
| ただしガソリンエンジンを積むマカン後継モデルが市場に出るまでには「まだ2年」を要することになる |
その間、ポルシェは「もっとも売れるラインナップ」のひとつを失うことに
ポルシェの最量販SUV「マカン」に驚きの動きが出ているとの報道。
2024年に鳴り物入りで登場した「マカンEV」ではあるものの、北米を中心とする市場では依然として10年以上前にデビューした「ガソリン版マカン」の方が売れており、しかしガソリン版マカンはこの夏に生産が終了してしまうため、ポルシェは「それまでに」作れるだけ作っておこうという戦略を用いているのだそう。
この記事の要約
- 異例のフル稼働: ドイツ・ライプツィヒ工場がフル回転し、ガソリン版マカンの「備蓄(ストック)」を開始
- EVを凌駕する人気: 2026年Q1の米国販売で、ガソリン版(10,130台)がEV版(8,079台)を上回る
- 空白期間の回避: 2026年夏の生産終了から、2028年の次世代ガソリンモデル登場までの「空白の2年間」を埋めるための措置
- 新旧併売へ: 市場の需要を受け、ポルシェはマカンの「完全EV化戦略」を事実上修正
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さよならポルシェ・マカン(ガソリン版)。ついに今年の夏に生産終了、稼ぎ頭が消滅することに。2028年に後継モデルが登場するまでの「空白の数年間」をどう生き抜くのか
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なぜポルシェは今、ガソリン版マカンを「作り置き」しているのか?
ポルシェは2026年夏をもって現行ガソリンモデルの生産を終了することを決定していますが、最新の報告によると、ドイツの工場をフル稼働させ、生産終了後も販売を継続できるよう、膨大な在庫を積み増す「ストック戦略」に打って出たとのこと。
これはEVへの移行を急ぎすぎたメーカーが直面している「リアルな市場のジレンマ」を象徴する出来事であり、まさにEVギャンブルに負けたとされるポルシェの「縮図」なのかもしれません。
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2026年夏の生産終了、しかし「2027年以降」もマカンの新車が買える?
通常、自動車の生産終了(終売)が近づくと受注生産に切り替わり、在庫が売れてしまえば完全に販売終了となります。しかし、マカンの場合は異なっていて・・・。
ライプツィヒ工場のフル稼働
ドイツの専門誌『AMS』によると、ライプツィヒ工場は現在、通常の受注生産の枠を超え、フルキャパシティで「在庫用」の車両を製造しており・・・。
- ターゲット市場: 北米など、サイバーセキュリティ規制の影響を受けない地域
- 販売期間の延長: 2026年夏にラインが止まった後も、積み増した在庫によって2027年まで新車として供給し続ける計画
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なぜそこまでして売り続けるのか?(販売データ比較)
2026年第1四半期の米国販売データを見ると、その理由は一目瞭然で・・・。
| モデル | 2026年Q1 米国販売台数 | プラットフォーム | 備考 |
| 現行ガソリン版マカン | 10,130台 | 旧型 (2013年〜) | 2度の改良を経て熟成 |
| 新型マカンEV | 8,079台 | PPE (最新EV専用) | アウディQ6 e-tronと共有 |
10年以上前の基本設計を持つガソリン車が最新技術を結集したEVの販売を約2,000台も上回っており、これはポルシェが目論んでいた「マカンEVへ完全移行」がスムーズに進んでいないこと、この段階でガソリン版マカンを販売停止にしてしまえば、その分の販売が(マカンEVではなく他社のガソリンEVに流れるなどして)すっぽり消失してしまうであろうことを意味しています。

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ポルシェが直面した「EV一本化」の限界と次なる一手
当初、ポルシェはマカンを完全にEVへ置き換える計画を持っており、しかし充電インフラの不安やガソリン車の根強い人気によって戦略の修正を余儀なくされているというのが現在地。
「2028年」の復活へ向けた橋渡し
現行のガソリン版マカンは、欧州の新しいサイバーセキュリティ規制に対応できないために生産を続けることが物理的に不可能で、当初の計画だと「そのままガソリン版マカンを生産終了」。
しかし上述の通りガソリン版マカンへの需要が非常に強く、しかしポルシェは「次世代ガソリン版マカン」をまったく想定しておらず今から新規に開発することは不可能です。
そこでポルシェが採用した「妙案」がアウディとの協業によって次世代ガソリン版マカンを「素早く」投入するというものというわけですね。
- 新プラットフォーム: アウディQ5と共有する「PPC(プレミアム・プラットフォーム・コンバスション)」を採用
- パワートレイン: ガソリンエンジンに加え、ハイブリッド設定が期待されている
- 登場時期: 2028年以降と予想
そして今回の在庫積み増しは、この2028年モデルが登場するまでの「空白の期間」に”顧客が他ブランドへ流出するのを防ぐための苦肉の策”ということになりますが、それでも空白期間が生じることには間違いはなく、これがポルシェにとっての「大きなダメージ」であることは想像に難くありません。
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結論:熟成のガソリンか、革新のEVか
「マカンEV」は間違いなく高性能で素晴らしいクルマであり、しかし、多くのファンが求めているのは、ポルシェらしいエンジンの鼓動そして、どこへでも不安なく行けるガソリン車の利便性。
今回の在庫積み増しにより、2026年夏にコンフィギュレーター(仕様選択)が閉じられた後も、しばらくはディーラーのショールームに「新品のガソリン・マカン」が並び続けることになり、「最後の純ガソリン・マカン」を手に入れるチャンスは、ぼくらが思っていたよりも少しだけ長く残されているかもしれません。
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その理由は、2024年に欧州で施行されたUN R155(自動車サイバーセキュリティ法)にあり、古い電子アーキテクチャで設計された車をこの規制に適合させるには、車体構造を根本から作り直すほどの莫大なコストがかかるため、ポルシェは「一旦生産を終え、新設計のモデルが出るまで在庫でしのぎ技、それと並行してアウディとの共同開発によって次世代マカンを投入する」という道を選んだわけですね。

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参照:CARSCOOPS











