Image:RM Sotheby's
| このフェラーリ250GT SWB カリフォルニア スパイダーは「生産第一号」そして3台しか製造されなかった競技用エンジンを搭載したクルマである |
数あるクラシックフェラーリの中でも「相当に高額」で取引された部類となっている
さて、モントレー・カーウィーク中に開催されたオークションにて、スカリエッティによる最初のフェラーリ250GT SWB カリフォルニア スパイダーが「17,055,000ドル」という驚異的な価格で落札され多くの人を驚かせることに。※フェラーリの落札価格では歴代13位くらいではないかと思われる
フェラーリ「250」シリーズには様々なバリエーションが存在し、つい最近もフェラーリ自身が「いかに250シリーズが特別であるか」というコンテンツを公開したばかりですが、この「特別」な理由の一つに「顧客の求めに応じてカスタムを行い販売した初めてのフェラーリ」であることが挙げられ、つまり現代のテーラーメイドの魁だと捉えることも可能です。
そして今回の250250GT SWB カリフォルニア スパイダーについては「わずか3台しか」製造されなかった特別な仕様を持つといい、ここでその内容を見てみましょう。
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フェラーリのイベントに行くと必ずといっていいほど展示されている「250GT」。なぜフェラーリはこのモデルを特別視し、重要なモデルだと位置づけているのか
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このフェラーリ250GT SWB カリフォルニア スパイダーはこんな背景を持っている
この250GT SWB カリフォルニア スパイダーについて掘り下げてみると、まず、この「カリフォルニア スパイダー」はカリフォルニアの輸入業者、ジョン・フォン・ノイマンの発案によって誕生しており、そのアイデアとは「レースに出場して帰宅できるドロップトップ バージョン」。
よってここに250GT ”LWB” カリフォルニア スパイダーが実現し、このモデルは50台が生産されています。
その後、フェラーリはこのLWB=ロングホイールベースとは別に、ホイールベースを2,400ミリに短縮した250GT ”SWB” カリフォルニア スパイダーを製造することとなるのですが、このショートホイールベースバージョンはあわせて56台が製造されたという記録が残ります。
今回オークションに出品された「シャシーナンバー1795GT」は250GT SWB カリフォルニア スパイダーの生産第一号車であり、1960年3月に開催されたジュネーブモーターショーのフェラーリブースに展示され、その後にいったんマラネロのファクトリーに戻り、そこでブラックのインテリアに変更され顧客に納車されたと説明されています。
その後ニュルブルクリンクを含むいくつかの有名なサーキットにてレースを戦い、アメリカへと輸出されることになりますが、アメリカでは数十年を過ごし、その間にはフィリップモリスの上級役員を含む数人のオーナーの手に渡り、2008年に現在のオーナーの手に渡ったのだそう。
そしてこの個体について特筆すべきは、(フェラーリ250GT SWB カリフォルニア スパイダーの最初の個体というだけではなく)フェラーリの有名な”Tipo 168” V12エンジンの競技バージョンを搭載したわずか3台のうちの1台ということで、さらには珍しいカバー付きヘッドライトとファクトリー純正のハードトップを備えているということ。
おまけにオリジナルのエンジン、ギアボックス、ドライブトレインが搭載されており(つまりマッチングナンバー)、それらを証明するフェラーリクラシケ「レッドブック」も付属しいるというので、「そうあるべくして」この価格にて落札されたと考えることもできるかと思います。
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参照:RM Sotheby's