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トヨタが「進化したGRヤリス」発表。出力アップにボディ剛性向上、モータースポーツ由来の数々の装備に加え「縦引きパーキングブレーキ」採用など競技用車にさらに近づく

トヨタが「進化したGRヤリス」発表。出力アップにボディ剛性向上、モータースポーツ由来の数々の装備に加え「縦引きパーキングブレーキ」採用など競技用車にさらに近づく

| ある意味、GRヤリスほどモータースポーツに近いクルマを「身近にした」スポーツカーは他にないだろう |

今回の新型GRヤリスからは豊田章男会長(モリゾウ)の熱いメッセージがひしひしと伝わってくる

さて、トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)が東京オートサロン2024にて「進化したGRヤリス」をワールドプレミア。

もっとも大きな変化は豊田章男会長(モータースポーツ参戦時、またその視点からの発言時では”モリゾウ”)の「より多くの方に走る楽しさを提供し、モータースポーツの裾野を広げたい」という強い想いによって実現した8速AT”GR-DAT”の搭載で、これは「幅広いドライバーがスポーツ走行を楽しめ、レースでMTと同等に戦えるAT」というコンセプトのもとに開発されたものだと紹介されています。

新型GRヤリスに積まれる8速AT「GR-DAT」とは

新型GRヤリスに積まれるGR-DATは少し前から話題となっており、端的に言えば「プロのWRCドライバーのようなシフトチェンジを行ってくれるAT」だと考えてよく、以下のように説明されています。

1.AT制御ソフトウエアをスポーツ走行用に最適化。従来は減速Gや速度などの車両挙動を感知し変速させていたところを、ブレーキの踏み込み方・抜き方、アクセル操作まで細かく感知し、車両挙動の変化が起こる前に変速が必要な場面を先読みすることで、「ドライバーの意思を汲み取るギヤ選択」を実現。プロドライバーによるシフト操作と同じようなギヤ選択を可能にしました。

2.AT内部の変速用クラッチに高耐熱摩擦材を採用したほか、AT制御ソフトウエアの改良により、世界トップレベルの変速スピードを実現しました。

3.6MTから8ATへ多段化した上で、クロスレシオ化することによりパワーバンドを活かした走りを実現。また、RZ“High performance”にはアクセル操作による駆動力コントロール性能向上のためトルセンLSDを設定しました。

Toyota-GR-Yaris (2)

さらに新型GRヤリスではエンジン出力が272馬力から304馬力へと引き上げており、これは「1.6リッターターボ」としては驚異的な出力(トルクは370Nmから400Nmへ)。

トヨタがリリースした画像を見ると、3,000回転以降に顕著な差があり、多段化されたトランスミッションとの組み合わせによって常に最適なトルクを引き出すことができそうですね。

Toyota-GR-Yaris (5)

なお、ぼく的に気になったのがこの「縦引きパーキングブレーキ(RZ)」で、その位置・形状ともにステアリングホイールに最大限に近づけられ、「そこまでやるか・・・」といった印象です。

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このほか、走行性能に関しては「ボディとショックアブソーバーとの取り付けボルトを1本から3本に」「スポット溶接点数を13%増加、構造用接着剤の塗布面積を24%」拡大することでシャシーとボディの剛性を大幅に強化。

そのほか、「サブラジエーター、クールエアインテーク、インタークーラースプレー」がセットになったクーリングパッケージの新設、ドライブモードには「サーキットモード」が追加されたことについてもアナウンスがなされています(GPSによって”サーキットに入った”と認識された場合にのみ利用でき、スピードリミッターやアンチラグ制御の変更が行われる)。

こういった変更内容を見るに、「単なる改良」の粋を出ており、文字通りWRCマシンに近い「別のクルマ」へと”再設計”されたようにも感じられますね。

新型GRヤリスのエクステリアはこう変わった

なお、そのパフォーマンスアップに比較すると、新型GRヤリスの外観変更は非常に小さく、フロントだとロアグリル、ロアサイド部分の変更があったくらい(そしてこの変更の理由についても、モータースポーツ線戦時に”石などで破損した場合sの修復のしやすさ”を考慮したため、という本気なものである)。

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リアだとフロア下のエアそしてマフラーの熱を抜きやすい構造を持つリアガーニッシュの採用、レース中の損傷回避を主目的としてランプ類を集約するといった、これまた実戦的な変更が行われています。

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新型GRヤリスのコクピットはこう変わった

そして今回の改良は走行に関する機能的な部分のみにとどまらず、ドライバーが「操作する」というところにまでも及んでおり、それを実現するために「ドライビングポジションの見直し(25ミリ引き下げ、ステアリングホイールの位置も変更)」「Gazoo Racingがモータースポーツに投入しているクルマを参考にパネルやコンソールをドライバー側へ15度傾斜をつけた」「ハーネスでシートに体を固定した状態でも操作しやすいスイッチ類の配置にした」等の変更が加えられ、こちらも単なる改良の粋を遥かに超えた変更がなされています。

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そのほか、ルームミラーの位置やセンタークラスターの形状変更によって視認性を確保し(レーシングカーにとっては”視界”も性能のひとつである)、さらにCVT車においてはシフトレバーの位置やシフトアップ/ダウンの方向性変更(モータースポーツ参戦用車両と同様に)、ヘルメットを被っていても警告を認識できるよう「音だけの表示から視覚的表示を採用」するといった”モータースポーツに直結した”数多くの変更もアナウンスされています。

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なお、「GR(Gazoo Racing)」は豊田章男会長が立ち上げたブランドであり、自分自身の手によって成長させてきたプロジェクトでもありますが、社長から会長職へと退くことで(社長の職務に追われず)よりGRブランドに集中できるようなったとも言われていて、今後のGRについては「さらにモータースポーツに近い」考え方をもってクルマを開発し、進化させてゆくことになるのかもしれません。※もともと、豊田章男会長は「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を基本思想として掲げている

今回のGRヤリスについては、2024年春頃に発売を予定しているといい、それにあわせてグレード構成や装備詳細、そして価格がアナウンスされることになるものと思われます。

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参照:TOYOTA

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