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【試乗:プリウスPHV】プリウスとの価格差も納得の外観、静粛性を持つ一台

2017/03/25

さて、プリウスPHVに試乗。
ふだん乗っているBMW i3のランニングコストの安さに味をしめ、普段乗りはやはりEVかPHEVでないと、と考えています。
そんな中、気になるのはやはり「プリウスPHV」。

昨年秋に発売予定だったものが「昨年冬」に伸び、そして今回まで発売開始が伸びたものですね(理由は不明)。
燃費はリッターあたり37.2キロとプリウスと同様ですが(”E”グレード除く)、EVモードとして68.2キロ走行できるのが(プリウスとの)最大の相違となっています。

価格についてはもっともベーシックなグレードが「S」の3,261,600円、最上位グレード「A」に各種パッケージを装着したAプレミアムで4,222,800円(ソーラーパネルはオプション扱い)。
駆動は2WDのみとなり、プリウス”E”のように最廉価グレードは用意されませんが、「S」「A」という構成はプリウスに準じるもの。

プリウスPHVはいわゆる「充電プリウス」で、基本はEV、バッテリーが切れたときはハイブリッドカーとして走行が可能になり(坂道や高負荷時にはエンジンが始動)、普通充電(100VからでもOK)、急速充電、オプションのソーラー充電といった充電環境にも対応しています。

プリウスの「S」2,479,091円、「Aプレミアム」3,107,455に比べるとそれぞれ80万円、110万円とかなり高価ではあるものの、装備に大きく差はないように思えるので、この価格差は単純にEV走行のための「バッテリー容量」である模様(諸元表からはモーターの配置と出力が異なるようには見える)。

その他プリウスPHVならではの特徴として、EV走行可能距離が従来比(先代プリウスPHV)で約二倍の68.2キロに伸び、バッテリーを使い切ってもエンジンを回転させての充電が可能。
EVは冬季にヒーターを稼働させると極端に航続可能距離が落ちますが、その対策としてガスインジェクション機能付きヒートポンプを採用しており駆動用バッテリーの温度を上げることでバッテリー効率を向上させる機能を持っています(これはけっこう有用と思われる。BMW i3は冬季にバッテリーが冷えるので航続可能距離が落ち、バッテリーを暖めようとするとヒーターが電力を大きく消費する、という解決しがたい問題がある)。

その他はおなじみ低重心プラットフォームTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)、Cd値0.25というエアロダイナミクスを持つボディが特徴。
このエアロダイナミクスについては86同様に「エアロスタビライジングフィン」を設けたり、さらにはダブルバブルウインドウ、グリルシャッターといったデザインや機能にて高いレベルを実現しているようですね。

プリウスPHVのボディサイズは全長4645/全幅1760/全高1470ミリと現代では比較的コンパクトな部類で小さくもなく、大きくもなく、という感じですね。

外観は「奇抜」とも言える標準プリウスに比べると幾分マイルド。
金額が高くなるので購買年齢層も高くなるであろうことを考慮したのかもしれません。
さらには、価格が上がることを視覚的に理解させることができるように「高級感」も与えられているように思われ、知的な未来感がある、とも言えますね(デザイン的には”ミライ”に近い)。

最近のトヨタらしく抑揚が大きく与えられたデザインで、各部のパーツは大きく立体的に。
なんとも表現の難しいデザインですが、直接見ると「意外と格好いいんじゃないか」と思います。

さて室内ですが、おおよそはハイブリッド版プリウスに準ずるものの、大きな差異はセンターコンソール真ん中の大きなディスプレイ。
これはグレードや選択するオプションによって装着されたりされなかったりですが、11.6インチの大きなサイズは迫力があります。
ちょうどテスラのような感じですが、これもプリウスPHVの「普通の車とは違う感」を演出している部分と言えますね。

インターフェースはハイブリッド版プリウスと同じで、ジョイスティック状のレバーでDレンジ、Pレンジなどの操作を行い、パーキングブレーキは足踏み式(ここは電気式にして欲しいところ)。

Dレンジにシフトを入れてブレーキレバーを離すと力強いクリープとともに車が発進。
TNGAの優秀さはハイブリッド版プリウスでも体験済みですが、今回の試乗でも改めてその出来の良さを実感することになり、最近のトヨタの勢いと本気を感じる部分です。

具体的に言うとボディ剛性が非常に高いこと、それによってサスペンションがしっかりと動き、段差を越えるときの突き上げの小ささ、不整路を越えるときの振動の吸収、発進や停止、カーブを曲がったりという通常走行する時の車体の挙動の安定性など。
これらは今までのトヨタ車のレベルを大きく超えており、ジャーマン3にかなり近づいている、と言って良さそうです。

なおボディ剛性の高さ、足回りがしっかりしていることの差証として、「速度感の希薄さ」が特徴としてあげられます。
プラグインハイブリッドということで走行時にも車内が静かということもありますが、とにかく車体が安定しすぎて速度感が希薄。
パワフルなモーターのおかげで難なく車体をスピードに乗せますが、気がつくと結構な速度になっていることも。
「自分が考える、これくらいと思う速度」よりも実際の速度の方がずっと速いということですが、これも今までのトヨタ車には見られなかった傾向だと思います。

静かさについてはトヨタが欧州車に対して優位性を持つ部分であり(レクサスブランド立ち上げ時にジャーンマン3が驚いたくらい)、EVであるBMW i3よりもずっと静か。
ドア開閉時にもわかりますが、ウエザーストリップなどシール部の精度が高く、外部からの音が侵入しにくいように配慮されているようですね。

なお「ロードノイズ」の大半はサスペンション(サスアーム)の振動などが原因と言われますが、これもTNGAのおかげで細かい振動を抑えており、タイヤハウス内からのロードノイズもしっかり吸収するように作られている模様。

全体的には非常に乗り心地が良く、EVの静かさと経済性を持ち、かつハイブリッドならではの安心感(バッテリー切れがない)、そしてそれらを強調するようなデザインやディティールを持ち、実際に体感できる静かさと快適性を持った車だと言えます。
つまりコンセプトや方向性がしっかりしていて、それに合ったクルマ作りがなされているということですが、さすがプリウスの長い歴史、トヨタのハイブリッドに対する経験や矜持を感じさせてくれる素晴らしい一台ですね。

さらにはトヨタ渾身の技術がぎっしり詰まった車と言ってよく、ハイブリッドやPHEVというカテゴリにおいて、まず「間違いのない」選択である、と考えています。

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