| 992世代の911そのものが過去の911へのオマージュ的性格を持つ以上、ナナサンカレラは外せない |
ポルシェは先日、無敵の加速を誇る新型911ターボSを発表していますが、今回はその911ターボSにダックテールスポイラーを装着した謎のプロトタイプが走行中。
おそらくは「ややクラシックな」趣を持つモデルになると思われ、991世代で言う「911R」のようなモデルとなるのかもしれません。
ただ、911Rは「911GT3RS」をベースとしているものの、今回のプロトタイプは(911R的なモデルだとして)911ターボSがベースとなる模様。
その意味では911Rとは性格が異なるモデルになりそうですが、もしかすると富裕層、そして懐古趣味を持つ人々に向けた「クラシカルで、かつ豪華な」モデルとなるのかもしれません(911GT3RSベースだとスパルタンになりすぎる?)。
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ポルシェによる偽装はなかなか巧妙
今回のプロトタイプを見るに、フロントバンパーの両サイド、リアフェンダーのエアインテークにシートが貼り付けられていますが、その様子を見ると、おそらくは「通常の911カレラ」に見せようとしているのかもしれません。
ただしフロントバンパー内のデイタイムランニングランプ、ホイールとカーボンセラミックブレーキ、リアフェンダーは「紛れもない911ターボS」。
リトラクタブル式リアウイングが無くなることでダウンフォースや高速安定性が失われることになるかと思われるものの、リアウイングを取り払った911Rがそうであったように、ボディアンダーにディフューザーが追加されることでダウンフォースを稼ぐのかも。
現在この謎911については何もアナウンスがなく、よって通常モデルなのか限定モデルなのか、はたまたなんらかの記念限定モデルなのかは一切不明。
ただし、ポルシェは1973年のカレラRS2.7(通称ナナサンカレラ)をひとつの重要資産だと位置づけており、過去にもこれを彷彿とさせるデザインや限定モデルを導入済み。
加えて70周年記念限定車「911スピードスター」にも、昔風のルックスを再現する「ヘリテージパッケージ」を用意したり、「935クラブスポーツ」の発売、そして992世代の911自体が「901や930、964、993」といった過去の911をリスペクトしたデザインを持っていることを考えると、やはりポルシェがかつてのナナサンカレラを直接イメージしたモデルを投入してくるということも十分に考えられます。
ただ、そうなるとナナサンカレラの一つの特徴であった「削って削って削りまくって軽量化」というその性格(なんせレース用のホモロゲーションモデルなので)と、911ターボという豪華そしてテクノロジーで武装したクルマとの性格的差異が出てしまいますが、それはやはり「時代の流れ」として受け入れるしかなさそうです(当時ナナサンカレラに憧れ、現在では購買力を持つようになった人々も”丸く”なっていると思われるので、やはり豪華路線は正しいのかも)。
ナナサンカレラはこんなクルマ
ナナサンカレラは1973年当時、ポルシェがグループ4カテゴリのホモロゲーションモデルとして生産したもので、ベースは911S/2.4。
軽量化、パワーアップ、足回り強化という、現代のRSモデルにも通じる「スポーツカーの基本」を強化したモデルです。
エンジンは2.7リッターで210馬力、トランスミッションは5速マニュアルのみ。
グレードは「ツーリング」「スポーツ」「レーシング」があり、さらに軽量な「ライトウエイト」バージョンも存在したようですね。
生産台数は1580台のみと非常に少なく、かつポルシェ911にとって「はじめての」RS=レンシュポルトという名のついたモデルだということもその市場価値を押し上げています。
そして多くのチューナーやショップが「ナナサンカレラ風」のカスタムを行ったりレプリカを作る中、ポルシェ自身は2009年に「911スポーツクラシック」としてダックテールスポイラーを持つ限定モデルを発売したことも。
公的にナナサンカレラへのオマージュだとは語られていないものの、ダックテールリヤスポイラー、そしてフックスホイール(フックス製ではないけれど)を見ても、やはりナナサンカレラを意識したのは間違いなさそうです。
VIA:Motor1