| たしかにダークサイド オブ ザ ムーン アポロ8の特別感は強い。強すぎる |
さて、英国拠点の腕時計販売サイト、ウォッチファインダーが「この10年でもっとも優れたムーンウォッチ」としてスピードマスター ダークサイド オブ ザ ムーン アポロ8号(1,144,000円)を大絶賛。
この「アポロ8号」最大の特徴は「両面スケルトン仕様で、ムーブメント表裏にレーザーアブレーション加工で月面を再現した」こと。
この「両面スケルトン」はオメガにしては非常に珍しい使用であり、スピードマスターとしては「初」かもしれません(スピードマスターにスケルトンバックが登場したのが1996年頃)。
オメガで最も値が下がらない腕時計、オメガ・スピードマスター”ダーク サイド オブ ザ ムーン”に新作「アポロ8号」が登場
もっともスピードマスターの歴史をよく表した一本
そしてウォッチファインダーがこのダークサイド オブ ザ ムーン アポロ8号を評価する理由としては、「スピードマスターの歴史をもっともよく表現しているから」。
スピードマスターの誕生は1957年にまで遡ることができますが、当時はとくに「宇宙に腕時計を送り込むことは考えられていない」モータースポーツ用の腕時計としての販売であったと言われます。
ただしその後NASAがアポロ計画を立ち上げるにあたって事情は一変。
NASAは「宇宙飛行士が着用する」腕時計としてオメガ、ロレックス、ゼニス、ブローバ等様々な腕時計をテストしたと報じられていて、そこで過酷な試験を勝ち抜いたのが唯一「オメガ・スピードマスター」。
よってスピードマスターはアポロ計画に正式採用され、その後様々なミッションへと参加することになり、1969年にはついに月面着陸を果たして「ムーンウォッチ」を名乗ることが許されるようになっています。
オメガは現在に至るまでこの事実を最大限に活用したプロモーションを行っており、オメガの正規販売店の前には金色の宇宙飛行士像が置かれているのはよく知られるところ。
そして「ダークサイド オブ ザ ムーン」はちょうど映画「トランスフォーマー ダークサイド・ムーン(2011)」が公開された頃に発売されたような記憶があり、当時「オメガもトランスフォーマーに便乗してきたな・・・」と思ったものですが、このシリーズはブラックセラミックを使用した「ダーク」な外観が特徴であり、それまでステンレススティールケース(とゴールドケース)のみだったスピードマスターに新風を吹き込んだわけですね。
ただ、セラミックケースは焼成時のロス率に起因して、製品としての腕時計の価格がかなり高くなるというネガティブな点もあり、しかしダークサイド オブ ザ ムーンについてはその高価格にも関わらず非常に高い人気を博しています。
実際のところ、中古市場においても高値安定ぶりを見せているので、その人気は本物だと言えそう。
そして、その最新作が今回紹介しているダークサイド オブ ザ ムーン アポロ8号ということになりますが、これまでのシリーズにはなかったイエローのクロノグラフ針、二重構造を持つレザーストラップに加え、件の「月面を模した」ムーブメントが採用されています。
ちなみにこのキャリバー1869は、初代ムーンウォッチに採用されていたCal.1861の改良版とのこと。
これまでにも「月」をモチーフにした(ダークサイド オブ ザ ムーン以外の)スピードマスターは多数存在していますが、いずれも文字盤上のグラフィックやケースバックの刻印にその表現がとどまっており、ここまでの表現力をもって、腕時計全体で月面そしてアポロを表現したモデルは他にないかもしれません。
なお、ケースバックに刻まれるのは「We'll see you on the other side」という、人類史上はじめて(アポロ8号にて)月の裏側に向かったジム・ラヴェル操縦の有名なセリフ。
その意味でもまさに「ダークサイド オブ ザ ムーン」の名にふさわしい仕様を持つと言えそうです。
ちなみにダークサイド オブ ザ ムーン アポロ8号について、特別製ケースが付属するものの、その特別度合いについては他のムーンウォッチ”スペシャルモデル”に一歩譲るようで、たとえば「アポロ11号50周年記念」モデルのような”宇宙飛行士キット”が付属しないのはちょっと残念。
VIA: Watchfinder & Co.