核とする」フェラーリだけに、エレクトリック時代であってもパワートレーンは自社でで組み立てるべきだという矜持のあらわれなのかもしれません。
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ただ、今回カーメディアが報じたところによると、フェラーリと双璧をなすランボルギーニは「ピュアエレクトリックカー(ランザドール)について、搭載されるエレクトリックモーターは自社開発ではなく、(自社が属する)フォルクスワーゲングループ内から調達する」こととなるもよう。
これはランボルギーニのCTO(技術部門の責任者)であるルーベン・モア氏が語った内容だとされていますが、一見すると(フェラーリと同じくV12エンジンをブランドの中心的価値とする)ランボルギーニらしくないようにも。
なぜランボルギーニはエレクトリックモーターを自社で開発しないのか
ただ、そこには(逆に)ランボルギーニらしい理由があり、ルーベン・モア氏によれば「エレクトリックモーターは単純明快です。馬力の大小にかかわらず、ほとんどのEVは同じドライビングフィールを提供します」。
つまり同氏はエレクトリックモーターそのものよりも、エレクトリックモーターを「どう使うか」に重きを置いており、たしかに以前、別の場において「ピュアエレクトリックカーにおいて、馬力はすでに差別化要素ではありません」と語っています。
要は「どれだけ馬力が出るか」は問題ではなく「どういった馬力の出方をするのか」「発生させた馬力をどう使うのか」という方向に技術開発の矛先を向けるべきだと捉えているのかもしれません。
たしかにウラカンはアウディR8と同じ5.2リッターV10エンジンを持ち、ウルスはポルシェ・カイエンやアウディQ8と同じ4リッターV8エンジンを搭載していますが、「ウラカンはウラカン」「ウルスはウルス」であり、ランボルギーニがこだわるのは「どういうふうにパワーを駆動力に変換すればランボルギーニらしくなるのか」ということなのでしょうね。
実際のところ、ランボルギーニは(ランザドールにおける)トルクベクタリングについて様々なアイデアを持つといい、その前に発表されたランボルギーニ初のプラグインハイブリッドスーパーカー、レヴエルトではなんと「13」ものドライブモードを持つに至っていますが、ランザドールではもっと多様な、そして変化の幅の大きなドライブモードとトルクベクタリングを持つことになるのかもしれません。
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最後に、ルーベン・モア氏は「将来のランボルギーニのEVがどのようなものになるにせよ、(共通のエレクトリックモーターを使用するにしても)ランボルギーニによって開発される今後のテクノロジーは、どのブランドとも共有されることはありません。これは社内の知的財産です。サプライヤーにも提供することはありません」と語っており、その制御がランボルギーニ独自のものとなることを改めて強調。
加えて「ランボルギーニだけのソリューションがたくさんあります。今日のウルス以上にね。だから重要なのではコンポーネントが共通であるかどうかではないのです」とも述べ、ランザドールにはますますの期待がかかります。
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参照: The Drive