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トヨタ86の期間限定車、「GTイエローリミテッド・エアロパッケージ」に試乗する

2016/04/17

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トヨタ86には登場時(2012年)に試乗しており、今回は2回目の試乗となります。
今回試乗したのは期間限定受注モデルの「GTイエロー・リミテッド・エアロパッケージ」。
その名の通り外装はサンライズイエロー、内装はブラックにイエローステッチを採用したモデル。

エンジンや排気系は標準モデル同様ですが、文字通りエアロパーツ(フロントスポイラー、サイドステップ、リアウイングやアンダーカバー)を装着しているのが特徴。
ドアミラー、ホイール、リアウイングの板部分などがブラック仕上げとなっており、なかなか精悍な印象です。

86は登場以降、足回りのボルトを変更するという改良を行っており、「たかがボルト」と思われがちですが、トヨタによるとこれがけっこう「効く」とのこと。

そんなわけでさっそく試乗ですが、相変わらずの車高の低さ。
86は現代の車としてはかなり低い部類で、ルーフ高は1285ミリ。
最低地上高は130ミリなのであと4センチほど下げることができ、そうなると1245ミリまで落とせます。
なおフェラーリ488GTBの全高が1215ミリなので、その場合はフェラーリと3センチしか変わらない低さになる、ということですね。

試乗車はマニュアル・トランスミッションなのでクラッチを踏み込んでセンターコンソールにあるスタートボタンを押してエンジンスタート。
クラッチはけっこうストロークが長く、ちょっと重め。
排気音はけっこう静かですね。

アイドリングスタートも可能ですが微妙な加減でエンストしそうになるので(ほぼノッキングせずにいきなりエンジンストールする)ちょっとアクセルを踏み込んでクラッチミート。
クラッチがつながるポイントはちょっとわかりにくく、半クラ長めで車をスタートさせます。

なお、最近乗ったマニュアル車の中でもクラッチは重くストローク長め。
逆にクラッチが軽くストロークが短いのはマツダ・ロードスター(ND)。
86よりもクラッチが重かったのはスバルWRX STI。
クラッチをつなぐ時の難易度で言えば86は比較的高く、ミニクーパー(JCW)やルノー・メガーヌRSのように明確につながるポイントを掴みにくいように思います(慣れの問題とは思う)。
トルクだとスバルWRX STIのほうが太くクラッチ操作が容易だという印象ですね。

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それでもちょっとするとクラッチ操作にも慣れますが、そこで見えてくるのがシフトフィールの良さ。
スバルWRX STI、マツダ・ロードスターよりはるかに良いフィーリングで、ルノー・メガーヌRSと比肩しうるほどの素晴らしいタッチ。
必要以上に力を要せず、手首だけとはゆきませんが、それに近い範囲での軽快なシフトチェンジが可能で、慣れるとこれは非常に楽しいと感じます。

シートとのバランスも良く、体をしっかり固定したままペダル操作、シフトレバーの操作ができるあたりは欧州スポーツカーと同レベル。
マニュアル・トランスミッションを持つ国産スポーツカーだと日産フェアレディZ、スバルWRX STI、マツダ・ロードスター、ホンダS660、そしてこのトヨタ86(とスバルBRZ)がありますが、操作系に関してはトヨタ86は頭一つ抜けていると考えて良いでしょうね。

ぼくの中で最近のマニュアル・トランスミッション採用のスポーツカー(500万円まで)でのベンチマークはルノー・メガーヌRSですが、けっこうそれに近い好印象(メガーヌ高評価の理由はメガーヌの試乗記を参照)。

街中を走った感じでは「非常に快適な車」で、騒音や振動も良く抑えられており、かなり乗りやすい車と言えます。
段差を超えた時の衝撃もマイルドで、ブレーキの効きも違和感を感じさせないリニアなフィーリング。

早速高速道路に乗りますが、そこで感じるのはけっこう「どっしりとした」乗り心地。
86ってこんなに安定してたっけ?と思えるほど接地感が高くしっとりした乗り心地にはちょっとびっくり。
以前に試乗した時はもっとバタついた印象があったように記憶しており、ボディもけっこう捻じれていた印象もあるのですが、今回はそういった感覚もなく非常に好印象。

レーンチェンジにも不安はなく、追い越し/追い抜きにの際の加速も申し分なし。
おそらくATだとトルク不足(エンジンの特性上、けっこう回さないと気持よく走れない)を感じるかもしれませんが、マニュアルトランスミッションの場合は自由にギアを選べるので、常にオイシイところを使えるのが良いですね。

実際に車を走らせていると「典型的なNAエンジン」という印象が強く、一定以上の回転数でパワーが出てくる印象。
流すだけだと1500回転あたりでも十分ですが、ある程度のパンチを感じられるのは3000回転以上といった感じですね。
よってキビキビ走らせるには3000回転以上をキープしておきたいところ。

ブレーキについては結構な速度からでも十分な減速ができ、全く不安の無いレベル。
ハンドリングに関しても非常に素直で、オンザレール感覚に近く、オーバーもアンダーも感じさせない設定ですね(どちらかというと若干アンダーで、アクセルで車の向きをコントロールする傾向があるかも)。

総合的に考えるとシャシー、足回り、エンジン、ブレーキのバランスが非常によく、クセのまったく無い車。
初心者でも安心して乗れますし、ある程度腕に覚えのある人であればアクセルで車の向きを変えることも可能で、正直「楽しい」といえる車ですね。

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ナーバスなところは全く無く、低い回転数で適当に流すことも許容しますし、エンジンに鞭を入れて回転数を上げた時のキビキビした反応は格別のものがあります。

スタイリング的にもフェンダーの抑揚があって「いかにもスポーツカー」というシルエットを持っており、かつ上述のように現代では「異例の低さ」を持っているために「スポーツカーに乗っている」という印象が強く感じられ、あらゆる意味においてお薦めの一台。

ドライビングポジションはマニュアルトランスミッション車にとって非常に重要ですが、86はこれについて非常に優秀と言え、ペダル類の配置やストロークや重さ、シフトレバーの操作感、ステリングホイールの位置や直系など「絶妙」と言って良いでしょう。

欲を言えばもうちょっとパワーが欲しいなあというのは正直なところで、購入したとするとまず吸排気は変更すると思います。
足回りに不満はありませんがやはり「見た目的に」ローダウンは必須と考えており、サスペンションも変更するでしょうね。

シートはノーマルでも十分で、スポーツ走行にも十分耐えうるものを持っているので変更は不要。

もう一点、懸念があるとすれば「ヒルホールドアシスト」が無いことで、これは日常使いにおいて不便に感じるだろうなあ、という部分ですね(こればかりは後付けできない)。

試乗記について
ランボルギーニ、AMG、アルファロメオ、VW、ジャガー、ベントレー、ルノー、ミニ、フェラーリ、マクラーレン、テスラ、レンジローバー、スズキ、トヨタ、マツダ、スバル、ホンダ、レクサス、メルセデス・ベンツ、BMWなどこれまで試乗してきた車のインプレッション、評価はこちらにまとめています。

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