| 中国進出からわずか6年、アキュラは2019年をピークに販売が減少 |
一方、米国市場ではそれなりに好調らしい
さて、ホンダの高級ブランド、アキュラが今後中国での生産と販売を行わないと発表し、つまり事実上中国から撤退することが明らかに。
この発表は中国におけるホンダのパートナーの一つである広州汽車集団(GAC)が公式に発表したものとして報じられていますが、報道機関宛に送信した声明の中で、同国のアキュラの顧客には引き続きアフターサービスを提供し、自社(広州ホンダ)のディーラーとサービス網を活用すると述べています。
なお、アキュラの中国における操業停止は、このほかのホンダの(中国での)事業には影響せず、ホンダはGACとの契約に基づき、引き続きホンダブランドにて自動車の生産と販売を行う予定なのだそう。
なぜアキュラは中国から撤退を?
アキュラはもともと2016年に中国に上陸し、その販売台数は2019年にピークを迎え、合計14,701台が顧客に納車されたと報じられています。
2022年のデータはまだ公表されていないものの、2021年だと販売はわずか6,554台にとどまり、これは2020年と比較して45%減少しているとのことなので、2019年を境にどんどん販売台数が減っているということになりそうです。
なお、現在中国で販売されているアキュラは、CDXとRDX(いずれもSUV)の2車種のみで、この2車種すらもジャーマンスリー(メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ)の競合車に押されていると報じられ、今後シェアを回復する見込みが立たなかったのかもしれません。
アキュラが中国市場から撤退する可能性が最初に報じられたのは昨年4月、アキュラが中国国内のディーラーと顧客に対して今後の事業撤退を知らせる文書を送付した際だそうですが、このときアキュラは「将来的に、アキュラからエレクトリックモデルが発売されれば、また中国市場へと戻ってくる」というコメントを添えていたと言い、しかしそれは今のところ実現しそうにない望みなのかもしれません。
そしてアキュラの従業員についてはGACに統合されるとも報じられており、大きな混乱はなさそうですが、中国市場にて比較的成功を収めていると報じられるレクサスと「どこでどう差がついたのか」はちょっと気になるところですね。
ただ、レクサスは(アメリカにおいてですが)品質調査でも常に上位に位置し、しかしアキュラはいつも下位のほうだったので、品質が追いついていなかった可能性もありそうですね。
アキュラの他にも中国からの「撤退組」が
なお、アキュラの他にも「世界最大の自動車市場である」中国から撤退するブランドがいくつかあり、日本でも人気の「ジープ」もそのひとつ。
ジープはGACとの提携を解消して中国から生産を引き上げるとアナウンスしていますが(一部モデルの販売は輸入車という扱いで継続するようだ)、ステランティスは中国市場そして中国車に対して強い警戒感を示していることでも知られます。
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参考までに、ホンダは「中国のサプライチェーンに不安を感じる」という理由にて中国におけるパーツ生産を見直すともコメントしており、こちらは正確にいうならば「中国から撤退する」というよりも、「中国に依存している現状を見直す」ということになり、つまり中国以外に生産と供給網を構築すると捉えたほうがいいのかもしれません。
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参照:Reuters