もっとシンプルで質素なクルマだと考えていたが、意外や高いデザイン製と豪華さも併せ持つ
さて、ついに関西にも上陸したアルピーヌA110。
関西では「アルピーヌ西宮」のみの取り扱いとなり、さっそく実車を見にゆくことに。
展示車は「ピュア」「リネージ」と2つあるグレードのうちの豪華版、「リネージ」。
これはピュアとはホイール形状やアッパーパネルのカラーが異なるほか、ヘッドライト(フルLED)/テールランプ(シーケンシャルウインカー)、エキゾーストシステム、TFT液晶メーター、リアディフューザー、ブレンボ製ブレーキシステム等が装着されるもので、スパルタンな「ピュア」に比べると重量が20キロ重い1130kgとなります。
直感的に「カッコイイ」と感じるデザイン
展示車のボディカラーは「グリトネール・メタリック」。
一目見て「これはイケる」と感じられるクルマであり、直感的に、そして理屈抜きに格好良いと感じるデザインを持っています。
ボディサイズは全長4205ミリ、全幅1800ミリ、全高1250ミリ。
現代のスポーツカーとしてはかなりコンパクトなサイジングで、実際に見たときにも「意外と小さいな・・・」と感じます(オリジナルのA110は新型どころではない小ささですが)。
おそらく、「小さい」と感じさせるのは極端に絞り込んだフロントの上下左右がその理由だと考えられ、これはオーバーハングの重量低減にも貢献していそう。
フロントには「ALPINE」の文字があり、これは往年のファン感涙の装備かも。
ヘッドライト内部もこれまたこだわった構造を持っていて、メタル調パーツやクリアパーツが組み合わされ、安っぽさは微塵も感じられないものですね。
ホイールは専用デザインの18インチ。
このデザインだとちょっとわかりにくいものの、ブレーキはブレンボ製。
ブレーキローターも軽量な専用品を採用し、「ALPINE」の文字が入ります。
ホイールのセンターキャップは「センターロック風」のデザインで、そのデザイン製や質感が非常に高く、すでにこの時点でぼくは「アルピーヌの本気を見た」感じ。
アルピーヌA110はその軽量製が最大の特徴であり、そのために多くを犠牲にしたと考えていましたが、ホイールキャップ一つとってもここまで高いレベルにある(高級車にもヒケを取るものではない)のは驚きですね。
なお、センターキャップに設けられる「段差」はボディ表面やドアノブ、インテリアではダイアルなどに再現され、ひとつのデザインモチーフとして機能しているようです。
ドアミラーはこんな感じ。
シャープな造形とレトロさとをうまく組み合わせた印象ですが、たぶんデザイナーは相当に苦労したんだろうな、と思わせる部分。
ボディサイド下部は大きく絞り込んでいて、これはジャガーやアストンマーティンがよく用いる手法でもありますが、その理由は「(側面のマスが小さくなるので)ロールセンターの適正化が図れるから」。
ただ、副次的効果として「前後フェンダーが相対的に張り出して見える」というデザイン的メリットも。
公開されたオフィシャルフォトでは気づかなかったものの、アルピーヌA110は「ミドシップ」なので車体後部にて吸気を確保する必要があり、リアサイドウインドウからエアを取り込む構造を持っています。
樹脂パーツの整形制度も非常に高く、フレンチトリコロールのバッジも素敵。
このためにボディサイドに穴を開ける必要はなくなり、美しくシンプルなサイドビューを実現できることになりますが、サイドにはこういったプレスラインが見られます。
なお、同様のプレスラインはリアフェンダー上にも見られ、いくばくかの整流効果と(リアフェンダーでは)ダウンフォースを獲得できているのだろう、と推測。
リアセクションは極端にシンプル。
ミドシップとは思えないほどなだらかな傾斜を持っていますね。
ちなみにエンジンは完全にカバーされて拝むことはできず。
真後ろから見るとこう。
テールエンドはこんな感じ。
リアバンパーが出っ張っていないので、垂直な壁や棒にヒットするとかなり損害が大きくなるので要注意です。
テールパイプはセンター一本出し。
相当に口径が大きく、しかしここもまた高いデザイン製を持つ部分ですね。
軽量化だけを考えればこういった装飾は不要なはずで「パイプ切りっぱなし」のほうがずっと軽く仕上がるものの、それでもこういったデザインを与えたというのはやはり「おフランスだから」なのかもしれません。
そしてまたまたアルピーヌの本気を見せつけられるのが「リアディフューザー(リネージ専用装備)」。
どう本気なのかというと、完全なフラットボトム状態から、しかもリアアクスルあたりからぐっと上にエアを排出するようにできており、これはミドシップだからこそできる構造(ルノー・メガーヌR.S.もこれに近い構造を持つ)。
ただしミドシップスポーツカーがすべてこういった構造を持つかというと「そうではなく」、ぼくの知る限りだと、同様のリアディフューザーを持つのはフェラーリくらい。
そのほかの多くはディフューザー形状をしているものの奥行きや上下幅が小さかったり、フラットボトムではなくフロアからのエアがいったんマフラーで遮られたり。
このアルピーヌA110のリアディフューザーは「すごいなこれ・・・」というより他はなく、レーシングカーと同レベル、と言ってよさそうです。
以上、とりあえずアルピーヌA110「外装編」。
正直なところ”完全に想像を超える”もので、そのデザイン性の高さは言うに及ばず、とことん機能を追求した形状、さらに高い品質を持つことが衝撃的なクルマ。
そして(まだ乗ってないけど)パフォーマンスとデザイン、品質をこれほどまでに高い次元で融合させたクルマは他に例を見ない、と考えています。
他の画像はFacebookのアルバム「アルピーヌA110 / ALPINE A110」に保存中。
追って内装のインプレッション、試乗レビューも公開予定です。