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スポーツカーのトランスミッションについて考える。「300馬力までならMT」「それ以上はDCT/セミAT」がベター

2017/12/05

マニュアル・トランスミッション

トランスミッションはマニュアルとDCT/セミATどちらが優れる?

 

多くのスポーツカーメーカーがマニュアル・トランスミッションを廃止する中、逆に「マニュアル・トランスミッション」採用をウリにするメーカーも登場しており、これは一種の「逆行」とも言える現象ではないか、と考えています。
新しいカテゴリの家電が出てくると、その家電はどんどん複雑化・高価格化が進み、それが頂点に達すると逆にシンプルになってゆく(もしくは特定機能にフォーカスする)というアレですね。

自分は元来マニュアル・トランスミッション派

ぼくはかねてより「自分でギアを選んで走ること(マニュアル・トランスミッション)」と「車がギアを選んで走ること(オートマティック・トランスミッション)」との間には大きな差があると考えていて、そのため過去にはできるだけマニュアルを選択(できる場合は)しています。

ですが、最近のスポーツカーはそもそもマニュアルの選択肢が減ってしまい、ランボルギーニやフェラーリ、マクラーレンのように「そもそもMTを作ってない」場合も。
これはデュルクラッチ・トランスミッション(もしくはセミAT)のほうが効率そして速く走ることにおいて機械的に優れているためですが、実際に運転する側としては「別の理由」でDCT/セミATのほうがいいのでは、とも考えています。

その別の理由とは「”安全に”」走れるということ。
この場合、「安全」は「集中」と置きかえてもいいかと思いますが、車をスポーティに走らせるには「ギアの選択」「ステアリングホイール操作」「ブレーキ操作」「アクセル操作」という4つが必要。
それぞれの操作はいずれ劣らぬ重要なものですが、かなり重要なのが「ギアの選択」だとも言えます。

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あまりに速い車だと人間の操作が車のスピードに追いつかない

そして、ギアの選択において「マニュアル・トランスミッション」と「DCT/セミAT」では大きく差があり、たとえばランボルギーニやフェラーリ、マクラーレンといった「非常に速い」車の場合、「変速している間に進む距離」が長いとも言えます。
そして変速にかかる時間がながければ長いほどその距離も伸びることになりますが、こういった「チョッパヤ」な車においてマニュアル・トランスミッションにて変速を行うということは「危険性」にも直結するのではと考えるのですね。

DCT/セミATだとパドルを引けば瞬時に変速しますが、MTだとクラッチを踏んでギアを入れ、またクラッチを繋ぐという動作を行う必要があり、この間に進む距離は当然DCT/セミATよりも長くなることに。

たとえばこの距離は以前に乗っていたミニクーパーS(6MT)だとぼくの技術でコントロールできる範囲ではあるものの、600馬力くらいの車になるともう「コントロールできる範囲を超えている」、ということですね。
ぼくはランボルギーニ・ガヤルドにおいては悩んだ末にセミATである「Eギア」を選んだのですが、同じガヤルドで「MT」を持つ車両を運転したとき、「この速さであれば、とうてい人間によるシフトチェンジが追いつくものではない」と感じることに。

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DCT/セミATを選ぶことでステアリングやアクセル/ブレーキ操作に集中できる

よって、ハイパワーな車において「マニュアル・トランスミッション」を操作するということは相当に気を使うもので、上記の「ギアの選択」「ステアリングホイール操作」「ブレーキ操作」「アクセル操作」のなかで「ギアの操作」の占めるウエイト(重要性)がかなり高くなる、と考えています。
しかしながらDCT/セミATはシフト操作(正確にはクラッチとシフトレバーの操作)を省略することでドライバーの負担を軽減してくれ、残る「ステアリングホイール操作」「ブレーキ操作」「アクセル操作」に集中できる環境を作ってくれる、と認識しているのですね。

つまり馬力が非常に高く、そして速い車であればDCT/セミATでないと集中して楽しくハンドルやアクセル/ブレーキ操作ができないということで、裏返せば「コントロールできる範囲であれば」自分で”ガチャガチャやる”MTのほうが楽しい、ということにも。

この「コントロールできる」範囲はその人のスキルによって異なると思われますが、ぼくの場合だと「300馬力を超えたらもうぼくのスキルではMTだと追いつかない」といった感じで、それ以下だとMT、それ以上の馬力(というとスーパーカー)だとDCT/セミATを選ぶというのが現在の基準。
ぼくはMT好きではあるものの、背伸びしてハイパワーな車でMTを選んでしまうとかえってその車の性能を引き出せずに終わってしまう、と考えています。

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なおぼくは筋力がそう高くないので、重いクラッチを踏むのはけっこう難儀。
ポルシェ911カレラ(997)に乗っていた頃、定期検診のために歯科医を訪れたことがあるのですが、そこでぼくの歯をチェックした医師がこう言ったのは今でも記憶に残るところ。

「重量挙げなど特殊なスポーツをされていますか?」

要はポルシェ911のクラッチを踏み抜くのにぼくは「歯を食いしばって」いたために奥歯がけっこうすり減っていて、それを見た医師が「重量挙げのように歯を食いしばるスポーツを」ぼくがしている、と判断したということです。

ポルシェ911は「ギアの選択」「ステアリングホイール操作」「ブレーキ操作」「アクセル操作」がドンピシャで決まらないと速く走れない車でしたが、これを鑑みるに「シフトチェンジ」にはけっこう苦労していたことが主出され、仮にMTではなくPDKであればもっと気持ちよく走れていたのかもしれない、と今でも考えたりします(どのみち997前期にはPDKが設定されていなかったので、それはタラレバでしかないのですが)。

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