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【試乗:GRヤリス】とにかく曲がる!曲がる!曲がる!トヨタの本気、WRC仕込みはダテじゃない!!

トヨタGRヤリスに試乗

| こんなに曲がるクルマも珍しい |

さて、話題のトヨタGRヤリスに試乗。

グレードは「RZハイパフォーマンス」、つまりは最上位となります。

GRヤリスは「ヤリスをスポーティーに仕上げたクルマ」というよりは、WRC参戦用の競技用車を市販向けに手直しした車だと考えるのが妥当。

実際のところ、わずか1,618cc/3気筒というエンジンながら、BMW M2等のピュアスポーツと同等のタイムでニュルブルクリンクを走ることも知られています。

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GRヤリスRZハイパーフォーマンスはこんなクルマ

GRヤリスには大きく分けると4WDのRZ、2WD(FF)のRSがあり、これらは駆動方式の他出力(RZは272PSP、RSは120PS)という大きな差異があります。

加えてトランスミッションについてもRSは6速マニュアル、RSはCVTという違いがあり、外観は似ていても「(RZとRSとは)基本的に異なるクルマ」と考えたほうが良さそうですね。

RZ"ハイパフォーマンス"は装備充実版

そしてRZの中での装備充実版が「ハイパフォーマンス」ということになりますが、通常のRZに比較すると18インチBBS製鍛造ホイールにミシュラン製パイロットスポーツ4Sタイヤ装着、前後サスペンションのチューニング変更、インタークーラーに冷却スプレー追加、ブレーキダクト装備、プレミアムスポーツシート装備、フロントパーソナルランプ装備、8スピーカー+アクティブノイズコントロール装備、といったところが相違点。

エンジンやドライブトレーンに変更はなく、ボディサイズ(全長3,995ミリ、全幅1,805ミリ、全高1,455ミリ)、車両重量(1,280kg)といった数値も同じです。

なお、価格はRZが396万円、RZハイパフォーマンスが456万円。

GRヤリスの内外装については、こちらを参照していただければと思います。

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GRヤリスに乗ってみよう

そこで早速GRヤリスに乗ってみます。

まずは乗り込んでシートポジションを調整し、その後はエンジンを始動するためにクラッチを踏み込み、そこで気づくのはクラッチのストロークが短くけっこう軽めということ。

ステアリングコラム左のボタンを押してエンジンをスタートさせますが、始動時のサウンドや振動はけっこう大人しく、ここは同じ「ホットハッチ」と言えどもシビック・タイプRとは結構異なるところですね(シビック・タイプRはけっこう大きなサウンドを発する。ただし振動はシビック・タイプRのほうが小さいようだ)。

その後は操作方法のレクチャーを受けていざスタート。

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そのエンジンはトルクフル

まず少し走って思うのは「本当に1.6リッター3気筒エンジンなのか?」と思えるトルクフルな走り。

パワーバンドはかなり広く、街中では比較的上のギアに入れて燃費重視の走りができる一方、3-4速からでアクセルを踏むとグッと加速する力強さを持っています。

その際でも排気音や振動はさほど大きくはないものの、吸気音についてはかなり大きく、ここは気分を盛り上げてくれるところです。

参考までに、ターボの特性は「ドッカン」。

アクセルを踏んでから過給がかかるまでターボラグがあり、そこからガツンと加速をはじめますが、これは小排気量ターボ特有のキャラクターといえるかもしれません。

よって、自然吸気エンジン的なフィーリングを求めることはできないものの、

足回りはちょっと硬め

なお、足回りについてはけっこう硬く、比較的初期の硬い衝撃を伝える設定を持っているようで、ただしロールやピッチは極端に抑えられており、ホイールベースの短い車にもかかわらず加速や減速、コーナリング時の姿勢はかなり安定しているように思います。

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ちなみにサスペンションは「アダプティブサスペンション」ではなく固定レートであり、ここもシビック・タイプRとは異なる部分ですね。

ちょっと気になったのは1速から2速へとシフトアップする際に回転数が低すぎると2速でうまく過給がかからず加速にちょっともたつくこと。

よって1速をちょっと引っ張り気味にしてからシフトアップすると気持ちよく走るようですが、その際は丁寧にシフトチェンジ/クラッチミートを行わないと車体が前後に揺すられることに(ただしこれは慣れで解決できる)。

なお、シフトレバーのタッチは「短く正確」で、カッチリという機械的な感触と共にゲートに吸い込まれ、その感触が素晴らしいために意味もなくシフトチェンジを繰り返してしまいます(iMによる、シフトダウン時の自動ブリッピングも素晴らしい)。

ブレーキはさすが「ブレンボ」

ブレーキについては申し分ない効きを発生させ、初期のタッチ、そこから踏み込んだときの効き、完全停止する直前の挙動についても安定しており、このあたりは欧州スポーツカーと同レベルと言えそう。

ただしブレーキの考え方も欧州製スポーツカーと同様と見え、ブレーキダストも「欧州車並み」だとされ、数十キロも走ればホイールに相当量のダストが付着する模様。

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ハンドリングは「WRC仕込み」

なお、ぼくがもっとも驚いたのは加速もさることながら「ハンドリング」。

WRC用ホモロゲーションモデルなので当然と言えば当然ですが、とにかく曲がって曲がって曲がりまくる。

それは街中の交差点でも速度高めのカーブでも、展開するような場面でも同じで、思ったよりも車線半分くらい内側に曲がるというイメージがあります。

GRヤリスはトルセン式LSDにアクティブトルクスプリット4WD「GR-Four」を持ちますが、 とくにドライブモードを「スポーツ」に入れるととくに”アクセルで曲がる”という印象が強くなるようですね(しかも意外と安定していて不安はない)。

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なお、ドライブモードは「ノーマル(前後トルク配分60:40)」「スポーツ(30:70)」「トラック(50:50)」という設定となり、イメージ的に「スポーツ」モードの場合に後輪の駆動力によって車体を曲げる、というイメージ。

サーキット専用モードの「トラック」のほうが「スポーツ」よりも前輪のトルクが強くなりますが、これはランボルギーニでも同様の設定を持っていて、つまり速く走るにはフロントの駆動力が必要だということになりそうです。

このドライブモードの変更については、エキゾーストサウンドやサスペンションが連動しないため、比較的高回転まで回さないと(そして曲がらないと)その差がわかりませんが、走ってみた印象だと「スポーツ」がいちばんしっくりくる、という印象でした。

実際どうなのトヨタGRヤリス

そこでGRヤリスの試乗を終えてみてですが、「すごいなこのクルマ」というのが偽らざる心境。

トヨタは86そしてGRスープラというスポーツカーを持つものの、86はスバルとの共同開発、そしてGRスープラはBMWとの共同開発なので「GRヤリス」はトヨタ自社開発「唯一の」スポーツカーということにもなり、しかしその出来は素晴らしいのひとこと。

3気筒ターボエンジンのスカーンという軽い吹け上がり、節度あるマニュアル・トランスミッション、軽い身のこなし、なにより刺激的なコーナリングには驚かされ、今回はかなわなかったものの、ワインディングを走ったらさぞや楽しいだろうな、と思わせるクルマです。

アダプティブサスペンションがあればさらによかったのになと思うこともありますが、それがないからこそ「ダイレクトに運転している」という感覚を得ることができているとも考えられ、加えて電子制御の介入が最小限であるようにも感じられるため、「乗せられているよりも、乗っている」という感覚が強い一台でもありますね(ベースとなるヤリスが”見晴らし重視”のためかベルトラインが低く、それによって速度感も感じられる)。

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価格的にはホンダ・シビック・タイプRとほぼ同じではあるものの、GRヤリスにはシビック・タイプRにはない4WDそしてドッカンターボ、そしてシンプルでヤンチャな性格があり、シビック・タイプRは安定した車体制御に起因する安定性、アダプティブサスペンション含むドライブモード変更時の「性格の落差」という演出の楽しさがあると言えるかも。

テクノロジーを駆使して安定した走りができるのがシビック・タイプR、腕に覚えのあるドライバーがクルマをねじ伏せて走らせるのがGRヤリスという印象でもあります。

GRヤリスの試乗動画はこちら

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