| ファン・パブロ・モントーヤはこれで三本目のスケルトン化 |
さて、過去にも何度か紹介したスイスの腕時計工房、「Artisans de Geneve=アルティザン・ドゥ・ジュネーブ/アルチザン・ドゥ・ジュネーブ」。
これは完全なる「カスタム工房」であり、顧客から持ち込まれた腕時計をカスタムするためだけに存在し、自らは「腕時計販売」を行わないというスタンスを貫いています。
手掛けるのは主にロレックスで、そして日本だと「カスタムロレックス」というジャンルが確立されていない(オリジナルが好まれる)ためにさほどその存在が知られておらず、しかし同工房では「ウェイティングリストが数年以上分にも」達する程の受注を抱えているとされ、つまりは相当な人気がある模様。
ファン・パブロ・モントーヤは自身の好みやキャリアを反映させた腕時計を作りたかった
そして今回公開されたのがその最新作、「モントーヤ・プラチナム・チャレンジ」。
これは元F1ドライバー、ファン・パブロ・モントーヤの依頼によってArtisans de Geneveがロレックス・コスモグラフ・デイトナをカスタムしたもの。
ちなみに以前にも「モントーヤ・ゴールド」が発表されていますが、今回はそれに続く「モントーヤ・カスタム」ということになります。
ファン・パブロ・モントーヤは熱心な腕時計コレクターでもあり、いつも考えていたのが「自身の好みとキャリアを反映させた腕時計をツイりたい」ということ。
その1本目が「モントーヤ・ゴールド」であったということになり、そして最新作がこの「モントーヤ・プラチナム・チャレンジ」(ほかにステンレススティール製のデイトナ、116520もカスタムしている)。
モントーヤ・プラチナム・チャレンジのベースとなるのは「116506(プラチナ仕様のデイトナ)」。
これをスケルトンダイヤルへと加工し、ダイヤルリングはブルー、3つのスモールダイヤルの文字はそれぞれブルー、レッド、イエロー(出身地であるコロンビアの国旗カラー)。
ベゼルにはカーボンファイバーが使用されています。
ケースサイドはポリッシュ、フェイスはブラシ加工。
ケースバックはスケルトンで、内面にはブルーアノダイズド加工が施されたローターを見ることが可能。
ケース裏面はサンドブラスト、そして「ARTISANS DE GENEVE」の文字と「JUAN PABLO MONTOYA PROJECT」文字がエンボスにて加工されています。
アルティザン・ドゥ・ジュネーブではこんなカスタムロレックスを製作している
アルティザン・ドゥ・ジュネーブではほかにも様々なロレックスのカスタムを行っていますが、ここでその一部を紹介してみたいと思います。
スパイク・リー・クールハンド・ブルックリン・チャレンジ
こちらは映画監督、スパイク・リーがオーダーしたロレックス・デイトナのカスタム。
ベースは116520で、しかし思い切ったカラーチェンジを行っており、専用に調合されたネイビー、そしてオレンジとの組み合わせ(本人はこのカラーリングを非常に好むようだ。なおニューヨーク旗のカラーリングはブルー/オレンジ/ホワイト)。
一番下のスモールダイヤル上部には自身の育った地域であり「BROOKLYN」の文字が入り、ベゼルもブルー、そしてストラップもブルーのアリゲーター製に。
クラウンの下に入る文字はシンプルに「ROLEX OYSTER DAYTONA」。
なお、プッシュボタンは上側がネイビー、下側がオレンジ。
ベゼルは1960-1970年代のデイトナをイメージしたベークライト(フェノール樹脂)製。
スパイク・リーによると、過去と未来、モダンとオーセンティックなど、異なる要素が存在するニューヨークを表現した、とのこと。
ケースバックはスケルトン、ローターのカラーにもネイビーに加工されています。
レニー・クラヴィッツLK01チャレンジ
次はミュージシャン、レニー・クラヴィッツによって依頼されたデイトナ。
ベースは116523つまりコンビ(ロレゾール)モデルで、ケースはカドを落とした上でDLC加工を施し、ベゼルはベークライト製へ、ベルトはカーフ製のレザーへ。
レニー・クラヴィッツはこの腕時計において「モダンヴィンテージ」を表現したといい、新しさ、そして懐かしさを感じる仕様となっています。
文字盤には「KRAVITZ DESIGN」の文字入り。
ベゼルはかなり大規模な加工がなされているようですね(いったん溝を掘って、そこへベークライト製のベゼルをはめ込んである)。
ケースバックはスケルトン、そして裏面に掘られた文字にはゴールドの墨入れ。
ローターはゴールドです。
こちらも「とてもロレックスには見えない」しかし魅力的な一本であり、ゴージャスな反面、レザーストラップがタフさを表現するなど、異なる要素をうまく同居させているようにも思えます。
ジョン・マッケンロー・レフティ・チャレンジ
こちらは往年のテニスプレイヤー、ジョン・マッケンローがオーダーしたサブマリーナのスケルトンモデル。
ベースは116610で、面白いのは「左利き」のマッケンローらしく、レフティに改造していること。
ロレックスというと比類ないポリッシュが特徴ではありますが、あえて光沢を抑え、そして色味も抑えた仕上げを持っています。
もともとのステンレススティール製にはめ込まれるのはセラミックでもベークライトでもなく「タングステン」。
美しいブラシ仕上げがなされています。
なお、日付を記したディスクはオリジナルのスケルトンへ。
インデックスはブラック、秒針(先端が矢印状へと変更)の先端もブラック。
時針と分針は「ドルフィン」っぽい形状へと改められ、半分がサンドブラスト加工へ。
そしてムーブメントのパーツの多くにもサンドブラスト加工が施され、光沢を抑えた仕様がなんとも渋い、と思います。