| 驚くべきことに、まだまだ単独メーカーも多く残っている |
さて、再編激しい自動車業界。
様々なブランドが売買され、たとえばランボルギーニは今に至るまで7回も経営が変わっており、アストンマーティンも7たび経営者が変わっています。
そのほかロータスは中国企業に買われたりといった驚きの事例もあり、ここで「どのブランドがどのグループに属しているのか」を見てみたいと思います。
この自動車メーカーはこういったブランドを保有している
欧州ブランドであっても「欧州以外のメーカーに」買われてしまった例もあったり、はたまた中国に身売りしてしまったり、「思っていたのと違う」メーカーに属していたりする例もたくさん。
なお、そのグループ傘下にある会社でも、「自動車とバイク」以外は除外しています。
BMWグループ
BMWはあまりブランドを増やさず、あくまでも中心となる「BMW」を重視するという印象も。
その元となるBMWは1917年に創業しています。
かつては「ランドローバー」も保有していたものの、現在はインドのタタに売却済みとなっており、現在保有するブランドは下記の通り。
・BMW ・MINI ・ロールスロイス ・BMWモトラッド(バイク) |
ダイムラーAG
メルセデス・ベンツを中心としたグループですが、これまでにダイムラー・ベンツ、ダイムラー・クライスラー、そして現在のダイムラーへと変遷。
母体の設立は1899年と古く、設立者のカール・ベンツは世界で最初に自動車の運転免許を所得した人物です。
日本ではあまり実感が湧かないものの、トラックやバスなど輸送用車両のブランドも多く保有していますね。
なお、ルノー=日産=三菱アライアンスと協力関係にあります。
・メルセデスベンツ ・スマート ・メルセデスベンツ・トラック ・フレイトライナー ・ふそう ・ウエスタンスター ・バーラト・ベンツ ・メルセデスベンツ・バン ・メルセデスベンツ・バス ・セトラ ・トーマスビルト |
フィアット・クライスラー・オートモビルズ(FCA)
2014年にフィアットとクライスラーとが合併して誕生したFCA(本社はオランダ)。
フィアットは1899年創業の老舗で、クライスラーも1925年創業と古い歴史を持っています。
数々のブランドを保有するも今ひとつ有効に使い切れず、苦戦中のブランドも多数。
フェラーリはかつてここへ属していたものの、現在は株式上場後、FCAが保有する株を売却することで離脱していますが、今でもフェラーリの大株主にはフィアット創業者一族でもあり、事実上「FCAとは切っても来れない」関係にあります。
・クライスラー ・ダッジ ・ジープ ・ラム ・フィアット ・アルファロメオ ・フィアットプロフェッショナル ・ランチア ・マセラティ |
フォード・モーター・カンパニー
1903年設立、そして世界で最初に自動車の量産(フォードT)に成功したフォード。
過去にはアストンマーティン、ボルボを保有していたことがありますが、現在は下記ブランドのみに絞り、さらにフォードブランドの中でも「北米ではセダンとコンパクトカー撤退」を決めるなど、思い切った取捨選択を行うブランドでもありますね。
・フォード ・リンカーン |
ゼネラルモータース(GM)
創業1908年、そして多チャンネル展開を行うことでも知られます。
過去にはオールズモビル、ポンティアック、サターン、ハマーも保有していましたが、現在は「廃止」され、以下のブランドのみが残っています。
・ビュイック ・キャデラック ・シボレー ・GMC ・ホールデン ・Baojun(中国) ・Jiefang(中国) ・Wuling(中国) |
ホンダ
1949年創業のホンダ。
ホンダは提携や協業を好まず、なんでも「独自」で進めることを好みますが、そのぶん開発にかかる負担が大きく、かつ技術の活性化が起きないという問題も。
いわゆる「純血主義」の会社ですが、それがホンダを滅ぼす、とも言われていますね。
・ホンダ ・アキュラ |
ヒュンダイ
ヒュンダイの創業は1947年。
日本の自動車メーカーを目の敵にしているという印象がありますが、著名デザイナーをガンガン引き抜くことでも知られます。
その割には「ブランドの買収」には興味が無いようで、あくまでも自社ブランドの成長にこだわっているようです。
・ヒュンダイ ・キア ・ジェネシス |
オペルPSA
プジョーとシトロエンが合併して1976年にできたPSA。
2017年にはオペルを買収してオペルPSAと車名を変更しています。
・プジョー ・シトロエン ・DS ・オペル ・ボグゾール(ボクスホール) |
ルノー=日産=三菱
ルノーと日産は1999年にアライアンス(同盟)関係を結び、その後2016年には三菱が日産に買い取られる形でここに加わることに。
他のグループと異なるのは「本社を統一」せず、ルノー(フランス)、日産(日本)、三菱(日本)がそれぞれ独立した本社を構えて機能していること。
ダイムラーAGとも提携関係にあり、エンジン技術や車種そのもののOEMも行っていますね。
・ルノー ・日産 ・三菱 ・ダチア ・アルピーヌ ・インフィニティ ・ラーダ ・ルノーサムスン(韓国) ・ヴェヌーシア(中国) |
トヨタグループ
トヨタは1935年に「G1」ピックアップトラックを発売し自動車産業に参入していますが、「トヨタ自動車」としてのスタートは1937年。
日本を代表する自動車メーカーでもあり、日本における「旗振り役」となって業界をまとめる会社でもあります。
最近ではスバルへの出資比率を20%にまで高めたほか、マツダやスズキとの提携も発表していますね。
・トヨタ ・レクサス ・日野 ・ダイハツ |
フォルクスワーゲングループ
そしてトヨタと並ぶ巨人、フォルクスワーゲン(1937年設立)。
BMWとは対象的に、中心となるブランド(VW)の拡大よりも、他ブランドの買収によって利益を拡大しています(フォルクスワーゲンを高級ブランドに移行させるよりは、高級ブランドを買い取ったほうが手っ取り早い)。
販売台数のみならず、自動車史において重要なブランドをごっそり揃えており、そのシナジー効果におけるコストパフォーマンスは抜群と言っていいでしょう。
・フォルクスワーゲン ・アウディ ・ベントレー ・ブガッティ ・ランボルギーニ ・ポルシェ ・セアト ・シュコダ ・MAN ・スカニア ・フォルクスワーゲン・コマーシャルビークル(商用車) ・ドゥカティ |
タタ・グループ
インドにて「世界一安いクルマを作る」のがタタで、もともとは貿易会社として1868年に創業。
1907年に鉄鋼業へと参入し、1945年に自動車製造を開始しています。
2008年にジャガー・ランドローバーを購入していますね。
・タタ ・ランドローバー ・ジャガー ・タタ・デーウ・コマーシャルビークル |
吉利汽車
もともとは冷蔵庫製造からはじまったとされる吉利(Geely)。
創業は1986年ですが、その成長スピードたるや中国内でも抜きん出ており、CEOである李書福氏は「個人のお金で」メルセデス・ベンツの株を買い集め、筆頭株主に躍り出ているほど。
「スマート」の株式も半数取得済みです。
・Geely Auto ・ボルボ ・ロータス ・プロトン ・ロンドンEVカンパニー(ロンドンタクシー) ・Lynk&Co ・Yuan Cheng Auto ・Terrafugia(空飛ぶクルマ) |
そのほか、過半数を単独資本(自社ではなく投資グループが出資している場合も)としている会社、グループに属していない会社としてはマクラーレン、KTM、フェラーリ、パガーニ、ケーニグセグ、マツダ、スバル、テスラ等があるものの、まだまだ業界の再編は加速することはあっても、とどまることはなさそうですね。