トヨタ・ダイハツがタイ市場にて「パーツを偽装し安全認証を不正取得」、トヨタ7.6万台、ダイハツ1.2万台に影響。ダイハツ「現場にそういった重圧があったかも」

｜　トヨタは販売会社の車検においても問題を起こしている　｜

私利私欲のための収賄や横領とは異なり、こういった問題は組織的な原因がありそうだ

さて、ダイハツが「海外向け車両の安全性認証手続きにて不正があった」と発表。

これは側面衝突の際に安全性を証明する試験を行う際、市販する車両には取り付けられていないパーツを装着（あるいは加工）して試験を受け、それによって検査をパスしていたというもので、この不正認証を行って市場に送り出した車両は約78,000台。

なお、このうち76,289台をトヨタが生産しトヨタブランドにて販売しているといいますが、トヨタグループにおいては日野自動車でも品質不正問題（排ガス試験のデータ改ざん）を過去に起こしており、グループとしてのコンプライアンスが問われるという指摘ながなされています。

対象となるのは合計4車種

今回の報道によると、認証不正があったのは開発中モデル2つ（モデル名は報じられていない）、そして販売中のモデルでは「トヨタ・ヤリスエイティブ（2022年8月よりタイにて生産）」、「ダイハツ・プロドゥア・アジア（ダイハツがマレーシアの子会社にて2月から生産）」の2車種。

販売台数は累計で前者が76,289台、後者が1,834台で、両方とも開発はダイハツが行い、海外での認証もダイハツが行っていた、とのこと。

今回の問題が発覚したのは4月に行われた内部通報がきっかけだといい、その後に行った社内調査にて不正を発見したそうですが、くだんのパーツは「衝突時に人を傷つけるような壊れ方をしないよう、市販モデルとは異なる加工（パーツに切れ込みを入れるなどしていた等、詳細が報じられている）を施しており、つまりは「過失」ではなく意図的にこれを行っていたということになります。

ダイハツの奥平総一郎社長は今回の不正について「側面衝突の認証試験を一度で通したいというプレッシャーがあったのではないか」とコメントし、トヨタからもプレスリリースが出されていますが、佐藤恒治社長は就任早々大きなトラブルに直面したということになりますね。

なお、「なぜ不正をしたのか」という理由を考えてみると、それは（ダイハツ社長の言うとおり）不正をしなくてはならないという雰囲気というか圧力が社内にあったからだと考えてよく、言い換えれば不正をしなければ認証を受けることができないクルマを（コストを抑える必要があったりして）作らなければならず、しかしそれでも認証を通さなければ自分たちの首が飛ぶというムードが蔓延しており、現場としては「やるしかない・・・」となったのだと思われます。

今回の件について、ダイハツ内部でどういった処分が下されるのかはわかりませんが、「現場の担当者を切って終わり」であれば、また同じ問題が起きることは間違いなく、ここはしっかりと対応して欲しいところ。

現在ダイハツは対象車種の出荷をストップしており、正規のパーツを使用している車種においても再検査を行い”問題がない”ことを確認しているそうですが、現時点ではリコールを行わず、審議機関とともに再試験などを実施すると発表しています。

トヨタ自動車からもお詫びのコメント

今回の件に関し、トヨタからは豊田章男名義にてコメントが出されており、要約すると「絶対にあってはならない行為であり、現場で何が起きているのかを把握し原因を究明し、再発防止を行う」。

そしてそれぞれの段階では随時公表してゆくことにも触れており、2009年に発生した大規模リコールの際に自身がかかげた「逃げない、隠さない、嘘をつかない」という公約についても再度触れ、ガバナンス、コンプライアンスについては自身が責任を持って対応する、とも述べています。

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参照：日本経済新聞, TOYOTA