| 豊田章男氏は社長から退くものの代表権を維持しており、まだまだ存在感を発揮するものと思われる |
とくに自身が立ち上げた「Gazoo Racing=GR」ブランドには思い入れが深い
さて、トヨタは現在スポーツカーブランドとして「GR(Gazoo Racing)」を持っており、ここからはGR86、GRスープラ、GRヤリス、GRカローラを発売していますが、このラインアップが拡大するかもしれない、という報道。
これはトヨタの新しい社長、佐藤恒治氏がスパ・フランコルシャンにて(開催された世界耐久選手権レースでトヨタがワンツーフィニッシュを飾った後に)語ったもので、「GRブランドは生来にわたって認められるでしょうし、さらに展開を拡大することもできるでしょう」。
そもそも「GR(Gazoo Racing)」とは何なのか
ここでGR=Gazoo Racingとは何なのかを振り返ってみると、このGazoo Racingのルーツは豊田章男前社長がまだ業務改善支援室課長であった1996年に立ち上げた中古車の画像検索システムにあり、これは当時「トヨタ正規のサービス」と名乗ることを許されず、よって「GAZOO(画像)」という独立した名称を採用しています。
その後副社長となった豊田章男氏が2007年にニュルブルクリンク24時間レースに参戦する際にもやはり「トヨタ」の名を使用することが許されず、そのため「Gazoo Racing」の名称にてモータースポーツ活動を行うこととなり(モータースポーツ参戦時に同氏が”モリゾウ”を名乗るのもなんらかの制約から来ているのかもしれない)、2009年に豊田章男氏がトヨタ自動車社長に就任すると「Gazoo Racing」の勢力が一気に強くなります。
つまりGRとは、豊田章男氏が生み出し、不遇の時代を経てようやくトヨタ公式そしてメインストリームに躍り出ることが許されたブランドであり、豊田章男前社長「キモ入り」プロジェクトとということになりますね(豊田章男氏にとっては我が子のようでもあり、戦友のようなものなのかも)。
-
北米ではGRではなく「TRDこそがハイパフォーマンスブランド」。なお日本のTRDはGRにその座を追われてドレスアップパーツブランドに
| 今後も北米ではGRとTRDとが共存するようだ | トヨタは2017年以降、そのモータースポーツ活動をGazoo Racingへと集約させるという動きを見せていますが、どうも北米はこの動きに同調して ...
続きを見る
そして現在、(TRDとの調整を乗り越え)GRはトヨタのモータースポーツ活動、スポーツカー展開を主導するブランドとして成り立っており、トヨタにとって欠かせない重要なポジションを占めています。
加えて、佐藤恒治氏が新社長の座についたといえど(トヨタのプレスリリースによれば)同氏は代表権を持たず、代表権は引き続き豊田章男新会長が保有するということもあり、GRが今後さらに拡大することは既定路線なのかもしれません。
-
トヨタ社長が豊田章男からレクサスの佐藤恒治へ!章男氏は会長職へと退くも代表権を維持、今後のトヨタの電動化、スポーツカーはどうなる?
| おそらくは株主対策として電動化を強調し、そしてスポーツカーは電動化とともに強力に開発が進められてゆくだそう | レクサスは電動化イメージが強く、このタイミングでの交代は理にかなっている さて、トヨ ...
続きを見る
今後のGRはどんな展開を?
上述の通り、GRブランドからはGR86、GRスープラ、GRヤリス、GRカローラが発売されていますが、GRブランド専売モデル(スープラ、86)に加えて既存トヨタブランドのエボリューションモデル(ヤリス、カローラ)が存在しており、モータースポーツに参戦するモデルもあればそうでないモデルも。
-
トヨタがGRスープラGT4の生産100台到達を記念して「GRスープラ プラズマオレンジ 100 エディション」発表!販売方法は抽選のみ、GRガレージの店頭での申込が必要
| トヨタはGRスープラといい86といい特別仕様車に「オレンジ」を用いることが多いようだ | おそらくは今回も抽選に対して応募が殺到するものと思われる さて、トヨタが「GRスープラ GT4の累計生産台 ...
続きを見る
ただしいずれのモデルも高い評価を得ていることには間違いなく、GRブランドは一定の成功を収めていると(トヨタも)認識していることは間違いなさそうで、実際のところ佐藤恒治新社長も「(豊田章男氏は)慎重な経営者であり、先見の明があり、そして何よりもクルマ好きである一人の人物が経営するのがトヨタであるという評判を確立した人物」だとも語っており、この路線を引き継ぐことは間違いないかと思われます(新社長への就任時にも「トヨタはクルマ屋」ということを強調し、豊田章男氏の意思を引き継ぐことを明確にしている)。
-
トヨタが新社長体制下での計画を発表!2026年に発売を目指す次世代EVの開発、そして電動化はレクサスを中心に行うこと、モビリティ・カンパニーへの変革が語られる
| 新体制下では豊田章男社長の思想を継続、しかし新しい取り組みも | 新しいトヨタは「電動化」「知能化」「多様化」を目指す さて、トヨタは先日社長の交代を含む新しい人事を発表していますが、今回は次期社 ...
続きを見る
さらに藤恒治新社長は、豊田章男氏について「トヨタ自動車という世界最大級の自動車会社の社長である同時に、自身がステアリングホイールを握るマスタードライバーでもありました。今は会長職に就いただけですが、そのぶんもっと自由にクルマを開発できるようになるかもしれませんね」ともコメントしていて、社長職を離れたからこそ自由にできることがあるのかもしれません。
現時点では「次のGR」について情報は明かされていないものの、「GR GT3」のほか、GRスーパースポーツの話もあり(ただしこれは開発中止になったとも)、しかしより広く多くの人が楽しめるモデルとして「セリカ」「MR2」という可能性も残されています。
-
なぜだッ!トヨタのハイパーカー、GRスーパースポーツが発売中止とのウワサ。富士SWで起きたクラッシュそして炎上が原因との報道
| 察するに資金の問題ではなく、安全線を担保できない可能性 | やはりレーシングカーを公道向けに転用するのはとてつもなく難しいようだ さて、トヨタが発売を予定していた公道走行可能なハイパーカー「GRス ...
続きを見る
上述の通り、現在「GR」は一定の評価を得ていると考えてよく、そしてブランド単体だけではなくトヨタ全体のイメージを押し上げたとも認識しており、よって「一定の裁量、一定の自由度」をもって、会長職となった豊田章男氏とともに今まで以上に自由なクルマづくりができるようになるのかもしれません(豊田章男氏が、GRブランドとともに、自由に活動することを目的に社長職を退いたというのは考えすぎかもしれないが)。
合わせて読みたい、トヨタ関連投稿
-
トヨタMR2復活?トヨタの新EV計画にてデザイナーが「クルマ好きの豊田章男社長に見て欲しい」と語るSPORTS EVが公式に公開される
| フロントには「GR」バッジが装着され、おそらくはGRブランドからの発売となりそうだ | おそらくは軽量コンパクト、高い運動性能を誇ることになりそうだ さて、トヨタはつい昨日「バッテリーEVに関する ...
続きを見る
-
次期レクサスRCは「GR GT3コンセプト」と強い関連性を持つことになるようだ!現行モデルのGT3におけるパフォーマンスの低さを解決すべく「最初からGT3マシンとして設計する」
| トヨタは今後、レクサスも巻き込んで「モータースポーツ起点の」車両開発を行うようだ | ようやく豊田章男社長の構想が理解できてきたような気がする さて、レクサス/トヨタは先日「電動化時代の新しいライ ...
続きを見る
-
トヨタが「セリカ」の商標権を延長!現在の自動車業界の流れを反映し、「SUVとして」新型セリカが登場という予測も登場
| もともとWRCイメージが強いだけに、クーペSUVとして発売すれば販売に貢献できそう | さて、トヨタが北米において、「セリカ(CELICA)」の商標を更新した、との報道。以前にも「商標再登録」が報 ...
続きを見る
参照:Autocar