>ポルシェ(Porsche)

ポルシェがMTを救う?ケーニグセグ同様の「AT×MT融合」新技術を特許申請、市販車に搭載されればマニュアル・トランスミッションの未来が変わるかも

ポルシエ911GT3のインテリア

| ポルシェはやはりマニュアル・トランスミッションをあきらめない |

記事の要約:この記事でわかる3つのポイント

マニュアル車(MT)ファンにとって、これほど胸が高鳴るニュースはないかもしれません。

ポルシェが、あのハイパーカーメーカー「ケーニグセグ」に近い革新的な技術を投入し、絶滅の危機に瀕しているMTを救おうとしていることが特許出願の内容から明らかになっています。

  • 革新の特許: ポルシェが、一つのシフトノブで「ATモード」と「HパターンMTモード」を切り替えられる新機構を開発中
  • ケーニグセグの影: ハイパーカー「CC850」に搭載されたESS技術に似た、バイ・ワイヤ方式による「疑似マニュアル」体験
  • 生き残りの鍵: 燃費規制や高出力化により存続が危ぶまれるMTではあるが、この技術なら「規制適合」と「操る楽しさ」を両立可能

消えゆくマニュアルを守れ。ポルシェが見出した「第三の選択肢」

ポルシェは世界で最もマニュアルトランスミッション(MT)を愛し、守り続けているメーカーの一つですが、しかし現代のスポーツカーを取り巻く環境は(非常に)過酷です。

「PDK(AT)の方が速くて高出力に耐えられる」「日常の渋滞ではMTは疲れる」「欧州の厳しい燃費・排出ガス・騒音規制をMTではクリアしにくい」などなど。

こうした課題を解決するため、ポルシェが出願し2026年3月に公開された特許が、「オートマチックとマニュアルを物理的に切り替えるシフトデバイス」というわけですね。

「1グラムの差が勝敗を左右する」。ポルシェがかつてレーシングカーに、そして最新の911カレラTに採用したウッド製シフトノブは軽量性を追加した結果であった
Porsche
ポルシェが公式に「米カリフォルニアでは、騒音規制にひっかかってしまい、新型911GT3のMTを販売/登録できない」とコメント
Oh!ポルシェが公式に「米カリフォルニアでは、騒音規制にひっかかってしまい、新型911GT3のMTを販売/登録できない」とコメント

| マニュアル・トランスミッションに対しては、あらゆる面において「締め付けが厳しく」なっているようだ | もはやマニュアル・トランスミッションは小排気量スポーツカーにしか搭載できなくなりそう さて、ポ ...

続きを見る

仕組み解説:どうやって「AT」と「MT」を使い分けるのか?

今回の特許の肝は物理的なリンクを持たない「シフト・バイ・ワイヤ」技術の活用で・・・。

二つの動作モード

特許図面によると、一つのシフトレバーに対して以下の二つの動作ゾーンが設けられています。

  1. オートマチック・ゾーン(前後方向):通常のAT車のように、レバーを前後に動かして「D(走行)」「N(ニュートラル)」「R(後退)」を選択
  2. Hパターン・ゾーン(前後左右):レバーを横に倒すと、従来の6速MTのようなHパターンの操作が可能になり、電子制御によって、あたかもギアを繋いでいるかのようなクリック感や操作性を再現可能

これは、スウェーデンのハイパーカー、ケーニグセグCC850が採用した「ESS(エンゲージ・シフト・システム)」に近い発想ですが、ポルシェはこれをより実用的、かつ量産を見据えた形でブラッシュアップしているようですね。※あるいは、かつてのトルコンベースの「ティプトロニック」を発展させ、ただしPDKベースとし、H型ゲートを設けたようなイメージか

Image:Koenigsegg

ケーニグセグが世界最速・世界最強のマニュアル車「CC850」を発表!20年前に発売したCC8へのオマージュ、出力は1385馬力
ケーニグセグが世界最速・世界最強のマニュアル車「CC850」を発表!20年前に発売したCC8へのオマージュ、出力は1385馬力

| さすがにこの出力のクルマをマニュアル・トランスミッションにて操作するのはちょっと恐ろしい | ケーニグセグ創業者50歳の折に50台のみが限定販売 さて、ケーニグセグは20年前に最初の市販車「CC8 ...

続きを見る


なぜこの技術が「マニュアルの救世主」になるのか?

メリット詳細解説
渋滞からの解放平日の通勤や渋滞時は「Dモード」で楽に、週末の峠道では「Hパターンモード」で熱く走れる
高出力への対応物理的なクラッチ板ではなく電子制御(バイ・ワイヤ)を介するため、ハイパワーなターボエンジンやハイブリッド車にもMT感覚を導入可能
排出ガス規制のクリアコンピュータが変速を最適化できる余地があるため、手動操作の楽しさを残しつつ、厳しい環境基準をパスできる可能性がある
米国市場の熱い支持特に米国では911 GT3等のMT比率が非常に高く、この技術は北米ファンへの最高の回答になる

競合比較:ケーニグセグ vs ポルシェ、何が違う?

ポルシェが目指すのは、ハイパーカーの超高額技術を「手の届くスポーツカー」へ落とし込むことかもしれません。

  • ケーニグセグ CC850: 世界限定70台、数億円クラス。物理的なクラッチペダルも備え、驚異的な再現度を誇るが極めて複雑※ATのMT化ではなく、「ATとMT両方を備える」と考えるべき
  • ポルシェの特許案: 「シフト・バイ・ワイヤ」を主軸にすることで、既存のPDK(デュアルクラッチトランスミッション)の制御ソフトと物理セレクターの改良で実現できる可能性があり、次世代911への搭載に期待がかかる

なお、現時点では「振動」や「エンスト」までを再現するかどうかはわかりませんが、「PDKベース」であれば(シフトレバーはスイッチの役割しか持たないとは思うものの)マニュアル・トランスミッションに非常に近いフィーリングを持たせることができるものと思われ、この技術の導入を心待ちにしたいところです。

ポルシェ ケイマン マニュアル・トランスミッション車のインテリア
【徹底比較】DCT vs トルコンAT。「速さ」あるいは「快適性」で選ぶ?進化を続けるトランスミッション事情とは
【徹底比較】DCT vs トルコンAT。「速さ」あるいは「快適性」で選ぶ?進化を続ける最新トランスミッション事情とは

| 「もうこのあたりが限界だろう」と感じていても自動車に関する技術は進化を続ける | かつては「快適性と引き換えに効率性や俊敏性を差し出した」トルコン式ATがまさかの進化を遂げる 近年の車の多くに搭載 ...

続きを見る


結論:マニュアルの「定義」が再発明される日

「物理的にシフトレバーとトランスミッションとのリンケージが繋がっていないマニュアルなんて本物じゃない」という声も聞こえてきそうですが、このままでは環境規制によってMT車そのものが販売できなくなる未来がすぐそこまで来ています。

ポルシェのこの特許は、「楽しさ」と「持続可能性」を両立するための究極の妥協点であり、かつ最高のイノベーションであるとも捉えるべきで、もしポルシェが、このハイパーカー級の変速体験を次世代の911やケイマンに搭載してくれたなら。

スポーツカーの歴史にまた新たな1ページが刻まれることは間違いないだろうと考えています。

ポルシェの2024年上半期は全世界で-7%。「主要モデルのフェイスリフトが響いた」とされるもタイカンの販売は-51%、中国市場全体では-33%となり戦略の見直しが必要か

あわせて読みたい、関連投稿

現在、どれくらいの人が「MT」を選んでいるのか?ポルシェ、トヨタ、マツダ等での「マニュアル比率」を見てみよう。なおBRZは驚異の「90%」
現在、どれくらいの人が「MT」を選んでいるのか?ポルシェ、トヨタ、マツダ等での「マニュアル比率」を見てみよう。なおBRZは驚異の「90%」

| 全体的に「マニュアルトランスミッション」回帰の傾向が強く見られる | この記事の要点まとめ マニュアル需要が拡大: 多くの車種で2024年よりもMTの選択率が上昇 驚異の選択率: スバル・BRZは ...

続きを見る

【徹底比較】DCT vs トルコンAT。「速さ」あるいは「快適性」で選ぶ?進化を続けるトランスミッション事情とは
【徹底比較】DCT vs トルコンAT。「速さ」あるいは「快適性」で選ぶ?進化を続ける最新トランスミッション事情とは

| 「もうこのあたりが限界だろう」と感じていても自動車に関する技術は進化を続ける | かつては「快適性と引き換えに効率性や俊敏性を差し出した」トルコン式ATがまさかの進化を遂げる 近年の車の多くに搭載 ...

続きを見る

ホンダ
ホンダも「EV向けフェイクMT」を開発中。ただしクラッチペダルを持ち、そのサウンドはNSXや各タイプR、さらにF1やホンダジェットまでをシミュレート

| かつてホンダはEV向けフェイクMTに対して否定的な見解を示していたが | それでもこの分野に「参入せざるを得ず」しかしホンダらしい手法を採用するようだ さて、ヒョンデは(ピュアEVである)アイオニ ...

続きを見る

参照:CARBUZZ

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->ポルシェ(Porsche)
-, , , , , , ,