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【動画】近代のフェラーリはこういった戦略を取っている!「常にライバルに先んじる」「ラインナップ定番化で顧客を維持」「ニューモデル投入で客層を拡大」「限定モデルで旧来のファンをもてなす」

2022/02/24

【動画】近代のフェラーリはこういった戦略を取っている!「常にライバルに先んじる」「ラインナップ定番化で顧客を維持」「ニューモデル投入で客層を拡大」「限定モデルで旧来のファンをもてなす」

| 考えれば考えるほど、フェラーリの戦略はよく練られている |

フェラーリはなんだかんだで常に時代の要求、顧客の要望に応えてきたようだ

さて、2篇にわたり「フェラーリの歴史」を紹介してきましたが、今回はその最終章。

これまではフェラーリ創業者、エンツォ・フェラーリがその自動車業界のキャリアをスタートさせ「フェラーリ」を創業し事業を拡大したところまで、そしてパート2ではミドシップやV8モデルの展開を開始し、限定モデル含めそのラインナップについて一定の構成を確立させたところまでを紹介しています。

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フェラーリの新しいチャレンジはまだまだ続く

そしてこのパート3で紹介する最初のモデルは2003年のチャレンジストラダーレ。

これは単なる360モデナのパワーアップ版ではなく、その名の通りワンメイクレース「360チャレンジ」に参戦するレーシングカーの公道(ストラダーレ)版となっています。

よって、エンジンはもちろん、エアロダイナミクス、ブレーキ、冷却系などが「レーシングカーに準じるもの」となっていて、車体重量に至っては360モデナ比で110kgも軽量化されることに。

このモデルによって近代のフェラーリは「レーシングカーからフィードバックを受けたロードゴーイングカーを発売する」という手法を確立したとも言えそうですね。

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そして次に登場したのは2004年の612スカリエッティ。

V12エンジンをフロントに積む4シーターで456M GTの後継モデルというポジションで、3,025台が販売されています。

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そして同じく2004年にはV8モデルも360から430へとスイッチすることに。

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フェラーリは意外と新しいことにも積極的

そして2005年には「スーパーアメリカ」が発売され(559台限定)、これはかつての400スーパーアメリカのオマージュと言えるモデルですが、世界初のローテーティング(回転式)グラスルーフを持つことが特徴です。

こういった画期的というか斬新な気候を採用するところを見ても、フェラーリは比較的「新しい技術にチャレンジングな会社」ということがわかります。

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2006年には599GTBフィオラノが登場しますが、これは同じくV12エンジンをフロントに積むといえど575Mマラネロの後継にあたる「スーパースポーツ」であり、GT系の612スカリエッティとはまた異なるラインにあるクルマです。

なお、新車価格は30万ドルに設定され、つまりは相当に高額なモデルということに。

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2007年には、ミハエル・シューマッハが7度のワールドチャンピオンを獲得した記念としてF430のハードコアモデル「430スクーデリア」が登場していますが、ここでまた「限定ハードコアモデル」という新たなラインナップが登場したと考えることも可能です。

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なお、430スクーデリアについては、同年代に発売されていたランボルギーニ・ガヤルドのスパルタンモデル、「ガヤルド・スーパーレッジェーラ」への対抗だとも言われています。

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2008年に登場したカリフォルニアは画期的なモデルであり、その投入の目的は「新規顧客を獲得すること」。

実際にカリフォルニアのオーナーの70%はフェラーリにとっての新しい顧客だったとされますが、「フロントにV8エンジン」「7速デュアルクラッチ」など新しい要素が詰まっています。

なお、2014年にはV8ターボエンジンを積んだ「カリフォルニアT」へと進化しており、こちらも「まっさきにV8ツインターボを採用したモデル」ということに。

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オープンモデルはやっぱりフェラーリにとって「特別」

2010年にはSAアペルタが登場しますが、これはセルジオとアンドレアというピニンファリーナ両名の功績をたたえたもので、平たく言えば599(クーペ)をオープン化したもの。

もちろん599にはオープンモデルが存在せず、80台のみしか製造されなかったSAアペルタは非常に希少なクルマであり、「スーパーアメリカ」同様にオープンモデルを特別に扱うという傾向がより鮮明になり、さらに「少量生産モデル」という手法を確固たるものにしたモデルと言えるかもしれません。

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そして2009年に登場したのが458イタリア。

458イタリアの評価は非常に高く、同年の「カー・オブ・ザ・イヤー」、「スーパーカー・オブ・ザ・イヤー」など多くの賞を獲得していますが、458イタリアは15,000台が生産され、「もっとも多く生産されたフェラーリ」となっていて、名実ともにその素晴らしさを証明したということになりますね。

ちなみに2011年登場の458スパイダーの生産台数につき、(生産年数が短いということもありますが)6000台のみに留まっているので、やはりフェラーリにおいて「オープンモデルはクーペの半分以下しか作られない」という通説を裏付けているのかもしれません。

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2011年にはさらにエポックメイキングな「ワゴンボディ」を持つFFが登場し、これはV12エンジンをフロントに積み、4人が乗れて4WDというクルマ。

流れ的には612スカリエッティの延長にあるといえるかもしれません。

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2012年にはもうひとつのV12モデル、599GTBの後継モデル、F12が登場。

トップギアにおける「スーパーカー・オブ・ザ・イヤー」を獲得するなど高い評価を得ており、それまでの「V12フロントエンジンモデルは、V8ミドシップに比較して人気がイマイチ」という評価を覆したモデルだと認識しています。

ちなみにこの時期のフェラーリの生産台数は7,200台程度(年)で、これを1万台にまで伸ばすと発表した際には多くの「失望」が出ていますが、現在はすでに1万台を突破しており、しかしフェラーリの希少価値は衰えるどころかさらに増しているように思います。

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2013年には500台限定のラフェラーリが登場しており、この時代のフェラーリは新規顧客を獲得するためにインフルエンサーを活用するという手法を採用していて、それまでとはやや異なる販売手法を(限定モデルについて)採用したことが特徴。

よって、2016年に210台限定で発売されたラフェラーリ・アペルタとともに多くの著名人に購入権が与えられています。

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2015年になるとV8ミドシップフェラーリもついに(環境規制に対応するために)ターボエンジンを搭載することになり「488GTB」が登場。

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2016年にはFFの後継モデルであるGTC4ルッソ、そのV8ツインターボ版であるGTC4ルッソTが登場。

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2017年にはF12の後継である812スーパーファストが販売開始。

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同じく2017年にはカリフォルニアの後継であるポルトフィーノが登場。

「ポルトフィーノ」はイタリアのリゾートの地名ですが、「カリフォルニア」同様に地名を採用することで関連性を持たせたのかもしれません。

なお、このあたりになると「すでに出来上がったラインナップのモデルチェンジ」を行うというサイクルが確立されており、フェラーリが「安定してきた」ということもわかりますね。

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フェラーリは新しい時代へ向かって歩み始める

2019年になるとフェラーリは新しい限定シリーズ「ICONA」を立ち上げますが、これはフェラーリのアイコンと最新のテクノロジーとを組み合わせた少量限定生産モデルであり、新たな収益の柱ということになりますね。

この第一弾はモンツァSP1/2であり、過去のいくつかのフェラーリをモチーフとしてデザインがなされています。

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そして2019年には488GTBもF8トリブートへとスイッチしていますが、これは488ピスタとほぼ同じスペックを持ちつつ、しなやかな乗り味を持つというモデル。

フェラーリのV8エンジン搭載ミドシップモデル最後という位置づけのクルマであり、これをもってV8ミドシップの灯火が消えることになります。

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2019年はフェラーリにとっての「ニューモデルラッシュ」でもあり、初の量産ハイブリッドモデル「SF90ストラダーレ」が登場。

ハイブリッド搭載というだけでもトピックとなりうるわけですが、そのうえ「4WD」「1000馬力」という武器も備えており、ハイブリッドに対するフェラーリの意気込みを感じさせるばかりか、デザイン的にも新しい路線を採用しており、これからの時代をリードする新生代フェラーリが誕生することとなっています。

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2000年には「ローマ」が登場し、それまでのフェラーリとは打って変わって「クラシック路線」を採用。

ICONAシリーズ同様に過去のフェラーリを意識した優雅なボディラインを持ち、しかしLEDなど現代の技術でしか再現し得ないデザインや構造も取り入れたことが特徴であり、新しいフェラーリの可能性を切り開いたモデルだと考えています。

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フェラーリ「ローマはいうなればイブニングドレスを着たF1マシン。そのルックスによって高級SUVやセダンのオーナーを取り込みたい」

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そして現在の最新モデルが「296GTB」。

こちらもハイブリッドモデルとなりますが、新開発のV6エンジンを積んでおり、デザインはローマ同様の「クラシカル路線」。

この後に発表されるであろうフェラーリ初のSUV「プロサングエ」はローマそして296GTB同様のデザインを持っていて、今後のフェラーリはこれらと同様のデザイン言語を持つ、と考えて良さそうです。

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フェラーリがV6ハイブリッドモデル「296GTB」発表
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こうやって近代フェラーリの動きを見ていると、まずはV8ミドシップ、V12フロントエンジン(GT)、V12フロントエンジン(スポーツ)という定番ラインナップを構築し、その後にV8フロントエンジンにて新たな顧客を獲得して裾野を広げようとしたことがわかります。

一方で希少性の高いハードコアモデルを投入してブランドイメージを守り、更に希少なICONAシリーズでフェラーリの旧来のファンを納得させ、安定の「周年記念モデル」にて収益を確保しようとしてきたようですね。

一方で時代に対応すべく新しい動きも見せており、ターボエンジン導入による環境規制への対応、ハイブリッドの採用についてもライバルに比較してスピーディーであったと言ってよく、そのデザインに関しても「過去と未来」をうまく結びつけた、”フェラーリにしかできない”表現手法を導入しており、ますます独自性を高めているようにも。

販売台数が増えることでフェラーリの希少性が失われるといった懸念が聞かれたものの、それは当のフェラーリがもっともよく理解していて、モデルラインナップを増やし、かつモデルサイクルも早めることで「1モデルあたりの生産量」を抑えようとしているようにも見られます。

加えてモデル間での差別化も大きくなり、それぞれのモデルには「それぞれの買うべき理由付け」もなされていて、こういった戦略は自動車業界の中でも「最も優れている」部類なんじゃないかと思います。

フェラーリの歴史(近代)を紹介する動画はこちら

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参照:Flatlife

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