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「進化ではなく革命」。一度に複数カラーを、しかも人より正確に複雑なグラフィックを再現できるロボット「ピクセルペイント」が登場

「進化ではなく革命」。一度に複数カラーを、しかも人より正確に複雑なグラフィックを再現できるロボット「ピクセルペイント」が登場

| このロボットの仕事は「人の代わり」ではなく「人間以上」だとも考えられる |

これからのロボットは人の能力を拡張するために活用できる存在となりそうだ

さて、自動車の製造にかかわる技術は日進月歩であり、「昨日できなかったこと」が今日できるようになったりするのは日常茶飯事。

例えばインテリアだと、これまで難しかった「アルカンターラへの型押し」が(超音波の使用にて)できるようになったり、複雑な文様をレーザー加工にて(孔を開けることで)再現できるようになったりしています。

塗装においても様々な技術が開発され、マツダの「ソウルレッドクリスタル」のような高輝度塗装が可能となったり様々な可能性が広がることに。

今度は「人に代わってアートカーがペイント」

そして今回ABBロボティクスが発表したのは「自動車のボディ表面に、複雑かつ正確な絵を高速で描く」技術。

このロボットは「ピクセルペイント」と命名されており、いうなればロボットアームの先端にインクジェットプリンターを取り付けているというイメージです。

そしてアーム先端の(プリンターの)ノズルには1,000個以上ものノズルがあり、ボディ表面から「数ミリの」高さにて複数の色を噴射する事が可能なのだそう。

そしてこのピクセルペイントの特徴としては「極めて近距離から、極めて正確に」インクを吹き出すことによってマスキングなしでも精密な絵を描くことができ、その塗装工程を一気に短縮することに成功しています。

abb-robotics-art-car

今回ABBロボティクスは、このピクセルペイントの機能を紹介するためにフォルクスワーゲン・ティグアンを用いてデモンストレーションを行っており、そのグラフィックのデザインを行ったのはドバイのアーティストグループ「イルソール」、そして8歳の天才アーティスト、アドバイト・コラルカル君。

イルソールは自然や車の周りの自然な空気の流れからインスピレーションを得たという複雑なマルチカラーのラインのパターンを、アドバイト・コラルカル君は「ゼブラ・ユートピア」と名付けられたモノクロの抽象画を作成しています。

そしてそれぞれのアートを入力すると・・・。

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こんな感じで自動にてペイント開始。

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こちらが「ゼブラ・ユートピア」。

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こちらはイルソールの作品ですが、これはマスキングを行ったとしても人の手ではペイントできないかもしれないと思わせるほど複雑な柄。

なお、このロボットアームの可動範囲はけっこう広いようで、ボディの広範囲に渡ってペイントしていることもわかりますが、おそらくは「塗料をかなり薄く塗ることができる」ものと思われ、かつマスキングの痕も残らないため、仕上がりもかなり美しそうですね。

加えて「一度にマルチカラーをペイントできる」ということも特筆に値し、この作品であれば30分程度で仕上がる、とのこと。※BMWも同様のロボットを導入しているが、そちらは見る限りでは「一色」にしか対応できないようだ

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ABBのロボティクス&ディスクリートオートメーションビジネスエリア(社名長いな)にて社長を務めるサミ・アティヤ氏によると「ABBのピクセルペイント技術は、単なる進化ではなく、革命です。この技術は、ロボティックオートメーションと当社のロボットスタジオ・ソフトウェアが、より持続可能な製造への道を開くだけでなく、人間の精神の独創性、そして美しさを称える繊細な芸術作品を完璧に再現できることを示す輝かしい例なのです」とコメント。

実際のところ、「人の手ではまず再現できない」グラフィックを実際にペイントできるという点においては「人の感覚を拡張している」と考えてよく、人間の可能性をロボットによって拡大していると考えることができるのかもしれません(人間のみ、ロボットのみでできる範囲は限られているかもしれないが、両者が協力するとその限界を押し広げることが可能となる)。

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参照:ABB Robotics

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