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【動画】BMWがM4GTSで「+50馬力」を稼いだ”ウォーターインジェクション”はこういったシステムだ。昔はこれを自作するのがちょっとだけ流行った

2019/01/20

ただしBMWのシステムはかなり先進的

BMWはM4GTSにて「ウォーターインジェクション」なるデバイスを初装備し、これによって50馬力を稼ぎ出しています。

このウォーターインジェクションについてはクライスラーやサーブが使用したことがあり、航空機でも一般に用いられる技術だそうですが、今回は技術系ユーチューバー、Engeneering Expained氏がその内容を解説。

ウォーターインジェクションの原理はこうだ

今回動画にて解説されている「ウォーターインジェクションによるパワーアップ」は下記の通りですが、これは基本的にターボに対して有用な技術。

というのも、一般的なターボは「排気をタービンに送り、その排気でタービンを回してより多くのエアをエンジン内部に送り込む」、つまり加給することでエンジンの爆発力を高め、パワーを稼いでいるわけですね。

さほど排気が熱くない状態では上の画像のような感じ。
タービンは画像左下にある丸いパーツですが、そこからエアはエンジンの上にあるパイプを通り、その過程でインタークーラーによって冷却されて温度を下げられることに(黄色は温度を視覚的に表したもの。これがインタークーラーによって冷やされ、青い色に変化している)。

なお、吸気温度を下げるのは「吸気温度が低い方が酸素の密度が上がり、爆発力が増すから」。
気体は熱せられると膨張するので、同じ流量であれば「熱いほど空気の密度が低くなり」「冷たいほど空気の密度が高くなる」ことになって、そうなると空気の中に含まれる酸素も同時に密度が高くなって、より「燃える」わけですね。

そしてインタークーラーは空気を冷やすためにあるので、エンジンの爆発力=排気量や回転数が大きくなればなるほど(タービンによって循環されたエアが熱くなるので)空気を冷やす必要が出てきて、インタークーラーもまた「大型化せざるを得ない」ということに。

そして排気温度が上昇するとともに、タービン経由の吸気温度が上がることになり、それが上の図(温度が高い部分ほど赤に近い色になる)。
いかにインタークーラーを大きくしようとも冷却性能には限界がありますし、そもそもスペースの都合でインタークーラーの大きさそのものにも限界が。

そこでBMWのウォーターインジェクションですが、下の図のようにエンジンへとエアが入る直前に、チャンバー内に水を噴射して吸気温度を下げるというのがその原理となります(吸気音が下がると、メカニカルパーツの熱によるストレスも軽減できるというメリットがある。吸気温だけではなくエンジンそのものの冷却も必要で、これがむやみにブースト圧を上げることができない=上げると熱でエンジンがぶっ壊れる理由でもある)。

実際にはかなり高度な制御を行なっており、もちろん水の噴射は吸気温によってその量が細かく制御され、タンク内の「5L」の水を使い切ってしまうと吸気温を上げないように加給を制限したり、ということを実施するわけですね。

なお、チャンバー内に水を噴射するのではなくインタークーラーに直接水を噴射して吸気温を下げる「ウォータースプレー」はラリーカーはじめレーシングカーには幅広く採用されており、スバルも結構古くからこの技術を市販車に採用しています(最近だとS209にも)。

ちなみにアフターマーケットでもこのシステムが流行った時期がありますが、ぼくはこれを自作した経験があって、ウインドウウォッシャー液を噴射するためのホースを外し、その先に噴霧用のノズルを取り付けてインタークーラーに直接水を噴射したことも。

その場合は吸気温系を取り付け、一定以上の温度になるとワイパーレバーを操作して「ウォッシャー液を出す要領で」インタークラーに水を噴射するわけですが、けっこうすぐに水がなくなってしまうこと、意外と温度が下がらないこと、そしてパワーが上がったようにも感じられないことから、「単なる自己満足」に終わったという記憶しかありません。

それでは動画を見てみよう

こちらがBMWのオォーターインジェクションの動作原理を説明した「How BMW Used Water To Make +50 Horsepower」。

そしてこちらは「なぜステアリングホイールが中立に戻るのか」ということを図解した動画、「How does the Steering Wheel automatically returns to its center?」。

VIA:Engineering Explained

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