「テスラの工場内では死亡事故や負傷が報告よりも多い」と弁護士が告発。たしかにそうかもしれないが、「テスラを訴えて和解金を引き出す」のがひとつのトレンドに

｜　外部機関による聞き取り調査では、実際にテスラ工場内での事故は業界平均よりも多いようだが　｜

ただし調査方法によって大きく結果が変わる案件でもあり、実際のところはわからない

さて、製品の問題に加えて従業員への待遇、そして設備面などで様々な問題が報じられるテスラですが、今回は同社のオースティン工場（ギガテキサス）における作業員の負傷率が「テスラの報告よりも遥かに多い」との報道。

これによると、ギガテキサスにおいて「少なくとも一人、そして多数の負傷者」が出ているものの、テスラはその報告を過小に行っているか、もしくは報告を行っていない可能性があるもよう。

最近の例では「ロボットに掴まれる」というものも

なお、2021年に公表された例だと、”工場での安全上の過失の疑いの恐ろしい例”として、不調をきたした2台の車両製造ロボット用ソフトウェアをプログラミングしていたテスラのエンジニアが、そのうちの1台に「掴まれた」というものもあるそうですが、これによってエンジニアは手に傷を負ったことが（テスラによる）報告書に記載され、あわせて「これによって仕事を休む必要はなかった（軽微なものであった）」というのが公式なテスラの見解だとされています。

しかしながら目撃者の告発によると、実際はもっと恐ろしいものであったといい、「腕を掴まれたエンジニアがロボットから逃れようともがく中、周囲の人があわてて緊急停止ボタンを押した」とされ、「アルミニウムのくずを集めるために設けられた溝から数フィート下にエンジニアが落ち、出血も見られた」というので、こちらが真実であればテスラの報告書は事実とは異なり、そのエンジニアにとっては「もうここでは働けない」と思うほどのトラウマ案件だと思います。

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— Tesla (@Tesla) August 9, 2023

さらに外部の調査によると、2022年にテスラのギガテキサスでは労働者21人に1人が業務中に負傷し、26人の労働者に1人が仕事を休まなければならないほどの負傷を負ったといい、これは自動車業界の平均である、それぞれ「労働者30人に1人」「労働者38人に1人」よりもかなり高い頻度です。

こういった調査もあって今回テスラは「（死亡事例含め）報告を怠っていた」と批判されているわけですが、労働者防衛プロジェクトの弁護士ハンナ・アレクサンダー氏によると「負傷した従業員が何名も出ています、そして死亡した労働者1人は、テスラ社が税制上の優遇措置を受けるために正確に記入し、郡に提出しているはずだという報告書には記載されていません」。

実際のところ、テスラは工場があるトラビス郡との契約により、6,000万ドルの減税を受けるためのコンプライアンス報告書を作成することに同意しているそうですが、同弁護士は「これが守られていない」ことについても非難しているわけですね。

やはりテスラでも「生産効率に対する圧力」が存在か

加えて、テスラにとって都合の悪いことに、フリーモント（カリフォルニア）工場においても「労働安全衛生局（OSHA）が、テスラが規制当局への報告書に傷害を記載していなかった」ことが判明しており、こういった事例はテスラが従業員に対し「少しでも早く生産ラインを稼働させ、稼働させた後は少しでも多くの車両を生産できるよう」圧力をかける姿勢に起因している、とも言われており、ダイハツのみならず様々な自動車メーカーにおいてプレッシャーがあるのかもしれません（そしてこれは自動車業界のみの話ではないものと思われる）。

ちなみにですが、テスラは「訴訟に負けない」ことでも知られており、それは強い弁護士を揃えているほか、「負けそうな案件では莫大な和解金を払って訴訟を取り下げているから」だと言われています。

そしてこの「和解金の大きさ」が、テスラに対して訴訟を起こせば「儲かる」という風潮を生み出しているのだとも思われ、告発者、そして弁護士にとってもひとつの「トレンド」となっているのかもしれませんね。

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参照：Daily Mail