![生産わずか153台、ディーノ206GTが競売に登場。なぜかシートはモッフモフ、それでもフェラーリの認定つき、予想落札価格は1億1100万円](https://intensive911.com/wp-content/uploads/2023/02/Ferrari-Dino-1-1.jpg)
| ディーノの初期型、206GTは軽量なアルミボディを持っており、そのぶん高い人気を誇っている |
もともとのボディカラーはロッソ、しかしレストア時に珍しいメタリックグレーに
さて、わずか153台しか生産されなかったディーノ206GTのうちの1台が「最高落札価格825,000ドル(現在の為替レートにて1億1100万円)」という予想落札とともにオークションに登場予定。
このディーノ206GTはカリフォルニアのディーノ・レストレーションによる3年間のレストアを経て美しく仕上げられており、フェラーリのクラシックカー部門、「フェラーリ・クラシケ」の認定書も付属するという理想的なコンディションを持つ一台。
さらにはパームビーチ・カヴァリーノ・クラシック、モントレーのコンコルソ・イタリアーノに複数回出展され、2017年にクラス2位を獲得したという輝かしい経歴も保有しています。
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フェラーリ・ディーノはこんなクルマ
フェラーリ・ディーノは当初「フェラーリ」の名をどこにも冠しないまま、単に「ディーノ」ブランドからの発売となっていますが、この「ディーノ」とはご存知のとおりフェラーリ創業者であるエンツォ・フェラーリの息子、アルフレッドの愛称です。
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ただ、エンツォ・フェラーリとしては、「ディーノ」の名を使用することを目的としたたわけではなく、単にV12エンジンを積まないフェラーリを発売することででフェラーリブランドの価値を損なうことを恐れ、そこでV6エンジンを搭載するクルマ、およびそのブランドについて「フェラーリ以外の」名を与えたかったのだと言われています。
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このアルフレッドはV6エンジンの可能性を信じ、自らその設計に携わったとされますが、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを患い、1956年に24歳という若さでこの世を去ってしまい、エンツォ・フェラーリは亡きディーノを偲び、1965年のパリ・サロンで発表され、1967年に発売された「V6フェラーリ」にディーノの名を与えたわけですね。
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しかしながらエンツォ・フェラーリは単なるノスタルジーのためのディーノを発売したわけではなく、ディーノ発表の数年前から、フェラーリではV12エンジンではなくV6エンジン搭載車が表彰台を獲得する例が多くなっていたこと、ポルシェに直接対抗できる価格帯の市販車を望んでいたこともあり、よって誕生したのがこのディーノ206ということなります。
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このディーノを「フェラーリ」としてカウントするならば、フェラーリ初のミッドエンジンレイアウトを持つ市販車ということになりますが(これを除外すれば、365GTB4 BBがフェラーリ初のミドシップ車)、このディーノ206GTはカムシャフトカバーに堂々と「Dino」の文字が刻まれたV型6気筒エンジンを搭載した最初のクルマでもあり、アルミニウム製の外装を持つという先進的かつ画期的なスポーツカーでもあります。
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スタイリングを担当したのは(ピニンファリーナの)アルド・ブロヴァローネとレオナルド・フィオラヴァンティで、ボディの製造を請け負ったのはカロッツェリア・スカリエッティ。
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このディーノは1962年に排気量を400ccアップして「ディーノ246」へとスイッチしますが、その際にコストの兼ね合いにてボディパネルがスチール製に変更されており、かつディーノ246はGTB/GTSあわせて3,761台という(かなり多い)台数が生産されたため、「生産台数が少なく、かつ軽量なアルミボディを持っていた」206GTの人気が相対的に高くなっており、当然ながら中古市場での取引価格も206GTのほうが大幅に高くなっています。
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なお、「フェラーリ」の名を冠したV6エンジン搭載モデルは296GTBが「初」となりますが、ディーノ206GTをフェラーリにカウントするならば、もちろんこのディーノ206GTが「初のV6エンジン搭載モデル」。
ちなみに給油口は296GTBと同じ位置にありますね。
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リアガラスは大きく湾曲し、当時の技術ではけっこう製造が困難だったかも。
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この「フェラーリ」ディーノ246GTはこういった経歴を持っている
そこで今回オークションに出品されるディーノ206GT(シャシーナンバー00136)につき、1968年8月30日にマラネッロの工房を出発し、同日にミラノのクレパルディ・アウトモビリ社へと届けられ、ボディカラーはロッソ・キアロ、内装はネロ・ビニール・シート / レッド・クロス・インサートという仕様を持ち、最初のオーナーであるイタロ・ムジコへと納車されています。
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イタル・ムジコはその後4年間、このディーノ206GTを愛用し、1972年にイタリア駐在のアメリカ軍兵士、ドン・グリッグ大尉に売却し、その後ドン・グリッグは帰国の際にアメリカにこのディーノ206GTを輸入することに。
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1974年になると、ドン・グリッグはこのディーノ206GTをチャールズ・チャック・サデックに売却し、なんとその後30年間、このチャールズ・チャック・サデックによってディーノ206GTが保管されることとなります。
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2004年、チャールズ・チャック・サデックはカリフォルニア州オーシャンサイドに住むトム・ショーネシーにこの車を売却し、同年にはカリフォルニア州ニューポートビーチのマイク・アレキサンダーの手にわたりますが、マイク・アレクサンダーは2年間このディーノを所有した後にフランク・サウセドに売却したという記録が残ります。
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フランク・サウセドは2008年に再びトム・ショーネシーにこの206GTを売却し、さらにトム・ショーネシーはカリフォルニア在住のジョン・ガンダーソンへと転売することに。
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ただ、ジョン・ガンダーソンのもとでいったんこの206GTは落ち着くことになり、彼は2013年に「コンクールコンディションに」仕上げるべくレストアに着手しますが、その後3年間を費やしてカリフォルニアをベースとするディーノ・レストレーションにて「全てのパーツを分解し、塗装も全て剥がしての」徹底的な整備が行われます。
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さらにはカリフォルニア州オーシャンサイドのドゥーガン・エンタープライズがメカニカル面を担当し、最後にはカリフォルニア州サンティーのスピードゾーンにてグリジオ・ノッテ・メタリーザート(メタリックグレー)へとペイントされることに。
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なお、このユニークな内装はイタリアの椅子張り専門店、ルッピから入手した青いを使用したもので、サイドの黒いビニールはフェラーリ純正なのだそう。
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レストアを終えた後、ペブルビーチ・カヴァリーノクラシック、モンタレー・コンコルソ・イタリアーノに複数回出場し、2017年にはクラス2位を獲得することになりますが、レストアそしてコンクールへの入賞によって「ハク」がついたと考えてよく、おそらくはかけたコスト以上の価格にてマイク・シーハンへと2018年に売却し、そして同年にこの206GTを手に入れたのが現在の所有者なのだそう。
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当初のボディカラーやインテリアの仕様とは異なる部分があるものの、そのコンディションはすばらしく、なによりフェラーリ・クラシケのレッドブックを取得しているという事実がこのディーノ206GTの価値を押し上げていると考えられ、現存するディーノ206GTの中でも「もっとも価値の高い」一台であるのは間違いないかと思われます。
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3本スポークステアリングホイールとシフトノブは当時の純正品だと紹介されており、14インチサイズのミシュランMXVタイヤ、クロモドーラアロイホイール、マネッティマレリ製ワイパーといった当時の装備も「そのまま」残ります。
![Ferrari-Dino (18)](https://live.staticflickr.com/65535/52700237670_ed5dd2465a_c.jpg)
付属品としてはツールロール、FIAMM製バッテリー、オーナーズマニュアル、ガランツィアブックレット、小型ポストジャッキ、消火器等がアナウンスされており、これらも「新車時からずっと」車両と一緒にそれぞれのオーナーの手を渡ってきたもので、その歴史を証明する品々ということになりそうですね。
![Ferrari-Dino (20)](https://live.staticflickr.com/65535/52700314993_840f618836_c.jpg)
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