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| Gシリーズは911でもっとも長い期間「生き抜いた」モデルでもある |
この記事のポイント(30秒でわかる要約)
- 16年のロングセラー: 1973年〜1989年まで製造された、歴代911で最も息の長いモデル
- 「ビッグバンパー」の誕生: 米国の安全基準が生んだ象徴的なデザインと錆に強い亜鉛メッキボディの導入
- 伝説の始まり: 1974年、世界を驚かせた「911ターボ」がデビュー
- 不朽の資産価値: 走行30万km超えも珍しくない耐久性と今なお衰えない圧倒的な人気
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オイルショックを越え、時代を定義した「Gシリーズ」
1973年。世界が第4次中東戦争やオイルショックに揺れる中、ポルシェは911の第2世代、通称「Gシリーズ」を発表しています。
先代の「ナロー」から一転、米国の5マイル・バンパー規制に対応するために生まれた武骨な蛇腹付きバンパーは当初ファンの間で賛否両論を巻き起こしましたが、しかし蓋を開けてみればその生産期間は16年に及び、ポルシェを世界最高のスポーツカーブランドへと押し上げる立役者となったことは御存知の通り。
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革新のデザインと技術:なぜ「G」は特別な存在なのか?
デザインの進化:ビッグバンパーの正体
最大の特徴であるバンパーの蛇腹部分は、8km/h(5マイル)以下の衝突であればボディに損傷を与えないという革新的な構造で、これにより全長は先代より144mm拡大することに。
クローム装飾を排し、マットブラックを基調としたモダンなスタイルは、70年代の新しい美学を象徴しています。
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参考までに、「5マイルバンパー」とは、当時の保険業界からの要望によって導入された規制であり、車両が高級化するとともに「事故の際の修理費用が高騰してしまい」、その支払に苦しんだ保険会社が「5マイル程度の衝突であれば修理が不要な」衝撃吸収装置の導入を望んだことに端を発しています。
これによって北米向けの車両はその設計、あるいは仕様地での変更(あまり見栄えの良くないラバーバンプなどが装着される)を余儀なくされ、車体のデザインが「大きく変わってしまった」という事実もよく知られていますね。
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究極の錆対策と耐久性
1975年から採用された「熱間浸漬亜鉛メッキ鋼板」は当時の車にとって最大の敵であった「錆」を克服した画期的な技術的進歩でもあり、1986年にポルシェは自動車業界初となる10年間の防錆保証を開始しています。
これに加え、「30万km走ってもオーバーホール不要」と言われる3.2リッターエンジンのタフさもあって「生産したポルシェの70%以上が今なお路上を走る」という事実を支えることとなっていますが、こういった「頑丈極まりない」特徴が今もなおGシリーズの高い中古車相場を支える理由となっています。
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主要スペック・性能詳細(代表モデル)
Gシリーズの進化を象徴する主要3モデルのスペックをまとめると以下の通り。
| モデル | 911(1974) | 911 SC(1980) | 911 Turbo (930) |
| エンジン | 空冷水平対向6気筒 2.7L | 空冷水平対向6気筒 3.0L | 空冷水平対向6気筒 3.3Lターボ |
| 最高出力 | 150 PS | 204 PS | 300 PS |
| 0-100km/h加速 | 8.5秒 | 6.8秒(推定) | 5.4秒 |
| 最高速度 | 210 km/h | 235 km/h | 260 km/h |
| 当時の価格 | 26,980 DM | - | 65,800 DM |
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モータースポーツへの情熱と「ターボ」の衝撃
1974年のパリ・モーターショーで発表された「911ターボ」は、モータースポーツの技術を公道に持ち込んだ最初のスーパーカーとして知られており・・・。
- 迫力のワイドボディ: 標準モデルより12cm拡大されたフェンダー
- 大型リアウィング: 「ホエールテール(クジラの尾)」の愛称で親しまれた空力デバイス
- レースでの活躍: パリ・ダカールラリーでの4WDモデル(Type 953)の優勝や、グループBを狙った911 SC/RSなど、どんな過酷な路面でもポルシェは勝ち続けた
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エピソード:一度は検討された「911廃止」の危機
実は1970年代後半、ポルシェ社内では「911は古い。これからはフロントエンジンの924や928の時代だ」という声が強まり、911の廃止が検討されていたことも。
しかしながら空冷ボクサーエンジン特有の鼓動とRR(リアエンジン・リアドライブ)が生み出す濃密なドライビング体験を求めるファンの声がこの決断を覆すこととなり、1982年には初の「カブリオレ」を追加するなど、Gシリーズは最後まで進化とバリエーションの拡大を止めることはなく、その精神が現在の992世代にまでも反映されているというわけですね。
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結論:今こそ知りたい、一生モノのスポーツカー
ポルシェ911 Gシリーズは「クラシックな魅力を持つノスタルジーあふれる911」というだけではなく、厳しい安全規制や環境問題を”技術革新によって「個性」へと昇華させた”、ポルシェの意地が凝縮されて詰まった一台。
誕生から50年以上が経過しているものの、現代の最新911(992型)にも、そのシルエットやエンジニアリングの哲学は脈々と受け継がており、もし「一生に一度は空冷ポルシェを」と考えているならば、その信頼性と歴史の深さにおいて、Gシリーズこそが最良の選択肢と言えるのかもしれません。
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【豆知識】Gシリーズの「名前」の秘密
厳密には「Gシリーズ」という名称は1974年モデルのみを指す社内呼称であり、翌年はH、その次はJと、年次ごとにアルファベットが進むのですが(1980年からはAに戻る)、現在では1973〜1989年の全モデルを総称して「Gシリーズ」と呼ぶのが一般的です。
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