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【試乗:アルピーヌA110】ポルシェ718ケイマンのライバルではなくまったくの「別モノ」。実際に運転してわかったその真実

投稿日:2019/01/20 更新日:

むしろアルファロメオ4Cのほうがライバルになりそう

さて、待望のアルピーヌA110に試乗。
すでに本国では発表されて久しいクルマではありますが、日本やイギリスなど「右ハンドル」国での発売は後回しにされていただけに、「ようやくこの時が来たか」という感じですね。

アルピーヌA110はどんなクルマ?

そのルーツをたどると1963-1977にフランスの自動車メーカー「アルピーヌ」が製造していた、同名の「A110」に行き着きます。
これはRRレイアウト、軽量な車体を活かしてラリーシーンを席巻したクルマとして有名ですね。

「アルピーヌ」は1973年にルノー傘下に入っており、よって現在のアルピーヌは「ルノーの持つブランドのうちのひとつ」。

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そして現代のアルピーヌA110については、レイアウトをRRからMR(ミドシップ)へと変更し、しかし車体重量1110(リネージュは1130キロ)という軽量性を武器にしているのはオリジナルのA110と変わらず。

昔のクルマを復刻すると、当時のファンからいろいろと「物言い」がつくものですが、新型アルピーヌA110については「その軽量性」が物言いに対するエクスキューズとなりそうですね。

アルピーヌA110最大の武器は軽量性

そしてその軽量性を発揮するにあたり、アルピーヌはプラットフォームを新設計していますが、これは96%がアルミで構成された上にボディパネルの殆どまでが「アルミ」。

さらに使用するパーツまで徹底して軽量化にこだわり、サベルト製のモノコックバケットシートは13.1キロ(一脚)、そしてホイールやタイヤ、ブレーキシステムまでも新規に設計を行っています。

こういったパーツはルノーのR.S.モデルから拝借しても良さそうではあるものの、そうせずに独自に新設計を行ったのは「パ軽量化」を何よりも優先したためで、「ルノー・スポールのパーツですら不十分」だと考えたからなのでしょうね。

その結果、アルピーヌA110の車体重量は”PURE”で1100キロ、”LINEAGE”で1130キロという「信じられない軽さ」に到達しています。

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エンジンはルノー・メガーヌR.S.同様

なお、車体の殆どは新設計といえど、エンジンはさすがにルノーと共有。
1.8リッター4気筒ターボ、出力は252馬力という数字にとどまりますが、0-100キロ加速は4.5秒を誇り、これは300馬力を発生するポルシェ718ケイマンの5.1秒を軽く凌駕する数字です。

なおサスペンションは前後ダブルウィッシュボーン、ブレーキはブレンボ製モノブロック、電制デフ(e-LSD)によるトルクベクタリング機構を持っています。
トランスミッションに「マニュアル」の用意はなく、7速DCT(デュアルクラッチ)のみの設定。

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グレードは「PURE」「LINEAGE」の2つ

現時点でA110に用意されるグレードは「PURE(ピュア)」、「LINEAGE(リネージ)」の2つ。

ピュアは純粋に走りを楽しむグレードで、 専用装備としては、「サベルト製モノコックバケットシート」「マットカーボン/アルミ/レザーインテリア」「フォーカル製軽量4スピーカー」「レザーステアリング/ブルーステアリングセンタートリム」「”ブルーアルピーヌカラー”ブレーキキャリパー」「フックス製18インチ鍛造アロイホイール(シルバー)」 があり、その価格は790万円。

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リネージは高級版といった位置づけで(そのためピュアに比較して20キロほど重量が重い)、 専用装備としては「フルカラーTFTメーター」「防塵フィルター付きオートエアコン」「ボディー同色ドアアッパーパネル」「フラットアンダーボディー」「リアディフューザー」「フルLEDヘッドランプ」「リアLEDランプ(シーケンシャルウィンカー)」「トリコロールエンブレム」「スポーツエキゾースト」「ブレンボ製ブレーキキャリパー」「前後パーキングセンサー+リアカメラ」。で、その価格829万円。

アルピーヌA110の外装を見てみよう

新型アルピーヌA110のデザインはどこから見ても「A110」そのもの。
とくにフロントの「丸4灯」ライトはオリジナルのイメージを色濃く残していますね。

クラシックなイメージもあるものの、むしろ先進性の方が強く感じられる印象でもあり、このあたりルノーのデザイナーは「新旧アルピーヌのファンどちらをも納得させられる」質の高い仕事をした、と言えそう。

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アルピーヌA110のエクステリアについては下記に詳しく紹介しており、こちらを参考にしてもらえればと思います。

アルピーヌA110の内装を見てみよう

室内はシンプル、そしてクリーンかつミニマルという印象。
思ったほど「クラシカル」ではなく、むしろ近代的だと感じます。

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メインのメーターはデジタルで、ダッシュボード中央にあるのは「ALPINEテレメトリー」。
ここには過給圧や吸気温度、パワーやトルク、クラッチの温度やトランスミッションオイルの温度までも表示可能。
これはタッチスクリーンとなり、そのために物理スイッチが極端に少ない内装となっています。

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なおスピーカーはFOCAL(フォーカル)製。
軽量化を標榜してはいても、快適性を犠牲にしないのはさすが、といったところですね。
ちなみにスピーカーのコーンに用いられるのは「フランス製の亜麻繊維」。
内外装の随所に見られる「フレンチトリコロール」とともにフランス愛が感じられる部分ですね。

アルピーヌA110のインテリアについてはこちらにその詳細を紹介しています。

アルピーヌA110で走ってみよう

さて、さっそくアルピーヌA110で走ってみることに。
まずはクルマに乗り込みますが、特にサイドシルは高くも太くもなく、このあたり「日常性」に配慮していることがわかります。

そしてドアを閉める時の「音」は見た目の印象、軽量化最優先というコンセプトとは裏腹に「けっこう重厚な」音(内張がビビるようなこともない)。

この時点で、アルピーヌA110は驚異的な軽量化を実現しながらも、犠牲にしたものは何もないということを感じさせてくれます。

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エンジンを始動させるにはカードキーを助手席ダッシュボードに差し込み、ダッシュボードに設置してあるエンジンスターターボタンを押す、という儀式が必要。

エンジン始動時のサウンド、そして振動は極めて小さく、このあたりも「軽量化最優先」というイメージとは大きくかけ離れている(防音や静粛性も犠牲にはしていない)部分ですね。

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シフォレバーは存在せず、かわりにセンターコンソールにある「D」ボタンを押すことで走行可能な状態に。
ここからアクセルを踏むと電気式パーキングブレーキが解除され、クルマをスタートさせることができます。

アルピーヌA110の操作感はかなり軽い

そして駐車場からアルピーヌA110を出す際に気づくのは「ハンドルが非常に軽い」ということ。
ステアリングホイールは小径で、かつグリップの太さも「太くも細くもなく」ちょうど良い印象(ステアリングホイール径が小さいと、狭い場所でクルマに乗り込む時に足が当たらず、楽なのでありがたい)。

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走行を開始し、歩道を超え、車道に出る時の段差越えでは明確に室内に衝撃を伝えてくるので、サスペンションは「相当に硬い」というのも間違いなさそう(うまく表現できないものの、サスペンションがストロークせずに硬いというのとはまた違う印象がある)。

そこからアクセルを踏んで走り出しますが、そこで感じるのもまた「軽さ」。
ステアリングホイール同様にペダルの操作感も軽く、それに呼応するかのように車体の動きもかなり軽い、という印象ですね。

1.8リッターでもパワー、トルクは十分

市場前は気になっていたエンジンパワーとトルクですが(1.8リッターなので)、結論から言うとまったく問題なし。
トランスミッションの制御がかなり優秀であり、必要な状況にて必要なパワーを引き出せるようにプログラムされており、たとえば峠の上りでもクルマが積極的に低いギアを選ぶためにストレスを感じることなく登ることができます。

なお、普通に走っていると低い回転数から(燃費とエミッションの関係で)シフトアップを行い、回転数が低い状態から加速しようとするとさすがにターボラグを感じることがあり、これを回避するにはドライブモードを「スポーツ」に入れるか、もしくは手動でシフトダウンした方が良さそう。

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ハンドリングはミドシップスポーツでも最高レベルにある

そして特筆すべきはハンドリング。
ステアリングホイールが小径なのは述べた通りですが、ロック・トゥ・ロックがかなり小さい(クイック)と見え、ほとんどのカーブではステアリングホイールを持ちかえることなく曲がれます。

さらに締め上げられた足回りによってほとんどロールを見せず旋回するのも一つの特徴であり、ここはかなり「イージー」なドライブができるところ。
たとえばポルシェはある程度のロール、ピッチを発生させ、ブレーキングによる荷重移動、駆動力によってクルマの鼻先の向きを変えるという操作が必要ですが、アルピーヌA110ではそういったことを気にせずにどんなカーブもクリアしてしまうようで、このあたり「カーゲームでクルマを操作している」かのような奇妙な感覚を覚えます。

簡単にいうと「これほどオンザレール感覚で曲がれる」クルマというのを他に知らず、強いて言えばアルファロメオ4Cくらい。

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ストッピングパワーも強力だ

そしてブレーキについても強力無比で、しかしこれも「ほとんどピッチングを見せない」、つまり車両がつんのめるようなこともなく安定した効き方を示していて、そして踏み始め、完全停止時にもドライバーが気を使う必要がないというマナーの良さを見せるのが特徴(たとえばアウディのRS系はブレーキが過敏だと感じることがある)。

サスペンションの出来も秀逸

そしてサスペンションもこれまで述べた通り、ロール、ピッチをほとんど見せないセッティングとなりますが、実際に走ってみるとそこまで「硬い」という印象がないのがまた不思議(ちゃんとサスペンションが動いているのは理解できる)。

段差を越える時などは鋭い衝撃を伝えるものの、それ以外の道路の凹凸などはなんなく吸収し、車体がシェイクされることもない、という印象です。

スプリングレートに比較してダンピングレートを低く設定しているようにも思われ、このあたりはポルシェとは真逆のセッティングかもしれません。

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乗り心地は「快適」と言っていい

そして全体的な乗り心地ですが、車内に入ってくるノイズは極めて小さく、これもやはり「超軽量」というところからは想像できないほどの快適性を持っているようですね。

反面、ミドシップであるにもかかわらず「背面から聞こえるサウンド」がちょっと静かすぎ、ここは逆に物足りないと感じる人がいるかもしれません。

総合的に見てどうなのアルピーヌA110

ざっとした印象だと、「ポルシェ718ケイマンと、アルファロメオ4Cとの中間」という感じ。

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そしてアルピーヌA110はポルシェ718ケイマンのライバルだとされているものの、実際に718ケイマンに乗る身としては「アルピーヌA110は、ポルシェ718ケイマンとはかなり違う」という印象も。

まずはエンジンの特性ですが、ポルシェは昔から高回転を嫌うので、比較的低い回転から高いトルクを発生。
反面、アルピーヌA110のエンジンは高回転でこそ「その本領を発揮」するというイメージです。

足回りについては、ポルシェの「粘る」「路面に張り付くような」印象に対し、アルピーヌA110は「路面の上を滑る」かのような軽やかな印象(ポルシェの足回りはどっしりとした重厚感すら感じると言っていい)。
ただ、軽やかとはいえどA110のグリップは驚くべきレベルにあり、「ちょっとやそっとではブレークしないだろう」とも感じます。

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さらに718ケイマンの場合はロールやピッチを積極的に演出するものの、アルピーヌA110は「フラットライド」だというのも両者の大きな差異かもしれません。※そのぶんポルシェ718ケイマンは限界を掴みやすいが、アルピーヌA110はどこが限界なのかわかりにくいかも

そのほか、操作系に対する反応については、アルピーヌA110のほうがずっとシャープ。
おそらくステアリングのロック・トゥ・ロックが小さいことがそう感じさせるのだと思いますが、718ケイマンのステアリンフィールが「マイルド」に感じられるほど(ポルシェのステアリングフィールは、電動パワステ導入以後「それほどシビア」ではなくなった)。

このアルピーヌA110については、とにかくアクセルを踏んでステアリングホイールを切れば簡単に、誰もがどんなコーナーでも曲がれてしまうクルマであり、そのポテンシャルの高さには驚かされるばかりです。

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気を使うとすればエンジンの回転数で、積極的にパドルによるシフトチェンジを行い、エンジン回転数を高いところに閉じ込めておけば痛快無比な走りが楽しめるのは間違いなし。

上のほうで、アルピーヌA110は「718ケイマンとアルファロメオ4Cとの間」と記載しましたが、どちらかというとA110は4C寄りの性質を持っていて、しかし快適性は718ケイマンよりも「上」というのがぼくの総評。

しかしながらA110にも不満がないわけではなく、前後の狭いトランク、そして不整路で伝わってくるバイブレーション、カーナビの設定がないというのはA110の数少ないネガティブポイント。

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フロントトランクについては「ダブルウィッシュボーン」サスペンション採用ということが影響していて、リアは空力の関係で開口部を大きく取れないことがその「狭さ」の理由だとされていますね。

さらにフロントフード、リアフードの開閉スイッチが「助手席側」にあり、つまりこれは本国(左ハンドル)仕様から日本仕様に変更されていない、ということに。

それでも今、「ポルシェ718ケイマンとアルピーヌA110のどちらを選ぶか」と言われると、たぶんアルピーヌA110を選ぶだろうな、と考えています。

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