中国の新興自動車メーカー、テックルールズ(Techrules)がその市販モデル「GT96」を2017年のジュネーブ・モーターショーに展示予定。
すでにコンセプトモデル(画像)も公開されていますが、来年に公開されるのは「プロダクションモデル」つまり市販車で、このコンセプトモデルにどれだけ近いのかは興味のあるところ。
なお、この「GT96」はイタルデザインの創立者であるジョルジエット・ジウジアーロとその息子の手によるデザインです。
スペックとしては「6つのモーターを持つエレクトリックハイパーカー」で、出力は1030馬力、0-100キロ加速は2.5秒、最高時速は350キロ。
マイクロタービンによる発電システムを持ち、航続可能距離は1200キロとされています。
これまでの報道だと「製造してくれる工場を探しているところ」とのことでしたが、ついに市販モデルを発表というところから見ると、おそらく生産委託先が見つかったものと思われます。
なお中国からはこのテックルールズのほか、ファラデー・フューチャーもエレクトリック・ハイパーカーの発売が表明されていますが、そちらは資金的なもので一時的にプロジェクトが中断。
台湾からもハイパーカー登場の話があったものの現在は消滅しているようで、計画は多いものの、なかなか「実現」は難しいのでしょうね(イーロン・マスクがサクっとテスラを成功させたので中国人は「オレにもできる」と思ったものの、現実は違ったのかもしれない)。
今回のテックルールズGT96については、サーキット専用モデルの発売も計画するなど、かなり野心的な目標を持っているようです。
中国のベンチャー企業、Techrulesがデザイナーにジョルジエット・ジウジアーロ(と息子のマウリットォ・ジウジアーロ)を起用して1030馬力のスーパーカー、AT96を制作。※AT96はGT96のサーキット専用モデル
市販モデルは2017年のジュネーブ・モーターショーに展示されるとのこと(2016年にも参加しパートナーを探していた)。
実際の市販は2年後を予定しており、年間25台ほどの少量生産となる見込み。
AT96はタービン・リチャージング・エレクトリック・ビークル=TREVとなり、発電した電力(40分でフル充電可能)によって6つのモーターを駆動。
なおAT96は航空機用燃料、GT96は天然ガス、ガソリン、バイオフューエルを燃料として使用でき、満タン状態だと2000キロの走行レンジを確保できるそうです。
現在イギリスで車両の制作が行われシルバーストーン・サーキットも実際に走行しながらテストを行い、0-100キロ加速は2.5秒を達成の予定。
トップスピードは時速330キロ、出力は前述のとおり1030馬力、重量は1380キロ。
なおテックルールズはこのGT96の発売後、もっと一般的な仕様と価格を持つ車をリリースする予定で、このスーパーカー(ハイパーカーと言って良い)はそのための広告塔となりそうですね。
構造はこういった感じで、カーボン製のモノコックに前後スペースフレームを連結。
タービン(と後輪駆動用のモーター)はミドマウント、バッテリーは前後アクスルの先にマウントしているようです。
重量物が前後オーバーハングにあるのは不本意だと思いますが、全高を下げるためのやむを得ない選択であると考えられます。
タービンは未来的なデザインで面白いですね。
こちらは内装。
アクセルペダル横のガイドのようなもの(シューズがずれない)は面白いと思います(他にも採用されている構造だとは思いますが)。
こちらは地味目のモデル。
ジョルジエット・ジウジアーロ氏はイタルデザインの設立者でありゴルフ、デロリアンDMC-12、BMW M1、ロータス・エスプリ、アルファロメオ・ブレラほか数々の画期的な市販車のデザインで有名。
日本車だといすゞ117クーペ、ピアッツァ、スズキSX4、スバル・アルシオーネSVXなどを手がけ、シンプルかつ繊細、直線とエッジで知られるデザイナー。
イタルデザイン自体は2010年にVWアウディグループに吸収され、その後一族の持つ株式も売却して完全にイタルデザインから離れて自身の名義で活動することに。
自分の分身とも言えるイタルデザインであったかと思うのですが、これを売却して新しく活動を行うというのはなにか思うところがあったのでしょうね。
なお、このビジネスモデルは「まずインパクトのあるモデルをリリースして名前を売って、その後に実利の取れるモデルを拡販」というもので、歴史も技術もないスタートアップ企業であるためにすでに実績にある人材を雇用する、というもの。
欧米によくあるビジネスモデルですが、中国でもそういったスタイルが好まれるようです。
なお日本は「地道に努力を重ねて、外部から極力人材を招き入れず自分たちだけでやる」スタイルが通常で、これは日本のみの独特な慣習と言えます。
どちらにも一長一短がありますが、スピードがあるのは前者、地力がつくのは後者でしょうね。
そのため日本的な感覚で「しょせん中国企業だから」と思っていると、実はその裏にいるのは世界一流のデザイナーだったり向上だったりするわけで、「中国」なのは資本のみで中身は世界クラス、ということもありうるわけです。
豊富な資金力にモノを言わせた形ではありますが、日本が地道に築き上げたもの、世界有数の企業が身につけたノウハウを「お金で買って」いるために成長が速い、とも言えますね。
中国のスタートアップ企業、テックルールズがティーザー画像を公開。
これは同社がジュネーブ・モーターショーにて公開予定の「GT96」に関するもので、トップの開き方が戦闘機のような形状に。
ドライビングポジションはセンターで、かつロールケージに囲まれるというパッケージングですが、相当な戦闘力の高さを予想させます。
このGT96について、テックルールズはロードカーとサーキット専用モデル用法を発売するとしており、ロードカーの方は当然ながらもっと現実的なデザインになる、と思われます。
ただしデザインはジウジアーロなので、「普通」ではないことは明らかですね。
↓こちらがこれまで公開された「市販モデル」の画像
現時点でスペックについては1030馬力、0-100キロ加速2.5秒。最高速度は時速350キロと言われますが、バッテリーの充電はマイクロタービンで行う、という新しい手法も採用しており、ちょっと期待している車です。
中国からはこの車の他にもNIO EP9、雲行きが怪しくはなったもののファラデー・フューチャーFF01など「1000馬力超え」のEVが続々登場し、ハイパーカーにおける流れを(ちょっとだけ)買えるかもしれない、と思います。