フェラーリF80の「20％が売れ残っている」?　F80はエンツォフェラーリ、ラフェラーリなどこれまでの「創業記念限定モデル」とは何が違うのか

｜　おそらくF80の持つ意味は、それぞれの記念限定モデルを並べてみたときに「はじめて理解がなされる」のかもしれない　｜

そして時間の経過とともに、その意義が広く理解されることになるだろう

さて、フェラーリは最新限定ハイパーカーとして「F80」を発売していますが、そのF80の約20％が「売れ残っている」との報道。

これはいささかショッキングな内容であり、というのもフェラーリの限定モデルはその発表時にすべて売り切れるのが常であるためで、しかし今回は発表から2ヶ月が経過しても「完売していない」ということに。

なぜフェラーリF80は売れ残っているのか？

フェラーリF80が（今回の報道が真実だとして）売れ残っているとすれば、その理由にはいくつかの要因が考えられ、ひとつはその「スタイル」。

F80は過去のフェラーリへのオマージュというよりは「未来」を強く意識したデザインを持っており、つまりタイムレスではなかったことが挙げられます（ただ、フェラーリのヘリテージを反映させたデザインについては現在ICONAシリーズが担当しており、よってフェラーリはF80においてイコーナとの競合を避けたかったのだと思われる）。

そしてもうひとつが「パワーユニット」。

F80はフェラーリ伝統のV12ではなくV6＋ハイブリッド、かつ4WDを採用しており、そこが「フェラーリ的ではない」「ピュアではない」と捉えられた可能性も。

ただ、F80はフェラーリの「創業記念モデル」でもあり、よって現時点で最も成功を収めているル・マン・ハイパーカー「499P」由来のセットアップを持つことは至極当然であり、ずっと先になってフェラーリの歴史を振り返ったときに「なるほど」と思えるはずではあるのですが、やはりフェラーリの記念限定モデル＝V12であるべきという思想が根強いのかもしれません。

そして最後に考えられる要素は「価格」。

フェラーリF80は「約6億円」という驚愕のプライスタグを掲げており、この金額を支払える顧客が（F80の限定台数である）799人もいなかった可能性も。

そしてこの「799台」はラ・フェラーリの「500台」、マクラーレンW1の「399台」、ブガッティ・トゥールビヨンの「150台」よりもかなり多く、「価格に対する希少性」に懸念を表明した人も少なくはないのかも。

さらにマクラーレンW1は約4億5000万円、ブガッティ・トゥールビヨンは約7億円という設定なので、フェラーリF80は「割高」「台数が多い割に高額」と捉えられてしまった可能性もありそうです。

ただ、上述の通り「その時代のフェラーリを端的に表すハイパーカー」としてF80はこれ以上ないほどの用件を備えており、そしてそれは今は一部では理解されないかもしれませんが、時間の経過とともに理解される日がやってくるのだとも考えています。

そして何より、フェラーリコレクターが「288GTO、F40、F50、エンツォフェラーリ、ラフェラーリ、そしてF80」を自身のガレージに並べたとき、それらの作られた時代背景に思いを馳せ、そして過去を振り返ることができるクルマがF80なのではないかと捉えています（つまり、記念限定モデルがすべてV12だと意味がない）。

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参照：TheSupercarBlog