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まるでSF映画に登場するクルマ!1987年にランボルギーニは「カーボンシャシー、4WD」のカウンタック・エボルツィオーネを製造していた

2021/07/19

まるでSF映画に登場するクルマ!1978年にランボルギーニは「カーボンシャシー、4WD」のカウンタック・エボルツィオーネを製造していた

設計はパガーニ創業者、オラチオ・パガーニ

このクルマが市販されていたら、スーパーカーの勢力図は今とは違ったものとなっていただろう

さて、ランボルギーニ・カウンタックは今年で誕生50周年を迎え、ランボルギーニ自身からも様々な公式コンテンツが配信中。

そこで今回、カーメディアにて「ワンオフモデルのカウンタック・エボルツィオーネ(1987年)」が紹介されていますが、これはパガーニ創業者、オラチオ・パガーニ氏がランボルギーニの技術主任を担当していた時代に製作されたもので、もちろんそのデザインはオラチオ・パガーニ氏本人です。

なお、オラチオ・パガーニ氏はカウンタック25thアニバーサリー(1988年)を手掛けており、このモデルはランボルギーニとして初めて(カーボンファイバー含む)コンポジット素材を使用したモデル。

下の画像だと、一番右の人物が若かりし日のオラチオ・パガーニ氏だと思われます。

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オラチオ・パガーニは先見の明があった

オラチオ・パガーニ氏はコンポジット素材にいち早く着目し、それを取り入れつつ、同時にランボルギーニに対して「カーボン製フレームを焼成できるだけの大きな窯を買うよう」進言するものの、コスト的理由から却下されてしまい、ランボルギーニを退社したのち、自身の会社「アウトモビリ・パガーニ」を1992年に設立しています。

当時はランボルギーニの財政状態が芳しく無く、(そうしたくとも)オラチオ・パガーニの要望に応じることができなかったことは容易に想像できますが、ランボルギーニが2011年にようやくアヴェンタドールにてカーボン製シャシーを導入したところを見るに、オラチオ・パガーニは先見の明がありすぎたということになりそうですね。※ランボルギーニは1987年にクライスラーに買収されている

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中身はカウンタックとは「別モノ」

今回公開された画像を見るに、その外装は「未来派カウンタック」をイメージしたレンダリングそのものといった感じですが、ボディパネルはアルミとカーボンファイバーで構成され、それまでのカウンタックとはあらゆる意味で異なっている、とのこと。

Lamborghini-Countach-Evoluzione1987 (6)

おそらくシルバーの部分はアルミ、ブラックの部分は複合素材だと思われ、しかしこのカウンタック・エボルツィオーネが製作された1987年当時、カーボンファイバーの使用は一般的ではなく、よって「ほぼ知られていない」素材だったようですね(ただ、同年に急速に普及し始めたと見え、1987年末に発表されたフェラーリF40はカーボンファイバーを大量に使用している)。

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前後には大きなオーバーフェンダーが装着され、ホイールにはカーボン製と思われるカバー。

空力的な効果は高かったとされ、しかしブレーキの熱を逃がすことができなかったため、後に取り外されたとのこと。

Lamborghini-Countach-Evoluzione1987 (3)

そしてこのカウンタック・エボルツィオーネ最大の特徴が「カーボン製シャシー」。

カウンタックに使用されていたスチールパイプ製スペースフレームではなく、ケブラーとカーボンファイバーでできた一体型のハニカム構造を採用しており、大幅な軽量化に加え、その高い剛性のおかげで優れたハンドリングと安定性を実現した、とのこと。

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もしカウンタック・エボルツィオーネが発売されれば、市販車最高のスペックを誇ることに

そこでこのカウンタック・エボルツィオーネがどれくらい軽いのかということですが、その車体重量はわずか980kgにとどまり、つまり当時の市販バージョンのカウンタックに比較すると、なんと「マイナス500kg」。

搭載されるエンジンは5リッターV12、出力は490馬力を誇り、軽量な車体と相まって0-100km/h加速は4秒前半、最高速は330km/hを記録しています(ナルド・サーキットを実際に走行しての記録)。

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ちなみに当時最速の部類であったポルシェ959の0-100km/h加速は3.7-3.9秒、最高速は314km/h、フェラーリF40の0-100km/h加速は4.1秒、最高速は324km/hなので、いかにこのカウンタック・エボルツィオーネが速いかもわかりますね。

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当時ランボルギーニはテストコースを持たず、よって簡単なテストは公道を使用して行っていたようだ!

さらに(驚くべきことに)このカウンタック・エボルツィオーネは車高やダンパーの硬さをボタン一つで変更できる電子制御サスペンションを持っており、ABSと4WD採用、さらには改良されたギアボックスを搭載しており、サーキットでは圧倒的な速さを誇った模様。

現代のランボルギーニは基本的に4WDを採用しますが、1987年の時点でこういったクルマを作っていたということには驚くよりほかありません(パオロ・スタンツァー二によると、カウンタックはもともと4WDも想定されていたとは言うが)。

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ただ、残念なことにこのカウンタック・エボルツィオーネはもともと量産を目的として開発されたクルマではなく、様々な検証を行った後にはクラッシュテストに回され、つまり他ならぬランボルギーニ自身の手によって破壊されたということになりますね。

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もちろん、カーボンファイバー製シャシーや外板、4WDレイアウトなどは後のランボルギーニV12モデルによって実現されることにはなりますが、「仮に当時これが生産されていたならば」スーパーカーの勢力図はまた違ったものとなっていたのかもしれません。

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参照:CARSCOOPS

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