
| 道路上の「主役」が変わる。自動運転車を見分ける新しい光 |
すでに中国では多数の自動運転車が走行中
ぼくらが毎日走る道路の景色が間もなく大きく変わろうとしています。
これまでクルマの灯火類といえばヘッドライトの「ホワイト」、テールランプの「レッド」、ウインカーの「オレンジ」が鉄則でしたが、しかし今、自動車業界には「ターコイズブルー(青緑色)」という第4の光が急速に普及し始めていて、この光は、そのクルマが「人間ではなく、AI(ソフトウェア)によって運転されていること」を周囲に示すための世界基準のサインとなる可能性を秘めています。
メルセデス・ベンツが火をつけ、米国のGMが追従し、そして今、中国がこのトレンドを「義務化」という形で完成させようとしているというのが今の状況です。

この記事の要約
- 新トレンドの正体: クルマが「自動運転モード(システムが運転を操作している状態)」であることを周囲のドライバーや警察官に知らせるための、世界共通の新しい識別灯
- なぜ「ターコイズブルー」?: ブレーキの赤、ウインカーのオレンジ、信号機や緊急車両の赤・青と絶対に混同せず、人間の生理学的・心理学的に最も認識しやすい色として選定
- 今後の展開: メルセデス・ベンツやGM(キャデラック)の先駆的な採用に続き、自動運転の先進国である中国が「国家規格」として間もなく完全義務化へ

なぜ「ターコイズブルー」なのか?メルセデス・ベンツの執念と最新の規制動向
この「自動運転マーカーランプ」というアイデアを最初に形にしたのはドイツのメルセデス・ベンツ。
メルセデス・ベンツは世界で初めて「条件付き自動運転(レベル3)」の型式認証を取得したメーカーですが、彼らが開発したシステム「ドライブ・パイロット」の作動中では、ドライバーはスマホを見たり読書をしたりすることが法的に許されます。
しかし、外から見ればそれはただの「脇見運転」に見えてしまい、警察官に誤認逮捕されるリスクがあったわけですね。
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そこでメルセデスが数年間の研究を経て導き出したのがターコイズブルーのLEDランプであり、この色が選ばれたのには、非常に合理的な理由があります。
Image:Mercedes-Benz
- 既存の光と絶対に変則・混同しない: 信号機、テールランプ、ウインカー、パトカーなどの緊急車両の赤・青の赤色灯と明確に区別できる
- 視認性の高さ: 人間の生理学的・心理学的な視覚テストにおいて、他のどの色よりも「自動運転車であること」を素早く、正確に周囲に認識させる効果が高いことが証明された
米国ではすでにカリフォルニア州やネバダ州でメルセデス・ベンツのこの光の公道テストが認められており、自動車技術者協会(SAE International)も国際規格「SAE J3134」としてこのターコイズブルーを自動運転車の識別灯として正式に策定しています。
車種概要、性能・デザイン・スペックなどの特徴、市場での位置付け
この動きをさらに加速させているのが世界最大の自動車市場であり、自動運転の最先端を行く中国です。
中国政府(工業情報化部など)は、レベル2(高度運転支援)、レベル3、レベル4(特定条件下における完全自動運転)を搭載する車両に対し、このターコイズブルーの識別灯の装備を間もなく完全義務化する方針を固めており、中国ではすでに、システムのオン/オフに連動してこの光が点滅・消灯するモデルが次々と市場に投入されています。
自動運転識別灯(ターコイズブルー)の概要と搭載例
| 項目 | 詳細・特徴 |
| 国際規格 | SAE J3134(自動運転システム・マーカーランプ)に準拠 |
| 発光色 | ターコイズブルー(青緑色 / 人間の目に最も優しく識別しやすい色) |
| 作動条件 | システムが自動運転(Level 2〜4)を実行中に自動点灯、手動運転に切り替わると消灯 |
| 設置場所の例 | フロント・リアライトの内部、サイドミラー、フロントガラス上部など |
| 主な採用・予定メーカー | ・メルセデス・ベンツ(Sクラス、EQSのDRIVE PILOT搭載車) ・GM / キャデラック(エスカレードIQのハンズフリーシステム) ・中国系メーカー各社(Leapmotor、吉利汽車など) |
| 中国での市場予測 | 近い将来、レベル2以上の全ての新車に義務化(街の車の30%以上が点灯する予測も) |

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なお、中国ではすでにこの「ターコイズのランプ」の搭載がファーウェイの展開するHIMAを中心に拡大しており、実際に中国の路上では「自動運転中」ランプを点灯させて走るクルマも見られるというのがいまの状況。
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期待されるメリットと、懸念される「あおり運転」の新たなリスク
この「ターコイズブルー」の導入により、周囲のドライバーは「あのクルマはAIが運転しているから、急な車線変更や予期せぬ挙動に対しても安全マージン(車間距離)を広めに取ろう」と判断できるようになり、警察官も一目でシステム作動中だと分かるため、取り締まりの効率が劇的に向上するというわけですが、自動車の社会心理学において「逆のリスク」も懸念されています。
「AIだから、絶対に譲ってくれる」という心理
自動運転のソフトウェアは、安全第一にプログラミングされているため、割り込みに対して必ずブレーキを踏んで道を譲るというロジックを持っていますが、これを発見した一部の悪質なドライバーが、ターコイズブルーに光るクルマを「格好の標的(イージーマーク)」と見なし、強引に前に割り込んだり、あおり運転を仕掛けたりするのではないかという懸念です。
中国のEVメーカー「Leapmotor(零跑汽車)」の創業者兼CEOである朱江明氏によれば・・・。
「現在、中国の顧客の30%が毎日の通勤で運転支援システム(ADAS)を利用しています。将来的には、道路上のすべての車が青い光を放って走るようになるでしょう」
と語っており、周囲が自動運転車だらけになれば、こうした「割り込み問題」は自然と解決するかもしれませんが、過渡期におけるドライバー同士のモラルが試されることになりそうですね。

ただ、中国は「監視社会」なので路上には無数のカメラが存在し、よって「あおり運転」は基本的に存在しないとも言われるほどなので、中国に関してはこの心配は杞憂に終わるのかもしれません。
青緑の光は、世界標準の「未来へのパスポート」になる
メルセデス・ベンツが蒔いた小さなターコイズブルーの種は、米国のGMを引き込み、そして中国という巨大な市場の力によって、一気に世界基準の「義務」へと昇華されようとしています。
かつて自動車のウインカーの色が世界中で黄色(アンバー)に統一されていったのと同じように、数年後の日本でも「ターコイズブルーに光るクルマ」が当たり前に街を行き交う時代が来ることはほぼ間違いなく、こういった新しい流れに対するユーザー、そして法規制の「備え」も同時に必要となりそうですね。
自動運転はもはや「車内のドライバーが楽をするための技術」の枠を超え、周囲の交通環境といかに調和し、意思疎通を図るかという「社会全体のアダプテーション(適応)」のフェーズに入っています。
あの美しい青緑色の光は、クルマがぼくら人間に向けて発する、最も新しく、最も安全なメッセージえもある、ということになりそうです。
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