| ただしポルシェだけに、ミニバンであっても「間違いなくポルシェ」なクルマを発売してくると思う |
アメリカや中国ではおそらく大変な人気となりそうだ
さて、ポルシェが「フラッグシップとして新型ミニバンを発売する」と言われて久しい状況ですが、どうやら着々とその実現に向けて物事が進んでいるもよう。
今回匿名ではあるものの、このミニバンについての公式レンダリングを見たというポルシェ関係者が情報を漏らしており、それによると「非常にポルシェらしくない」デザインを持つ、とされています。※上の画像はポルシェ・ヴィジョン・レンディーンスト
そしてこの人物によれば「それはセダンのようでもあり、SUVのようでもある」「軽快な印象がある」としながら、「リアがフラットであり、(丸くないから?)ポルシェらしくない」とも。
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ポルシェのミニバンはいったいどんなクルマに?
ただしこれだけの情報ではいったい何のことやらサッパリで、しかし「セダンのような、SUVのような」というところからすると、新型クラウンやプジョー408のような「背の高いセダンでハッチバック」といったスタイルになるのかも。
現在自動車業界ではSUVが大流行中ですが、それだけ流行ると必ず反動が来て他のボディスタイルに(消費者の)目が行くようになるだろうとも言われていて、しかし現状「SUVの次」となるようなボディスタイルは市場に存在せず、よって各社が注目するのがこの「背の高いセダン」ということになります。
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なお、この「背の高いSUV風セダン」はけっこう理にかなっているんじゃないかと思うことがあり、それは現在自動車市場のナンバー1とナンバー2である中国と米国で人気のあるボディ形状が「SUVとセダン」だから。※ちなみに他の地域(欧州など)においてSUVの人気が高いのは変わらずとも、そのほか支持されているのはハッチバック、日本ではハッチバックやミニバンとなっている
よって、世界の自動車市場を見渡したとき、最大公約数を拾うことができるのが「SUVとセダンとの融合(フュージョン)」ということは間違いなく、各社ともこれに目をつけるのは非常に自然な成り行きです。
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ちなみにポルシェはこのミニバンをハイブリッドもしくはピュアエレクトリックにて発売する可能性が高く、さらに室内スペース効率を最大化するのであればピュアエレクトリックパワートレインを搭載するのがベストだとも考えられますが、現時点ではこのあたりの情報はなく、ポルシェ自身も「様々な可能性」を検討しているのかも。
ただ、ポルシェはこのミニバンに「ミッションR」で採用された技術を取り入れるとされ、となると920V充電システム、油冷式エレクトリックモーターが転用される可能性も否めません。
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なぜポルシェがミニバンを?
そこでやっぱり気になるのは「なぜポルシェがミニバンを」ということですが、これについてはかつてポルシェ自身が参考となるようなコメントを残していて、それによると「我々が持つラインアップだと、5人以上の家族を持つ家庭をカバーできず、したがって今後はそこを狙う必要がある」「特に利益率の高いセグメントをターゲットにし、新たな販売機会を開拓することを目指している」。
つまり、ポルシェは現在のラインアップでは「取りこぼしている」層を獲得するために乗り出したということになり、これによってますますフルラインアップメーカーに近づくとも考えられます。
こういった方向性について、「ポルシェもお金儲けのために魂を売ったな・・・」という声が聞こえてきそうですが、ぼくとしてはこういったポルシェのスタンスをネガティブに捉えているわけではなく、営利企業なので当然のことだとも考えています。
そしてそれを許容できる背景としては、先日発表された新型911GT3 RSのような過激極まりないクルマを作っているからで、こういったポルシェらしい、そしてポルシェらしいクルマが存続する限りは「ポルシェらしさを失っていない」と思うわけですね。
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つい先日、ブガッティが「普段乗れるようなブガッティを発売することは、ブランドを安売りすることにも繋がりかねないが、それを防ぐには、もう一方の方向性つまりエキセントリックなハイパーカー路線でさらに排他性を極める必要がある」と語ってまいて、まさにこれと同じことなのかもしれません。
今後ポルシェは911もハイブリッド化することになりますが、これはカイエンやパナメーラに積まれるハイブリッドシステムとは全く異なるものになるといい、それは「モータースポーツ由来の」ものとなるもよう。
こういった「切り分け」がしっかり行われているうちは安泰だとも考えていて、しかし仮に「911に、カイエンやパナメーラと同じハイブリッドシステムを積む」となればまた話は全く別であり、それは悪魔(フォルクスワーゲン)に魂を売るのと同じ行為だとも捉えています。
ポルシェは実際にミニバンを提案したことも
参考までに、ポルシェはこれまでにもコンセプトモデルとしてのミニバンを提案したことがあって、2021年には「ヴィジョン・レンディーンスト(Vision Renndienst)」が公開されたことがあり、これは「明日のステップを導き出すために、 明後日のビジョンを考えてデザインする」というポルシェの未来への挑戦を表したコンセプトカー。
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ポルシェ自身、カイエンを発売する前には「我々は、最も必要ではないクルマ(スポーツカー)しか持たないメーカーであり、本来、生活にポルシェを必要とする人は誰もないのだ」と語ったこともあったほどで、その後に発売されたのが日常生活に威力を発揮するカイエンやパナメーラ、そしてマカン。
さらにその後、ポルシェは「このまま電動化が進めば、ガレージに”911とカイエン、もしくはパナメーラ”というように複数のクルマを並べる人は減り、1家に一台の車しか保有しない時代が来るだろう。そのとき、我々が生き残る余地は非常に狭くなる」とも述べているので、「1台ですべてを賄える」クルマの発売を目指すのは当然のことかもしれません。
なお、この「ポルシェのミニバン」は、高い利益率を獲得することを目的として「カイエンの上」に設定され、非常に高い価格にて2026年頃に発売されるだろう、と言われています。
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参照: Autonews