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フォルクスワーゲンCEOが同グループ内のポルシェが注力する合成燃料を批判?「内燃機関はとにかく滅ぶ。なのにEUが内燃機関存続を決定したのは耳障りで不快な雑音だ」

2023/04/16

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| フォルクスワーゲンは内燃機関を一掃したいと考えており、それを邪魔する要素を好まない |

ただしポルシェの合成燃料に対しては一定の配慮を行っているようだ

現在ポルシェはフォルクスワーゲングループに属しており、そしてフォルクスワーゲングループは強力に電動化を進めていることでも知られ、その勢いたるや電動化にそぐわない(VW傘下にある)ランボルギーニとブガッティ、そしてドゥカティを売却しようと計画したこともあるほどです(結果的にこれらブランドは残留することとなっている)。

なお、ここまでフォルクスワーゲンが電動化を急ぐ理由はたったひとつ「イメージのリセット」だと言われており、というのもフォルクスワーゲンは少し前に起きたディーゼル不正事件にてそのイメージが地に堕ちてしまったため。

日本だとすでに誰もおぼえていないかもしれませんが、欧州そして北米では(この事件に関する)多くの逮捕者を出し、多額の保証金や対応費用の支払いを捻出せねばならず、同グループに未曾有の打撃を与えたわけですね。

フォルクスワーゲンは「電動化」を機に、すべてを無かったことにしたい

とくに欧州では(もともと環境意識が強いので)環境汚染につながる不正デバイスを会社ぐるみで仕込んで販売したという不信感はVWの信頼を失墜させ、役員を総入れ替えした今でもVWのイメージ回復は難しいと言われています。

フォルクスワーゲンはあの手この手でなんとか信用回復を図ろうとしたもののうまくゆかず、しかしそこに訪れたのが「電動化」という新しい潮流。

VWとしてはこの流れに乗って全ラインアップを電動化し、ガソリン/ディーゼルエンジン搭載車の販売を終了させて「電動化ブランド」へと移行することで過去の過ちを水に流し、新しい「クリーンな自動車メーカー」として再出発を図ろうと考えているわけですが、VW自身、電動化について「100年に一度の、すべてをリセットできるチャンス」だと語ったことも。

こういった理由もあり、フォルクスワーゲンは電動化に対して非常に熱心であり、少しでも早くピュアエレクトリックブランドに移行したいわけですね。

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フォルクスワーゲンは内燃機関延命を「歓迎しない」

そんなフォルクスワーゲンの意向もあり、同社は今回EUでなされた「内燃機関の延命措置」について快く思っておらず、フォルクスワーゲンCEO、トーマス・シェーファー氏はこのEUに決定について「まったくもって不要な雑音」だとコメント。

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「私から見れば不要なノイズだ。2035年までに(内燃機関は)とにかく終わる。2030年までに、ヨーロッパで販売するクルマの80%がピュアエレクトリックカーになる。何のメリットもない古い技術に、なぜ今になって大金を費やすのか、私には全く理解できない」。

なお、このコメントは非常に大胆なもので、というのもフォルクスワーゲングループの稼ぎ頭であるポルシェが内燃機関を存続させるため懸命になって合成燃料を開発しているためで、さらに言えばポルシェのCEOであるオリバー・ブルーメ氏はフォルクスワーゲン”グループ”のCEOも兼任しており、つまりフォルクスワーゲンをも束ねる総本山の一番偉い人。

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そしてトーマス・シェーファー氏はそういった人の下にある立場なのにポルシェを全面否定するかのような発言を行っており、傍から見るとこれは「解任事案」かもしれません(参考までに、前フォルクスワーゲンCEO、ヘルベルト・ディース氏もグループの意に沿わない発言をしたことで権力を奪われ、出張中に解任されてしまったという事例がある)。

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「ポルシェはEUの決定に絡んでいない」

そしてトーマス・シェーファー氏は「EUの内燃機関延命の決定について、ポルシェの意思が働いたわけではなく、そうしようとしたこともない」とコメント。

EUが内燃機関の存続決定を行った背景にはドイツの(内燃機関全面禁止に対する)反対があったからだとされていますが、ドイツ政府に対してポルシェがなんらかの働きかけを行ったわけではないと述べています。

加えて「合成燃料(Eフューエル)をめぐる議論は広く誤解されています。合成燃料は、主に既存の内燃機関搭載車に使用することでCO2排出を抑えるという役割を期待されており、EVに置き換えるための内燃機関搭載車を製造することを推進するものではない。それは全くのナンセンスです。合成燃料を作るための物理的な仕組みを考えてみてください。エネルギーが足りないのに、合成燃料のためにエネルギーを浪費する意味はありません」とも語っており、ポルシェの合成燃料はもともと幅広いモデルに使用することを想定していない、と捉えることも可能です。

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実際のところ、この「EUの内燃機関存続決定」については世間一般で誤解されていることが多く、「ガソリンエンジン延命」「EV一辺倒にならなかったトヨタの勝利」とする向きもあるものの、実際にはこれまでの「ガソリン」を使用するクルマが2035年以降販売できないことに変わりはなく、そして合成燃料はリッターあたりの価格が400円くらいになる(もしくはそれ以上)と見られており、トヨタのクルマにこれを入れてまで走る人は少ないかもしれません。

それはさておきですが、ポルシェは実際のところ「2030年までに新車販売の80%をEVにする」ともコメントしており、EV推進を継続するであろうことは間違いなく、そして残りの20%はポルシェ911のうち「一部のハイパフォーマンスモデル」が占め、これらに対して合成燃料が使用されることになり、けして「合成燃料の実用化によってEV販売比率を下げようとしている」わけではないということも理解できますね。※内燃機関”存続”のための合成燃料であって”拡大”のためではない

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参照:Autonews Europe

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