| たしかに違いはあるが、チューダー・ブラックベイは優れた腕時計だと認めざるを得ない |
さて、先日は「チューダー・ブラックベイはロレックス・サブマリーナとは異なる」という見解を述べた動画を紹介しましたが、今回は実際にサブマリーナとブラックベイとを比較した動画。
チューダーはどうしても(日本に並行で入ってきた当初、雑誌ビギンがそう紹介したからか)ロレックスのディフュージョンブランドであり、ロレックスを変えない人の代替選択肢という印象が強い腕時計メーカー。
創業は1946年で、ロレックスの創業者であるハンス・ウィルスドルフによって興されていますが、この目的は「イギリス国内での拡販のため、安価な腕時計ブランドが必要だったから」。
「チューダー(TUDOR)」という名称はイギリスのチューダー王家にちなむものですが、ハンス・ウィスルドルフはドイツ人であるながらもイギリスに対するあこがれを持っていて、ロレックス創業自体もロンドンで行い、そのプロモーションや”オイスター”ケースもイギリスと強いつながりがあることがよく知られています。
チューダーは自ら「チープ」なイメージを作り出してしまった
なお、チューダーは発足当初からロレックスとの強い関係性がアピールされていて、ケースやリュウズ、ベルトのバックル、針や風防などに(モデルにもよりますが)共通パーツが使用されていたのはよく知られるところで、実際にハンス・ウィスルドルフが1952年に新聞の全面広告にて「我社のロレックスとパーツを共有し、しかしより控えめな価格で手に入る腕時計、それがチュードル」だと大々的に主張したことも。
じゃあその価格差は何なのということですが、当時の場合は「ムーブメント」。
チュードルはETA社の安価なムーブメントを使用しており、これがロレックスとの価格差であったということになります。
そんな感じで「ロレックスの廉価版」的イメージを自ら作り出してしまったチュードルですが(そう考えるとビギンがロレックスの弟分的な紹介をしたのも仕方がない)、2010年にそのブランドを刷新することに決め、ブラックベイやヘリテージクロノを発売して「ロレックスとは異なる路線」を歩むことに。
さらにはファブリックベルトやブラック/ブロンズケースなど、ロレックスにはない仕様も採用しています。
チューダー・ブラックベイとロレックス・サブマリーナとはこう違う
そこでチューダー・ブラックベイとロレックス・サブマリーナとの相違ですが、まずはケースサイズの相違。
ブラックベイはサブマリーナよりも1ミリ大きな41ミリケースを持ち、それに伴い分厚いデザインを持っています。
さらにはリューズガードがない、仕上げが異なるといった相違も。
もちろんベルトそしてバックルも両者では異なりますが、ブラックベイではリベットを使用していたり、サブマリーナに対して各部が丸く仕上げられていて、レトロな趣があるようです。
デザイン面だとブラックベイにはローズゴールドがインデックスや針、ダイヤル上の文字に採用されることでやはり「レトロ」に。
ベゼルの表面はブラックベイがアルミニウム、サブマリーナはセラミック製を採用していて、ベゼル側面の刻みはブラックベイのほうがかなり細かい仕様です。
なお、素材についてはサブマリーナは「スーパーステンレス」904L、ブラックベイは一般的な316L。
サブマリーナの針にはホワイトゴールドが使用され、しかしブラックベイは「金メッキ」というのも大きな違いですね。
そのほか、インデックスや針、ケース細部などの細かい部分についてもロレックスの方が「手間がかかっている」ことがわかり、こういった部分が「金額の差」となって現れているようです。
ムーブメントを見てみると、現在は両方とも「自社製」ではありますが、サブマリーナのほうがやはりパーツの加工精度が高く美しい仕上げを持つことに。
なお、サブマリーナ(116610LN)の定価は943,000円ですが、この価格にてサブマリーナを手に入れることは難しく、プレミア価格はおおよそ130万円前後。
ブラックベイの定価は410,300円に設定され、こちらは逆に新品でも「定価以下」で販売しているショップが多数あり、実売価格だと「3倍以上」開いているというのが現状です。
ただ、両者を比較した内容を見るに、やはりチュードルにはチュードルの良さがあり、おそらくチュードルを購入した人は「次はロレックスを購入する」可能性が高いと考えられ、その意味ではチュードルの存在意義は大きいのかもしれません。
加えて、リセール(値落ち率)を考えてもオメガなど他社のダイバーズウォッチを購入するよりはチューダー・ブラックベイのほうがずっといいんじゃないかとも考えられ、賛否両論あれど、多くのメディアがブラックベイを高く評価する理由にも頷けます。
VIA: Watchfinder & Co.