■駄文(日々考えること)

ある男の独白。「ボクがイケメンなのでモテると思ってます?ええそれはモテます。でもね、男は結局カネなんですよ。ボクが言うから間違いない」

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| イケメンにはイケメンなりの苦労があるようだ |

ボクには全く無縁の苦労話ではあるけれど

さて、ふと思い出したことがあったのでちょっとここで述べてみたいと思います(クルマ要素なし)。

それはぼくがまだ社会人2年目の頃の話だったのですが、当時ぼくは証券会社に努めていて、2年目の春にはじめての後輩が入ってきたときのこと。

その後輩のうちの一人がたいへんなイケメンで、しかしそのイケメン度合いが並外れているために”いかにイケメンであるか”は筆舌尽くし難く(どんな言葉もそのイケメンの前では陳腐な表現にしかならない)、ぼくの貧困な語彙力にて最大限の説明をするならば「流川楓って本当にいたんだ・・・」という感じ。

身長も高く(183センチ)筋肉質であり、完全に見た目では「敵なし」といった超大型新人の入社に支店内は騒然となったわけですね。

イケメンは性格もイケメンだった

そしてそういったイケメンが入社した際の「定例」として女性社員は色めき立ち、男性社員は嫉妬に駆られたりするわけですが、当日の歓迎会の場にて、早速課長や部長がイケメンを弄りだしたり自分を卑下したりすることに。

「イケメンはいいよな」とか「モテて困るだろ」とか「何の苦労もなくていいよな」とか「どうせオレなんか」といった話が出来ることになり、ちょっと気まずい雰囲気にもなりつつあったのですが、ただ、このイケメンは性格すらも文字通りのイケメン。

まず「そうですね、まずモテるのは間違いないですし、実際悩みといえばモテすぎるくらいですかね」とまず軽いジャブを放ちます。

「外を歩いていても写真を撮られたり知らない人に声をかけられたり、抱きつかれることもあってけっこう苦労しますね。だから、外出のときは金髪リーゼントのかつらを被ってサングラスをして歩くんですよ。服は作業着ですね。そうすると声をかけられることはあまりありません」。

こういった感じで常人には理解できない苦労を語りつつ、さらにイケメン新人はかつての驚愕のエピソードも披露。

「しかしですね、男は顔じゃないんですよ。ひとつ、ぼくが小学生だった頃の話をしたいと思います。小学校でもそれはモテてモテて大変で、勝手に”婚約した”という女の子が何人も出てきて校内で問題になっちゃって、教師から学級委員会にて”そういうことを言わないように”と通知が出されたり、それでも収まらずに勝手にぼくと結婚式をあげたといい回る子が出てきたりして大変でしたね。
もちろんファンクラブもあって、何をしても騒がれたので困りましたが、幸いなのは、スポーツができたために男子からは重用され、男子が味方についてくれたことですね」。

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やっぱり男は「カネ」?

そして彼は一息置いて、衝撃の事実を語ることに。

「そんなある日、ファンクラブの女の子たちが、ぼくの家に来ようという話になったんです。ぼくはもちろん来ないで欲しいと伝えましたが、もちろん彼女たちは聞く耳を持ちません。そして彼女たちがぼくの家に来たとき、事件は起こったのです」。

もうこの時点でぼくらはこのイケメンの話に釘付けとなっていたわけですね。

「ぼくの家は貧乏で、いわゆるあばら家のような家でした。兄弟は7人いて生活が苦しく、なぜかぼくだけがイケメンであり、家にいた兄弟含む家族は普通の外見で、さらに言えば身なりも貧しく、彼女らが期待していたぼくの家や家族とはほど遠く、とうてい受け入れることができなかったのだと思います。彼女らはその場から何も言わずに立ち去ってしまいました。

そして翌日学校へゆくと、ぼくの机の上に一通の手紙があったのです。そこには”今までつきまとってごめんなさい。ファンクラブは解散します。私達のことは忘れてください”と書いてありました」。

そのときの彼の苦しそうな顔をぼくは一生忘れない。

「ぼくは、小学校高学年のときに、男は顔や外見ではなく、カネがすべてだということを思い知らされたのです。そしてここにいる皆さんは、少なくとも新入社員のぼくよりも経済的に豊かなはずで、ぼくよりは女性から見たときに優れた男だと言えるでしょう。ぼくからすると、経済的にぼくよりも優れる皆さんを羨ましく思います。どうです?それでもぼくが羨ましいですか?」。

今となっては真実はわからない

ここまで聞かされてしまったぼくらはそのイケメンに対して「お前も苦労したんだな・・・」「大丈夫だ、これから頑張ろう」といった声をかけてその場が丸く収まり、かつ彼は課長や部長にたいそう気に入られることに(後日、自慢の部下として得意先に紹介していた)。

そして次の日にはこの話が女子社員にも広く知られてしまい、しかし副産物として「イケメン新入社員は外観だけしか見ない女性をひどく軽蔑するらしい」と認識されるようになったので誰一人彼にアタックする女性社員が出ず、なにもかもがうまくいったという昔話を思い出したわけですね。

今となっては、イケメン新入社員の(過去の)話が本当だったのか、彼なりの処世術としての作り話だったのかは定かではなく、しかしイケメンにも一定の苦労がある、というのは間違いないのかもしれません。

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