ポルシェの中国市場における販売が3割も落ち込み、ディーラーを約1/3削減することに。一方で「体験型ディーラー」「オンライン販売」へとシフトし、中国の自動車メーカーが採用する手法を取り入れる

｜　中国の顧客は急速に「ポルシェに飽きて」いる　｜

ポルシェは今年に入り約30％の販売減少を記録し、中国における輸入車全般の「倍」の縮小幅に

さて、たびたび苦境が報じられるポルシェではありますが、その原因は主に「中国」　にあり、少し前には”販売減少に伴いディーラー網の整理に入った”とも伝えられています。

そして今回あらためてポルシェが正式にアナウンスしたのが「中国におけるディーラー網を2026年末までに約3分の1削減し、ポルシェセンターの数を100に集約する」という戦略。

この「最適化」と呼ばれる取り組みは、同社が直面している販売減少に対応するための措置ではありますが、「それほどまでに深刻で、かつ急な対応が必要なのか・・・」と驚かされますね。

ポルシェの中国における販売は約3割減少している

ポルシェの中国販売は2023年で15％減少し、2024年だと1-9月の間で29％という大きな落ち込みを見せていて、つまりその販売が減る速度は「加速度的」。

参考までに、中国での輸入車販売は2024年1－10月において14.3％減少していて、これに比較してもポルシェの落ち込みはかなり大きいということがわかりますが、かつてポルシェのメインマーケットであった中国は、8年連続で（ポルシェにとって）世界最大市場となり、全体の売上の30%以上を占めていたため、この落ち込みがポルシェにとって「大打撃」「感化できない状況」であることは想像に難くなく、「2009年に”はじめて欧州以外で”ブランニューモデル（パナメーラ）の発表を行い、伝統的なスポーツカー中心という構成からの転換を図ることで中国市場でのシェア拡大を目指していた」ポルシェにとっては見過ごすことはできない状況なのかもしれません。

そしてポルシェはつい数年前まで、このパナメーラやカイエン、マカンといったSUVの販売を通じて中国市場にて強固な基盤を築くこととなり、文字通り「飛ぶように」売れていたわけですが、しかし現在、中国市場での価格競争の影響、さらには中国車の商品力（魅力）向上を受けて販売が鈍ってしまい、これを回復させるために価格が30〜35%引き下げられ顧客に提案されることも。

そしてこれによってディーラーの利益が減ってしまい、一部のディーラーはその「利益の補填」を求めるなどの要求が（ポルシェに対し）なされていると報じられたのも記憶に新しいところですね。

現在、ポルシェディーラー（ポルシェセンター）は中国138拠点が存在

なお、ポルシェディーラーは現在中国に138あるといい、しかしポルシェ中国の社長兼CEOアレクサンダー・ポリッヒ氏によれば、これらは「2026年末までに約100に削減される予定」。

そしてこのポルシェの「最適化」計画には、上海や北京などの大都市にあるディーラーも対象となり、ただし「閉鎖」「整理」のみではなく、現在35%のディーラーのみで展開されている「デスティネーションポルシェ」と呼ばれる「豪華な体験型」というコンセプトがさらに強化されることとなるもよう（よってディーラーの集約や再構築がなされると考えていい）。

加えて、ポルシェは（中国では一般化しつつある）オンライン販売網の拡大にも注力するとも述べていて、新たに導入された「Track Your Dream」機能を使うことで、ポルシェアプリやWeChatミニプログラムを通じ、購入者は車両の生産状況や納車情報をリアルタイムで追することができるようになるのだそう。※生産追跡そのものは他の市場ですでに開始されているものではある

こういった取り組みは「ポルシェのいっそうの中国化」を示すもので、消してポルシェが中国市場を諦めるわけではないということを示唆していますが、同時に「ポルシェが中国の自動車メーカーの販売やプロモーション手法に倣っている」とも捉えることができ、時代は大きく変わりつつあるということがわかりますね。

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