| ダウンフォースは8%アップ、車高ダウン、トレッド拡大などその進化の幅は非常に大きい |
ウラカン・ペルフォルマンテへのオマージュが随所に見られるところも面白い
さて、ランボルギーニがついに「新型」ウルス・ペルフォルマンテを発表。
ランボルギーニによると「スーパーSUVのファン・トゥ・ドライブの新しいベンチマーク」「軽量化、空力設計、スポーティなドライビング・ダイナミクスが新次元へ」「47kgの軽量化と666馬力へのパワーアップ」「0-100 km/h加速3.3秒、最高速度306 km/h」というトピックを掲げており、文字通りSUVの新しい基準を打ち立てることになるモデルだと考えて良さそうです。
なお、車高が下がり、トレッドが広がっているため、より「スーパースポーツ感」が増したようにも感じますね。
新型ウルスはストリート、サーキット、オフロードでのパフォーマンスが向上
フェイスリフト版であり、そしてそのハイパフォーマンスバージョンだと思われる(もうひとつ発表されるウルスのポジションがわからない)このウルス・ペルフォルマンテですが、つい先日はパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムにて10分32秒064という記録を樹立し、市販SUV部門最速となったのは記憶に新しいところ。
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ランボルギーニCEO、ステファン・ヴィンケルマン氏によると「ウルス・ペルフォルマンテは、ランボルギーニの画期的なスーパーSUVの最高の性能と特徴的な外観を次のレベルに引き上げ、その豪華な多用途性を維持し、最も魅力的なドライビング体験を提供します。オンロードだけでなくあらゆる環境において、ドライビングダイナミズムの新しいベンチマークを示ことでそのキャラクターが際立つでしょう。ウルスは、ランボルギーニのデザインDNAと技術的才能を受け継ぎ、新時代の世界初のスーパーSUVとして、発売と同時に新しい基準を打ち立てます」。
ウルス・ペルフォルマンテはこれまでのウルスのデザインを継承しつつも軽量化とエアロダイナミクスを強化し、とくにカーボンファイバーの使用によって重量を大きく低減。
このクラスにおいては「もっとも多くのカーボンファイバーを使用したクルマ」となっているようですね。
フロントだと、最新のスーパースポーツらしくバンパーにはエアカーテン取り入れられ、軽量なカーボンファイバー製ボンネットや「ペルフォルマンテ」の伝統を思い出させるカーボンファイバーパーツの多用が大きな特徴。
ちなみに「ペルフォルマンテ」は現ランボルギーニCEO、ステファン・ヴィンケルマン氏が着任した際、ガヤルドに対して(それまでの”スーパーレッジェーラ”にかわり)与えたサブネームであり、イタリア語で「パフォーマンス」を意味します。
なお、スーパーレッジェーラとは「超軽量」を意味し、それまでのランボルギーニにおけるパフォーマンスアップの第一義は「軽量化」であったということになりますが、ステファン・ヴィンケルマン氏は「これからのハイパフォーマンスカーは”軽量化だけ”ではなく、あらゆる方面において革新的でなくてはならない」という意図からスーパーレッジェーラではなくペルフォルマンテという呼称を用いたわけですね。
その後同氏はアウディスポーツ、ブガッティCEOを経てランボルギーニへと復帰しますが、その(不在の)間「ペルフォルマンテ」の名は使用されておらず、そして同氏のCEO復帰後、あらためてこの「ペルフォルマンテ」の名が復活しており、それだけこのウルス・ペルフォルマンテにかけるステファン・ヴィンケルマン氏の意気込みが感じられようというものです。
ウルス・ペルフォルマンテはウラカン・ペルフォルマンテやスーパートロフェオをイメージ
デザイン部門責任者のミッチャ・ボルケルト氏によれば「ウルス・ペルフォルマンテは、ドライバー志向のユニークなスーパーSUVとしてデザインされています。ボンネットのラインは新しいフロントバンパーまで深く切れ込んでおり、エアアウトレットを含むボンネットは軽量カーボンファイバー製で、ボディカラーまたはオプションによって部分的に見ることができるカーボンファイバーにて仕上げられています。オプションのカーボンファイバー製ルーフは、ランボルギーニのスーパースポーツモデルであるウラカン・ペルフォルマンテやスーパートロフェオをイメージしています」。
そのほか、ランボルギーニによるコメントは以下の通り。
カーボンファイバー製のフロントバンパーとスプリッターは、主張のある新しいラインを描いています。新しいブラックのフロントエアインテークは、エンジン冷却効果を高めるとともに、スーパースポーツの伝統を最大限に表現しています。新しいエアカーテンは、フロントホイール上の気流を引き寄せ、空気抵抗を低減するエアロダイナミクスデザインをテーマとしています。新設計のリアスポイラーは、ウルス・ペルフォルマンテのリアダウンフォースを38%増加させます。
新しいスチール製スプリングはペルフォルマンテのシャシーを20mm下げ、ホイールトラックは16mm広くなり、その上にワイドなカーボンファイバー製ホイールアーチが、新しいオプションの23インチまたは鍛造22インチの軽量ホイールとチタンボルト、専用開発のピレリ製タイヤを包み込んでいます。
サイドから見ると、ウルス・ペルフォルマンテの低くなったスタンスが、フロントとリアの目立つウィングとバンパーによって強調され、さらに全長が25mm長くなっています。ウルス・ペルフォルマンテのリアも同様に、目的に応じた高性能なデザインによって特徴づけられています。カーボンファイバー製フィンを備えたリアスポイラーは、アヴェンタドールSVJからデザインインスピレーションを受け、ダウンフォースの増加に寄与しています。
リアバンパー下部とディフューザーもカーボンファイバー製で、軽量チタン製のアクラポビッチ・スポーツエキゾーストが標準装備されており、選択したドライブモードに応じてランボルギーニ特有のレゾナンスを発生させます。ボディカラーと対照的に、ブラックにペイントされたドアハンドル、ボンネット上のCFKエアアウトレット、CFKスポイラーリップなどの特徴的なカラーリングが、このウラカン・ペルフォルマンテのダイナミズムを際立たせているのです。
ウルス・ペルフォルマンテのインテリアはブラック基調
ウルス・ペルフォルマンテのコックピットには、ネロ・コスムス・ブラック・アルカンタラが標準装備となり、ヘキサゴン形状のシートステッチを施した新デザインの「ペルフォルマンテ・トリム」、さらにレザーインテリアなどのオプションも用意されている、とのこと。
オプションにはドア、ルーフライニング、シートバックレスト、リアウォールの「ペルフォルマンテ・トリム」の拡大のほか、さらにインテリアのマットカーボンファイバーデパーツ、レッドドアハンドル、ロゴ入りキックプレートなどが(ランボルギーニのパーソナリゼーションプログラムである)アド・ペルソナムによって提供されることに。
ブラックのアルカンターラ/レザー・ステアリング・ホイールはマットブラックで縁取られ、アルミニウム・インテリア・トリムはブラック・アルマイト仕上げとなっており、これまでのウルスに比較するとぐっとスパルタンになった印象も。
さらにオプションの「ダークパッケージ」を選択すると、センターコンソール中央にある「タンブーロ」レバー(ドライブモードのセレクター)や、スタート/ストップボタン、ドライブモードセレクターなどの操作系を含む他のインテリアディテールにもマットブラック処理を施すことが可能。
センターコンソール画面とメインディスプレイには、ウルス・ペルフォルマンテ専用にデザインされた新しいHMIグラフィックが採用されている、とのこと。
ウルス・ペルフォルマンテは「スーパースポーツドライバーのためのSUV」
最後に新型ランボルギーニ・ウルス・ペルフォルマンテのパフォーマンスについて触れておくと、チーフテクニカルオフィサーのルーベン・モール氏いわく「ウルス・ペルフォルマンテは、極限まで絞り込まれで研ぎ澄まされたアスリートのように路上へと飛び出します。その筋肉質なスタンス、特徴的なデザイン、V8ツインターボエンジンのパワー、軽量なスポーツエグゾースト・システムは、視覚、聴覚、体験を通して、あらゆる道路、サーキット、オフロードで最も刺激的な競争相手であることを立証しています。これはスーパースポーツカードライバーのためのSUVなのです」。
ペルフォルマンテのパワーは16馬力アップの666馬力(欧米ではこの数字は不吉なものだが、よくこれを採用したと思う)、車体重量は47kg軽減され、クラス最高のパワーウエイトレシオ「3.2」を実現。
0-100km/h加速は3.3秒、100kmから停止までの制動に要するのは32.9m、最大トルク850Nm/2,300〜4,500rpm、最高速度306km/hなど、ハイパフォーマンスSUVのベンチマークとなる性能と応答性、操縦安定性を両立しています。
空力効率も向上し、全体のダウンフォースは8%増加、さらにトルク配分は新しいディファレンシャルによって最適化されている、ともアナウンスされています。
装着されるのは専用に開発されたピレリPゼロ(サイズ285/40 R22および325/35 R22)で、これはピレリPゼロ・トロフェオRを進化させたものであり、ピレリのセミスリックタイヤが初めてSUVの特性に合わせて開発され、温度の高いドライ路面でも、気温の低いウエットな路面でも高い性能を発揮する汎用性の高いタイヤに仕上がっているようですね。
ウルス・ペルフォルマンテは、俊敏性、フィードバック、スポーツ志向を強化し、ドライバーと路面の親密性を高めているといい、ステアリングの再調整により、正確な入力とダイレクトなフィードバックで路面とのつながりを強化したほか、リアホイールステアリングの介入を高速化することで、オンロードであってもオフロードであっても、リアディファレンシャルのトルクベクタリングによってターンインの俊敏性を向上させた、とされています(中東では、これで砂漠を走る人が増加しそうだ)。
ドライブモードについてだと、「ストラーダ(STRADA)」モードでは快適で優雅な乗り心地と滑らかなダンピングを提供し、「スポルト(SPORT)」モードでは、スロットルレスポンスが向上しつつリアホイールステアリングは低速ではより俊敏に、しかし高速では安定し、オーバーステアと素早いギアシフトが楽しめるもよう(つまりドリフト許容)。
最もスパルタンなコルサ(CORSA)では、ウルス・ペルフォルマンテのレーシングカーとしての性格が最高のハンドリングとともに解き放たれるようセッティングされており、アクティブ・アンチロールバーと最大ダンピングに支えられたフラットなコーナリング、そしてスポーツエグゾーストによって「ウルスがランボルギーニのスーパースポーツの伝統を受け継いでいる」ことを主張。
ウルス・ペルフォルマンテには、新たにラリー(RALLY)モードが追加され、これはダートコースでのスーパーSUVの走りの楽しさをスリリングなレベルまで高めてくれるようになったといい、強化されたスチール製スプリングと最適化されたアンチロールバー、ダンピングシステムによって、荒れた路面でのオーバーステアのキャラクターが増幅され、スーパーSUVとしてのパフォーマンスを新しいレベルへと昇華させる、と紹介されています。
これまでのウルスは「ランボルギーニに新しい顧客を呼び込むこと」を重視した性格を持っていたように思いますが、新型ウルス・ペルフォルマンテについては「ランボルギーニの既存顧客が十分満足できるよう」に考えて設計されたようにも感じられ、これまで以上に高い支持を得ることになりそうですね。
新型ランボルギーニ・ウルス・ペルフォルマンテを解説する動画はこちら
参照:Lamborghini, Top Gear