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ポルシェは今後「ゼロからコンセプトを構築する完全なワンオフモデル」を拡充する意向。カスタム部門「ゾンダーヴンシュ」がハイエンドパーソナライズを強化

ポルシェ「フラッハバウ(フラットノーズ)RSのエクステリア〜フロント
Porsche

| ポルシェ「ゾンダーヴンシュ」の真価と最新プロジェクトの全貌 |

ポルシェの新しい「財源」がここに誕生

ポルシェが顧客の特別な要望に応えるパーソナライズ部門「ゾンダーヴンシュ(Sonderwunsch=特別注文)」を劇的に進化させるとの報道。

既存モデルのボディカラーやインテリア素材の変更するだけではなく、ゼロから車両コンセプトを構築する完全な「ワンオフ(世界に1台)プロジェクト」へ注力する姿勢を明確にした、と報じられています。

ついさき頃開催されたモントレー・カー・ウィークの「ザ・クエイル」において、ポルシェは現代版フラとノーズ「フラッハバウ RS(Flachbau RS)」をお披露目していますが、このモデルは新車同様の2018年式911 GT2 RS(991.2世代)をベースとし、伝説のレースカー「935/78(通称モビー・ディック)」のフラットノーズデザインを現代的な解釈で蘇らせたワンオフ車両です。

このフラッハバウRSが示すように、従来のカラーコーディネート中心のカスタムから、一歩踏み込んだ車両設計レベルのプロジェクトへシフトしたのが直近のゾンダーヴンシュプログラムということになりますが、ポルシェのプロダクトおよび個別化担当副社長であるアレクサンダー・ファービグ氏が明かした、この特別部門の未来像と開発の裏側に迫ってみましょう。

ポルシェのカスタムプログラム、エクスクルーシブのレザー見本
Life in the FAST LANE.
ポルシェ「フラッハバウ(フラットノーズ)RSのエクステリア〜フロント
ポルシェが「フラッハバウ RS」を初公開。GT2 RSベースに「モビー・ディック」の美学を凝縮、あのフラットノーズを再現したマニア垂涎の一台に

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この記事の要約

  • ワンオフ部門の進化:ゾンダーヴンシュは「限定カラー仕上げ」の域を超え、ボディ造形や概念レベルからのワンオフ制作へシフト。
  • 約3年の開発期間:一例として「フラッハバウ RS」の開発には39ヶ月、テスト車両3台を投入する本格的な自動車開発を実施。
  • 高価格帯の設定:コンセプト策定だけで15万ドル(約2,200万円)、実際の車両制作は200万ドル(約3億円)〜と超高額。
  • 4ドアスポーツカーへの打診:顧客からはカイエンやパナメーラなどの4ドアモデルをベースにしたワンオフに関する問い合わせも寄せられている。
  • 馬力よりデザイン重視:顧客の要求は最高出力の追求よりも、独自のボディスタイルやデザインなど「所有・創造体験」に集中している。
ポルシェ911GTSのホイール
Life in the FAST LANE.

3年の歳月と数億円を投じる「夢のクルマづくり」の実態

ポルシェの個別化プログラム「ゾンダーヴンシュ」におけるワンオフ制作は、既存のチューニングショップとは異なり、メーカー本社の技術と安全基準をそのまま対象車両へと反映させて行われます。

「コンセプト策定フェーズ」に進むだけで15万ドル(約2,200万円)の基本料金が発生し、実際の車両制作費用は200万ドル(約3億円)からスタートするとされ、完成までの期間は平均約3年。

例えば「フラッハバウ RS」のプロジェクトでは、完成までに39ヶ月の歳月を要し、それまでに3台の開発テスト車を投入したそうですが、ポルシェ本社のエンジニアリングチームやモータースポーツ部門(Manthey等)と連携しながら風洞実験や衝突シミュレーション、ニュルブルクリンクでの実走テストまで実施された、と説明されています(この内容を聞くに、フラッハバウRSはゆうに3億円を超えていそうだ)。

ポルシェ「フラッハバウ(フラットノーズ)RSのエクステリア〜リア
Porsche

ポルシェ「ゾンダーヴンシュ」ワンオフプログラム概要

項目内容
開発リードタイム平均約3年(例:「フラッハバウ RS」は39ヶ月)
着手金(コンセプト段階)一律 150,000ドル(約2,200万円)
車両制作ベース価格2,000,000ドル〜(約3億円〜)
主なカスタム範囲ボディスタイリング、空力パーツ、インテリア、専用シャシー調整など
顧客のトレンド馬力向上よりも、デザインやストーリー性、専用ボディ構造を重視

顧客が求めているのは単なる「最高出力(馬力)の向上」ではなく、ファービグ氏によると、ポルシェのクルマは本来の基本性能が十分に高いため、オーナーの多くは「(走行性能はもう十分であると判断し)自分だけのスタイリング」や「ポルシェの歴史と自分自身のアイデアの融合」といったストーリー性に価値を見出しているのだそう。

ポルシェの「型押し用」クレスト(エンブレム)
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4ドアポルシェのワンオフ展開と市場での位置付け

ゾンダーヴンシュプログラムの可能性は伝統的な2ドアスポーツカーの「911」のみにとどまらず、ファービグ氏へのインタビューでは、顧客から「4ドアモデル」に関する問い合わせが複数寄せられていることが明かされています。

特にカイエンやパナメーラ、タイカンといった4ドアモデルをベースとしたワンオフスポーツカーの打診が行われており、今後スポーツカーの枠を超えた完全オーダーメイド車両が登場する可能性も考えられ、たとえば「パナメーラの2ドアクーペやオープン化」、「カイエンのハードコア化やピックアップトラック化」といったボディ形状はもちろん、キャラクターの変更が行われるのかもしれません。

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ウルトララグジュアリー市場におけるポルシェの競合優位性

超富裕層向けのコーチビルド(受注生産ボディ)市場では、フェラーリの「フオーリセリエ」部門、ロールス・ロイスの「コーチビルド」部門などが存在感を放つところではありますが、その中でポルシェ「ゾンダーヴンシュ」が持つ強みは「サーキットでの走行に耐えうる純正メーカー品質と信頼性」を兼ね備えている点で、歴史的レースカーのオマージュから最新エアロダイナミクスまで、ポルシェのモータースポーツ技術をダイレクトに反映できる点がコレクターにとって最大の魅力となるのでは、と考えられます。

そしてこれまで「ポルシェのコーチビルディング」だと、現在はシンガー・ヴィークル・デザインやガンサーワークス、ルーフ、そしてランザンテなど外部に依存することも少なくはなく、しかしポルシェがこれを一手に引き受けることにより、ポルシェは「いままでほぼ手つかずであった層」を取り込むことができるのかもしれません。

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なお、ポルシェはこういった(ワンオフ車両製作の)ビジネスモデルをずいぶん前から考えていたようで、実際にシンガー・ヴィークル・デザイン、そしてルーフに買収を持ちかけるも、双方から「断られた」とも報じられていますね。

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関連知識:ポルシェのカスタマイズ史と「ゾンダーヴンシュ」の起源

ポルシェのオーダーメイドの歴史は古く、1950年代に顧客からの個別リクエスト(Special Request=ドイツ語でSonderwunsch)に応じる形から始まっていて・・・。

  • 1978年:正式なカスタマイズ部門(後のPorsche Exclusive Manufaktur)の前身が誕生。
  • 1980年代:930型911をベースにした「フラットノーズ(Flachbau)」のファクトリーカスタムが話題となり、富裕層の間でブームを巻き起こす。
  • 2021年以降:「Sonderwunsch」ブランドを現代に再定義。単なるパーツ装着にとどまらない、工場直営のワンオフ制作プログラムとして復権。

往年の「フラットノーズ」が最新のGT2 RSをベースに復活したように、ポルシェの持つ豊かなモータースポーツの歴史資産、そして現代の最新技術が融合する場としてゾンダーヴンシュは機能しています。

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結論:コレクターズカーの未来を切り拓くポルシェの挑戦

ポルシェの「ゾンダーヴンシュ」プログラムは、ハイエンド自動車市場におけるパーソナライズの概念を更新し続けており、「夢を形にする(you dream it, we build it)」という理念のもと、数億円の資金と数年の歳月をかけて作られるワンオフ車両は、単なる移動手段や高級品ではなく、オーナーとポルシェが共同で創り上げる「走る人生あるいは歴史」と言えるもの。

今後、数か月・数年のうちに更なるワンオフプロジェクトが公表される予定となっており、911のみならず4ドアモデルも含めた新たな驚きがプレミアムカー市場を揺るがすことになるのだとも考えられます。

なお、現在の「コレクター市場」では、メーカーが限定販売するクルマを蒐集するというのが主な流れではありますが、今後各プレミアムカーメーカーが「ワンオフ」を加速させ、そしてそういったクルマたちが中古市場に登場して高値で売買されるのが「日常」になったとしたら、次に富裕層が目指すのは「自動車メーカーにワンオフモデルを作らせること」なのかもしれませんね。

フェラーリ モンツァSP1のドアミラー
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参照:Car and Driver

->ポルシェ(Porsche)
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