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フェラーリ456GTの中古相場が程よく下がり、GRスープラ、新型フェアレディZと同等の価格へ。新世代フェラーリの第一号、456GTはこんなクルマだった

フェラーリ456GTの中古相場が程よく下がり、GRスープラ、新型フェアレディZと同等の価格へ。新世代フェラーリの第一号、456GTはこんなクルマだった

| フェラーリの社長がルカ・ディ・モンテゼーモロに変わった後の「積極政策」第一号 |

それまでとは異なり「多くの人に向け」乗りやすく豪華な設計や装備を持っていた

さて、フェラーリの中古車というと「とにかく高い」というイメージがあるものの、そんな中でもフロントエンジン車、さらに4座モデルには驚くほど安いものも。

とくにここ最近では456GTの価格が下がってきており、新車のフェアレディZ(バージョンST)やGRスープラ(RZ)と変わらない価格にて購入できるレベルとなっていて、現在カーセンサーエッジに掲載されているものだと630万円~690万円といった価格帯です。

ちなみにこの価格帯は、フェラーリとしてはモンディアルと並んで「最安」ですが、456GTは年式やデザインがモンディアルよりも新しく、その意味ではお買い得かもしれません。

456GTは数年ぶりに復活した「フロントエンジン」搭載フェラーリだった

フェラーリ456GTは1992年に登場しており、フロントに5.5リッターV12エンジンを積み後輪を駆動するグランツーリスモ。

特筆すべきは乗車定員が4名ということで、1985年の「412」以降途絶えていた「フロントエンジンフェラーリ」を復活させたことも大きなトピックです。

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当時のフェラーリは1998年にエンツォ・フェラーリが亡くなった後、F1、市販車ともに不安を抱えていた状態であり、ここへ(1991年に)CEOとしてやってきたのがルカ・ディ・モンテゼーモロ(1997年までフェラーリに在籍し、その後当時の親会社であるフィアット役員へと就任。そしてまたフェラーリへと復帰)。

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そして同氏はここで456GTや575マラネッロ、その後の360モデナなど「新世代」フェラーリを開発し市場へと投入していますが、それまでの「平面、直線」を用いたデザインから丸みを帯びたデザインへと路線を変更し、さらにはアルミニウムの使用を拡大するなど一気に近代化を図っています。

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同時に快適性や実用性についても多大な注意を払い、フェラーリを「エキセントリックなスポーツカー」から「日常的に乗れる信頼性の高いスポーツカー」へと進化させた時代でもあり、456GTはフェラーリの歴史の中でも重要な意味を持っている、と認識しています(参考までに、1999年に登場した360モデナのシート後方にはゴルフバッグを2個積むことができるが、当時はそれくらいフェラーリがラグジュアリー路線を意識していた)。

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フェラーリ456GTは当時「最先端」を極めたクルマだった

そして456GTに話を戻すと、ルカ・ディ・モンテゼーモロ氏のもと進められた「積極政策」第一号車で、当時不振を極めていた購入スポーツカー市場へと投入された意欲作。

もちろんピニンファリーナによってデザインがなされ、365GTB/4デイトナを意識したフロント部がとくに高く評価されていますが、F355以降大幅に向上したエアロダイナミクスにも磨きがかかり、リアスカートにアクティブスポイラーが内蔵されるなど最新デバイスも投入されています(レトロとモダンとを融合させたデザインが高い評価を得た)。

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なお、車体構造はまだモノコックではなく伝統的なスチール製チューブラーフレームを採用し(ティーポF116CL)、全長4,730ミリ、全幅1,920ミリ、全高1,300ミリ、そしてボディパネルの多くはアルミ製。

これを「フェラン」と呼ばれる、異なる素材(ここではスチールとアルミ)を溶接できるように化学処理がなされた素材を介してチューブラーフレームへと溶接されています。

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ホイールはフェラーリ伝統の星型を採用し、しかしスポークの表面は凹凸の付いた立体的なもので、ダンパーは3つのモードから成る可変式、そしてリアには自動車校調整機構も備わるというけっこうハイテクなクルマ。

そのほか車速感応式パワーステアリング、ABSといった当時最先端の装備が与えられ、フェラーリがどれほど456GTに心血を注いだか、そしてそれほど近代化に注力したかもわかりますね。

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搭載されるエンジンは上述の通り5.5リッターV12(456というネーミングは1気筒あたりの排気量から)、形式はティーポ116B(のちに改良され116Cへ)、バンク角は65度(フェラーリのV12エンジンは180度もしくは60度が多い)。

エンジンブロックやシリンダーヘッド、オイル散布(ドライサンプ採用)はアルミ製、エンジンマネージメントシステムはボッシュ製のモトロニック2.7(のちに5.2へ)、最高出力は442馬力です。

トランスミッションは新開発の6速マニュアル(トランスアクスルレイアウト)、1996年には4速ATが追加されています(これを搭載したモデルが456GTA)。

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インテリアはもちろんフルレザー張り(456GTはコノリーレザーを使用した最後のフェラーリとなった)、そして電動フロントシートはシートバックを倒すと自動で前方にスライドして後席の乗り降りを助けるという親切機能も。

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リアシートは足元や頭上ともにけっこう広く、「ほとんどの成人にとって十分な空間」を確保しています。

そのほか、標準にてレザー張りスーツケース、CDプレーヤーも付属し、1996年後半からはエアバッグも標準化されています。

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上述の通り456GTは「フェラーリの近代化の先駆的」存在でもあり、そのために新たな設計やユニット、パーツが使用されていて、しかしそれがアダとなって「トラブルが多い」と言われるクルマ。

電装品からエンジン、トランスミッションまで何かと問題の多いフェラーリだとは言われますが、経験豊富なショップであれば修理できる範囲であり、それなりの愛情(とお金)をかけてやれば問題なく乗れるレベルにまで回復させることが可能だとも言われます。

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そして、運が良ければ「愛情を注がれた」しっかりメンテナンスと対策が施された456GTと出会うこともでき、GRスープラやフェアレディZを購入するだけの余裕がある人は一度456GTに目を向けてみてもいいかもしれません。

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参考までにですが、ブルネイ王室がピニンファリーナに注文したステーションワゴン(ベニス)、スパイダーといったスペシャルモデルも存在し、フェラーリ458はなかなかに奥が深いモデルでもありますね。(チューブラーフレーム採用のため、モノコックに比較すると構造変更が容易だったのかもしれない)。

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参照:Ferrari

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