| おそらくはガソリンエンジン時代「最後」の記念碑となりそうだ |
ポルシェが「918スパイダー後継」と思われるハイパーカーのパテント画像を出願したことが判明。
これを見ると、デザインはかつての「917」を連想させるもので、ちょっと前にポルシェが「新型ハイパーカーはレトロなデザインになるかもしれない」と発言していた内容と一致。
加えてポルシェは、ここ最近でも「911スピードスター」「ポルシェ935」といった過去の名車をモチーフにした”ニューモデル”を発表しており、この傾向を見るに、918スパイダー後継モデルが917風となる可能性は非常に高い、と言えそうですね(さらには”718”のネーム復活や、992世代の911でも930/964世代を思わせるデザインを採用していて、過去のヘリテージを活用する方向性を採用)。
ポルシェ917はこういったクルマ
ポルシェ917は1969年に登場したレーシングカーですが、そのバリエーションは非常に多く、「917LH」「917K」「917/20」「917PAスパイダー」「917/10スパイダー」「917/10K」「917/30K」等の派生モデルが存在。
エンジンは水平対向12気筒/4.5リッター~4.9リッターで出力は500馬力以上をマークし、反面車体重量は非常に軽く「600キロ~830キロ」。
多くのレースで輝かしい功績を残し、ポルシェのレーシングカーでは「もっとも成功した」モデルだと言われます。
さらにポルシェが「917を現代に復刻」させる可能性が高いと思わせる理由の一つに、「917コンセプト」を発表したことも挙げられます。
これは2019年にポルシェが「917デビュー50周年」を祝って製作したもので、917シリーズの(ポルシェミュージアムにおける)記念展示とともに公開されたコンセプトカー。
この917コンセプトが、新型ハイパーカーに対する「前フリ」であった可能性も否定できません(もしくはこの評判がよく、ポルシェはこの方向性へとデザインをシフトさせることを決定したか)。
なんとポルシェ公式!あの917を現代に蘇らせた「917コンセプト」を突如発表。917の50周年にあわせてポルシェミュージアムで公開へ
ポルシェ918スパイダー後継はこんなクルマに?
そこで今回出願された、ポルシェによる謎のパテント画像。
フロントはもうそのまんま「917」をイメージしていることがわかり、ヘッドライトは「クワッド」、そしてフロントフードの開口部からはサスペンションが見え、つまりインボード式ということに。
フロントエンドにはリップスポイラー、その左右には二弾重ねのウイングレットが見えます。
ウインドウはラップアラウンド型で、おそらくドアは917同様のディヘドラルドア(もしそうだとすると、ポルシェのロードカーとしてははじめての採用だと思う)。
サイドにもウイングレット付のスポイラーが装着されていていることがわかりますが、相当なキャブフォワード形状を持っていて、かつコクピットはコンパクト。
反面、リヤセクションの長さは常軌を逸しており、「V12でも積むんか・・・」と思わせるほど。
ルーフ後端にはシュノーケル状の構造が見えますが、これは「開閉式」かも。
その下にはファンが見えますね。
そして面白いのはリアフェンダーがフローティングしているように見えること。
これはもちろん、917のリアフェンダーを現代風に再解釈したものなのでしょうね。
こちらは917のリアですが、これを見るとポルシェが「新型ハイパーカーにおいて、917のリヤフェンダーを意識したこと」、そしてこの新型ハイパーカーのリアバンパー部分が「ブラックアウト」されていることについても、917のリアアンダーを再現しようとしたのだろうということがわかります。
そして注目に値するのはコクピット。
非常にコンパクトなダッシュボードを持つようですが、この特許画像はどうやら右ハンドルを採用しているようです。
そしてシートは左右で形状が異なり、もしかすると右(ドライバーズシート)は前後スライドできるものの、助手席側は(軽量化のため?)固定なのかも。
正面から見るとキャビンが異常に小さいこと、リアのトレッドがかなり広いことが分かりますが、「リアのほうが広い」のも最近のクルマとしてはかなり珍しいと思います。
近代では、フロントのトレッドを拡大してコーナリング性能を向上させる方向にありますが、この新型ハイパーカーはそういったトレンドとはちょっと違う、ということですね。
新型ハイパーカーに搭載されるパワーユニットは?
そして気になるのがこの新型ハイパーカーに搭載されるパワーユニット。
あまりに長く、あまりに広いリアセクションを考えると、「かなり大きなエンジンが突っ込まれる」可能性も。
テールには二本のエキゾーストパイプが見えるので、ピュアエレクトリックではなくガソリンエンジンを搭載しているのは間違いなさそうですが、V12なのかV10なのかV8なのかV6なのかは全く不明。※オリジナルの917は水平対向12気筒
ポルシェは「現在のバッテリーレベルがポルシェの求めるレベルにない」とたびたび語っていること、ポルシェと同じくフォルクスワーゲングループに属するブガッティが急遽エレクトリック化を取りやめ「行けるところまでガソリンで行く」と決めたことから推測するに、もしかすると「まさかの大排気量エンジン」搭載の可能性も無きにしもあらず。
ポルシェ「918スパイダー後継は2025年までは発売できないだろう」。バッテリー技術がポルシェの求めるレベルに達するのに5年はかかる模様
ブガッティが「ガソリンエンジンで」と決めた背景には、「どうせ将来的にエレクトリック化しか道が残されていないのであれば、そしてヨソがどんどんエレクトリック化するのであれば、最後まで残ったガソリン車のほうが、長い目で見たときに価値が高くなる」ということがある模様。
つまりブガッティは自社のクルマの「コレクション価値を高めるため」ガソリンエンジンを貫くということになりますが、ポルシェも同様の判断を行った可能性があり、「後世に残すクルマとしては、今後バッテリー性能の向上や劇的な(ソリッドステートバッテリーの登場で)変化が予想されるフルエレクトリックよりも、絶滅してしまう、そして今後絶対に手に入らなくなるガソリン車」を、まだ作れる今のうちにリリースしておきたいと考えたのかも。
ブガッティが方向転換?「2030年まではガソリンエンジンにこだわる。その代わり、ヴェイロンとシロンが出す排ガスをチャラにするだけの植林を開始する」
そして今回のパテント画像の「こだわりよう」、そして何から何まで専用設計となるであろうことを考慮するに、このクルマに積まれるパワートレインもまた、「市販モデルの延長線上ではない、特別な」ものとなるだろうと考えるわけですね。
なお、ポルシェはこっそり「F1参戦をにらみ、V6ハイブリッドターボを開発」していたと語っていますが、こちらが搭載される可能性も高そうです。
ポルシェ「F1用エンジンを新型ハイパーカーに積むかもしれん」「え?」「実は今までF1用V6ハイブリッドターボを開発していたのだ」
VIA: Autovisie