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ポルシェがル・マンとIMSAを走るレーシングカー「963」を公開!成功を収めた「962」「959」オマージュ、そして現行モデルや未来のモデルとの関連性も

2022/06/25

ポルシェがル・マンとIMSAを走るレーシングカー「963」を公開!成功を収めた「962」「959」オマージュ、そして現行モデルや未来のモデルとの関連性も

| ここ最近、各社ともレーシングカーと市販車との関連性を強く押し出している |

2023年からは多くのライバルとともに戦うことになり、その戦闘力には期待したい

さて、ポルシェが2023年からIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ、ル・マン24時間レース含むFIA世界耐久選手権を走るレーシングカー、「ポルシェ963」を発表。

これはレーシングカーコンストラクターのマルチマチック製シャシーを使用したLMDh規定に則ったレーシングカーで、もちろんエンジンはポルシェ製、そしてパートナーはアメリカのレーシングチームであるペンスキー(チーム名は”ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ”)。

そしてこのポルシェ963のデザインは956そして962に由来する、と説明されています。

ポルシェ963はこんなレーシングカー

ポルシェはこの963を合計で4台投入するといい、ボディカラーには「白、赤、黒」というポルシェがモータースポーツ参戦時に用いるアイコニックな3色が用いられます。※917Kに用いられた「ザルツブルグ」へのオマージュのようにも思える

FIA世界耐久選手権にはドイツのマンハイムにある拠点から、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権にはアメリカのノースカロライナ州モーズビルの拠点から参戦するといい、このポルシェ963のステアリングホイールを握るのはポルシェはケヴィン・エストレ(フランス)、マイケル・クリステンセン(デンマーク)、アンドレ・ロッテラー(ドイツ)、ローレンス・バントール(ベルギー)、マット・キャンベル(オーストラリア)、マシュー・ジャミネ(フランス)、デーン・キャメロン(アメリカ)、フェリペ・ナスル(ブラジル)というチャンピオンシップ経験のあるドライバーそしてポルシェのワークスドライバーである8人(まだ全員が決まったわけではない)。

レースデビューは2023年1月に米国で開催されるデイトナ24時間だとアナウンスされており、カスタマーチームにも車両が提供されるとのことなので、ポルシェワークスのほか、さらに多くのポルシェ963が走る姿を見ることができそうですね。

ポルシェ963に搭載されるエンジンは918スパイダーからデリバリーされた4.6リッターV8ツインターボで出力は600馬力、これにウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング製のハイブリッドシステムを組み合わせてシステム合計680PSを発生する、と紹介されています。

ポルシェにてモータースポーツ担当副社長を務めるトーマス・ラウデンバッハ氏は「2022年前半に行った7,889kmのテスト走行にて、我々は非常に良い感触を掴んでいますが、来シーズンの開幕までにやるべきことはまだ残っています。私たちの新しいポルシェ963は、かつての917、935、956、962、919ハイブリッドといった伝説的なレーシングカーのレガシーを引き継ぐ存在であるべきで、多くのライバルたちと様々なコンセプトが競い合うスリリングなレースで勝利するため、チーム体制を整えています」とコメントし、その意気込みを見せることに。

ポルシェ963は市販モデルとの共通性も多い?

なお、ポルシェがル・マン24時間レースを走らせていた先代レーシングカー、919ハイブリッドに比較すると、この963は市販モデルとの共通性が強いように思われ、フロントだと今後登場するであろうミッションRの市販版としての718(のピュアエレクトリックモデル)を表現しているようでもあり、919ハイブリッドとは大きく異る部分です。

リアだと現行モデルに採用されるLEDライトバーが装備され、ウイング翼端にストップランプを内蔵していた919ハイブリッドとは相違がありますね。

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ルーフには新型911GT3RSに(オプションで?)採用されるかもしれないフィン。

加えてこの「ヘルメットルーフ」も今後のポルシェのスポーツカーレンジに採用される可能性が高いのでは、と考えています。

こういった感じで、ポルシェ963には、市販モデルとのデザイン的共通性が多く見られると考えていますが、この傾向はほかの(ル・マンを走る)チームも同様であり、アキュラ、キャデラック、BMWが走らせるレーシングカーも市販車と多くの共通点を持ち、そしてこれはもちろん「レースを通じ、そのメーカーとしてのアイデンティティを周知させ、市販車の販売を優位にするため」だと考えられ、ぼくとしては非常に歓迎している傾向です。

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ポルシェ962とは?

そこでポルシェ963のオマージュ元にも触れてみたいと思いますが、まずポルシェ962は1985年〜1994年までIMSA-GTPクラスやWECにて活躍し、IMSA、ル・マン24時間レースともに複数回の優勝をポルシェにもたらすなど非常に多くの成功を収めたマシンです。

様々なバリエーションが存在し、2.65リッター〜3.2リッターのフラットシックスエンジンを車体ミッドに搭載し、先代であるポルシェ956とともにポルシェのモータースポーツ黄金期を形成したレーシングカーのひとつだと言ってよく、北米そしてヨーロッパ両方で活躍したことからも、ポルシェがこの962をモチーフとしたこと、そして「963」というこれに続くナンバーを与えたことにも納得。

この「963」というネーミングについては、ぼくを含め「おお」と思ったファンも多いかと思いますが、今回のポルシェ963とポルシェ962との具体的な類似性を見つけることはできないように感じられ、強いて言えばバブル型のコクピット、ボディ一体型のリアウイング(ただしこれらはル・マン・レーサーとしては一般的でもある)くらいかもしれません。※「963」のフォントはおそらく当時風なのだと思う

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ポルシェ959とは?

そしてもう一方のオマージュ元、「ポルシェ959」はもはや説明不要な域に達している伝説のスーパーカー。

1986年の発表当時は最速の加速を誇り(最高速はフェラーリF40のほうが上だった)、数々の先端技術によってその後のポルシェの方向性のみならず、自動車業界をも変えてしまったクルマです(日産スカイラインGT-Rには、ポルシェ959に搭載されたトルクスプリット4WDを参考にしたシステム、アテーサE-TSが積まれる。さらに日産はMID4も企画することになった)。

ポルシェ959

こちらもやはり963との具体的な共通性を見いだせないものの、どこかにこっそりと「オマージュ」が隠されているのかもしれませんね。

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ポルシェ963がグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードのヒルクライムを走る動画はこちら

参照:Porsche, Goodwood Road & Racing

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