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「対策がなかった」カレラGTのリコールにようやく解決策が見つかる。ポルシェが「サスアームとタイヤ」を交換すると発表、サスアームのみで1570万円の負担に

ポルシェ

| もちろん負担するのはポルシェであり、1台あたり相当な対策費用が必要に |

ただしポルシェはこれを利用し、ミッションXの顧客リストを再整備すると言われている

さて、昨年にポルシェ・カーズ・ノースアメリカ(PCNA)は、カレラGTスーパーカーに対してリコールと運転停止命令を発令しましたが、ポルシェが「カレラGTを運転しないように」と顧客に伝えた理由は”一部のサスペンションジョイントが塩害にさらされると破損する可能性がある”ためです。

そしてこのリコールにつき、「発表されたにもかかわらず」対策が見つからず、オーナーとしては「カレラGTをガレージに置きっぱなしにするしか」なかったわけですが、今回ついにその対策が見つかり、チタン製のサスペンションコンポーネント、さらには新しいタイヤが装着されるという発表がなされています。

結果的に「サスペンションアームが破損した」カレラGTは1台しか発見されていない

この「サスペンション問題」については実際にオーナーが何らかの異常を感じディーラーへとクルマを持ち込んだわけではなく、別の作業にてカレラGTが持ち込まれた際、点検を担当したディーラーが「破損したサスペンションアーム」を発見し、これを検査したポルシェ本社が「(対策が講じられるまで)運転禁止令」を出したというのがこれまでの流れ。

そして今回ようやく出された対策が上述のチタン製サスアームと新しいタイヤなのですが、なんとこのサスペンションアームは109,000ドル(現在の為替レートだと約1570万円くらい)ものコストが掛かっているそうで(もちろんオーナーに負担はない)、つまりポルシェは相当な負担をかぶるということになり、しかし驚くべきは(リコール発表後、持ち込まれた)すべてのカレラGTを検査したものの、破損が確認できたのは最初の一台のみであったこと。

つまりポルシェは「わずかでも危険性があれば」リコールを行い対策を取るという姿勢が明らかになっていて、しかし興味深いのは「タイヤとサスアームの交換がセットになっている」という事実。

この理由としては「カレラGTにはスタビリティコントロールがないため非常に運転が難しく」タイヤの重要性が非常に高いため、当初と設計が異なるサスアームを装着するならば、それに応じたタイヤを装着すべきだというものが想像できます(このタイヤはカレラGT用に新しく開発されたミシュラン・パイロット・スポーツ・カップ2タイヤである)。

参考までに、ポール・ウォーカーの(カレラGTでの)死亡事故もまた「9年以上経過したタイヤが装着されていたこと」が原因のひとつであったとされますが、多くのカレラGTのオーナーは「タイヤがすり減るまで」運転するとは考えられず、よって何年経ってもタイヤの外観は(ひび割れがない限りは)ほぼ変わらず、「溝がまだ残っている」と考えて交換を行わないのかもしれません。

そして、そういったタイヤのまま「新しい(もしかするとジオメトリが変更されている)サスアーム」へと交換すれば事故を誘発する可能性もあり、ドライバビリティの観点からのみではなく、「安全性の確保」という意味でもポルシェはタイヤを交換したかったのかもしれませんね。

ただしこれは「賢い」方法だとする指摘も

よってポルシェは今回のリコール対応において「サスアーム」「タイヤ」を無償で交換することとなり、「運転停止」を指示している手前、積車でカレラGTを引き取る必要も生じ、つまりは「とんでもないお金」がかかることになりますが、スーパーカー系ユーチュバー、ダグ・デムーロ氏によれば「これはいい戦略である」。

どういうことかというと、今回のリコールによってポルシェはカレラGTの(疎遠になっていた)オーナーとコンタクトを取ることが可能となり、この機会を利用して、新しく発売することとなるであろうハイパーカー「ミッションX」の潜在顧客リストを作成できるため。

これが事実なのかどうかはわかりませんが、ミッションXの販売台数を稼げるのであれば(中国市場での販売が減ってしまい利益率を下方修正したポルシェにとって)「高くはない」投資だと考えることもできそうですね。

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